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青い正しい夢を見る
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しおりを挟む不安がってるんじゃない、義母はどんな理由でもいいから長男の自分を追い出して、自分の子供だけをこの家の子にしたいだけだ。
それが分かっていて、そう怒鳴れないのは、こちらを星空のようにキラキラとした目で見る弟が可愛いから。
無垢な愛情を人に向ける事を疑わない愛しさがあるからだ。
「……向こうで暮らして、でも学校は行っても 」
「我儘を言うな」
我儘?
あまりにも勝手だ の言葉は、父のこちらをねめつける視線に遮られて消えた。
幼い頃からの習い性のせいかそうされてしまうと言葉が喉に引っ付いて、何も言えなくなる。自身の未来の事なのに意見一つ言う事が出来なくて、溜め息交じりに立ち上がった父に怯えてびくりと身を震わせた。
「家族の為にも、最善を考えなさい」
家族。
父と、楽し気に食事する弟と、義母と……
この人の言う家族と言うのはその人達の纏まりで、僕はそこには入っていない。
昔から気が付いていたその事実を改めて突き付けられた気がして、小さく項垂れるしかできなかった。
────清水 と表札の掛かった古びた門を潜る前になんとか逃げ出せないかと暴れてはみたものの、どうにも苦手意識が拭えずに体を動かす事から逃げていた付けが回ってきたのか、父の手一つ振りほどけず引きずられるようにして結局その屋敷へと入る事になってしまった。
庭は日が当たって暖かそうなのに、家の中は暗い褐色の空気で満たされて酷く重苦しく陰鬱で、その雰囲気だけで震え上がりそうな程怖く、相変わらず腕を離さない父の背中に不安げな視線を投げたものの、それに気づいては貰えない。
きしきしと鳴る廊下を、手伝いに案内されて進んで行くのをただただ止めたくて仕方がなかったのに、圧し掛かるような屋敷の重さにそれすらもできないままだった。
「 遅くなりまして、申し訳ないです」
客間と思しきそこは確かに豪華な欄間に襖、掛け軸にと華やかであったはずなのに、真昼の温かさは欠片もなく冷たい湖の澱で出来ているように見える。
そこに座る二人の老人に、父は頭を下げて僕にもきちんと挨拶するようにと小さい声で叱責してきた。
「こん にちは 」
掠れた声は相手に聞こえたか定かではなかった。
深い皺を刻んだ二人の老人は、偏見の籠った先入観で考えてしまうと耳が遠いのではなかろうかと思わせるには十分だったからだ。
男性と、女性と。
この部屋にはその二人しかいない。
細やかな望みとして、相手の女性が逃げ出してくれたんじゃなかろうかと思いもしたけれど、父とのやり取りの中で仕事を抜ける事が出来なかったと言う事情が聞こえた。
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