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威
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しおりを挟むインターホンが応えたが、葉人は黙ったままだった。
けれどカメラで確認したのか、すぐに家人がばたばたと玄関へと走り寄ってくる音が響き…
「葉!?」
あわやぶつかると言う勢いで扉が開かれた。
濡れ髪のままの威が葉人を見て目を見張る。
「っ…ど……どうし…」
葉人を気遣うその言葉も草や泥に汚れた葉人の姿を見て途絶え、そのまま重く口を閉ざしてしまう。
整えてはあったが、その乱れた姿は葉人に何があったのか気付かせるには十分で…
威は葉人の腕を引いて中へ連れ込むと、イライラとした息を吐いて頭を抱えて扉へと凭れた。
「………もう…分かったって………言っただろっこれ以上何をっ」
「フェネクスと寝てきたよ」
「っ…あいつっまだ懲りてないのかっ」
「公園で、犬みたいに舐めさせられて、突っ込まれてきたよ」
膜が張ったような光の映さない濁った眼がそう言ってから細められ、自分を見下ろす威を見上げる。
「…も…止めてくれ…っ聞きたくない…」
「苦しい?」
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