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あの日の後悔と今日の後悔
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しおりを挟む「――――っ」
母親の小さな声が上がり、オレははっとして引き戸の隙間に耳を寄せた。
「あの子と……」
あの子が誰かわからなかったが、話している内容が今日のケンカの事だったから鷹雄のことだろうと見当はつく。
「ケンカ?」
「相手に謝りに行った時に……あちらは気付かなかったようですけれど…」
今日は鷹雄が怒られたかなんだかと機嫌が悪く、ケンカ相手にかすり傷とは言い難い傷を負わせてしまったのだ。
止めに入った大人の目撃があった事もあり、逃げる事の出来なかった鷹雄ともども相手の家へ謝罪に行った。
その際に初めて鷹雄の母親と出会ったのだが…
つんとした、冷たい印象を受けた。
あんな母親に育てられたのならば、鷹雄がひねくれるのも分からなくはない。
「鷹雄と?」
なぜ?
ほぼ年中出張に行っている父親が、鷹雄の名前を知る筈がなかった。
なのに父親から洩れた名前は、呼び馴れた風だ。
「そう言えばあいつも怪我をして帰っていたな…そうか、まさか知り合いだったとはな」
父の言葉が理解できず、首を傾げて続きを待つ。
『あいつも怪我をして』
『も』と付いた以上、それがオレでないのは分かる。
けれど続いた『帰っていた』と言う部分が分からない。
…なんだ?
「…あっちには、出しゃばらない、認知を求めないと言う事で話は済んでいる。友人としてかかわるくらいは…」
「大丈夫…かしら…」
「肩身の狭い思いをさせるが、こうやって静かに暮らしている内は向こうは気にもかけないさ。現に君の事にも気づかなかったんだろ?」
「…ええ」
沈んだ母親の声がやけに耳に残る。
「しかし、二人が……兄弟だと知ったら、驚くだろうな」
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