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おまけ 126
しおりを挟むドン と体当たりされて我に返る。
「お前は馬鹿か!」
そう怒鳴りつけられながらも瘴気を切り伏せてダンクルを睨んだ。
「ぼんやりするな!」
「してませんよ!」
怒鳴り返しながらアイコンタクトでさっと左右に分かれて走り出す、今では山の奥深くに生える大樹ほどの大きさなのではと思わせる魔人は、試しに切りつけてみたところでびくともしない。
少しでも柔らかく、短剣を刺したとしてすぐに取れない場所を見つけたかったが……
頭頂から垂れる触手は魔人の周りを覆うように垂れているせいで、取れない場所 と言うのはどうにも難題だった。
「地面では⁉︎」
「できれば本体に刺せと言っていた」
「できればでしょう⁉︎」
重苦しい空気に息が吸えないような感覚がして、大きく口を開けて少しでも酸素を取り込もうとする。
「どちらにせよ、アレを引きはがさんと」
さっと動いたダンクルの視線に倣って魔人を見上げると、その手の中にエステスが収められていた。
何事か言っているようだったので死んでは……気を失ってはいないようだったが、もしミロクの雷を落とされてしまうとどうなるかわからない。
幾ら巫女とは言え、火にまかれれば死ぬだろう。
故にまずはエステスの救出を目標としなければならないが……
さっと見渡した隊員達に怪我が目立ってきた、幾ら魔人戦が経験があるとは言えそれは普通の大きさだった。
巨木のような魔人を前に……士気が揺らいでしまうのはしょうがないことだ。
今はまだ堪えているが、ダムが決壊するように感情が溢れ出してしまった瞬間が恐ろしかった。
混乱したら……その瞬間に終わる。
「ダンクル」
「駄目だ」
「ダンクル!」
「認めん!」
「『巫女は、魔人に殺されてしまっていた』」
そう言った瞬間、こちらを見たダンクルの両の目の冷やかさは腹の底まで凍りそうな冴え冴えとした蒼だった。
この状況下にあって尚、凪いだ感情を乗せたそれは強制しているわけではない、そんな無粋なものを使わなくともこの瞳は俺を跪かせる。
「……魔人の気を引きます。その間にエステスを切り離してください」
これなら問題はないんだろうと睨み返すと、人を食ったような笑みを返して走り出してしまった。
いつでも魔人の上に駆け上がれると合図を送られ、さてどうしたものかと触手の動きをよけながら距離を取る。
今更、火薬玉をぶつけたところでこの魔人は俺の方を向くだろうか?
いや、それよりも……
「おい! これを見ろ!」
そう言って握り締めた銀色のナイフを魔人に向かって突き上げる。
これははるひが聖別したものだ。
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