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アホは突然やってくる
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放課後、普段誰も入ってこない屋上の扉のドアノブに手をかける。右手が塞がっていたので左手で回す。
ガチャリ、と扉を開けると鬱陶しいほどの風と光が体に押し寄せてくる。
天気は晴れのち曇、風が強いといった感じなのかな、とどうでもいいことを考えながら扉の奥に進む。
コンクリートのタイルが敷き詰められている床を上靴で歩くのは少し悪いことをしているみたいに感じたが、これからすることに比べるとどうでもいいことだ。
当たり前のように屋上の外側には落下防止の柵が並んでいる。
それに手をかけようとするが右手の紙が邪魔で登れないのに気づく。
「ここらへんで……いいな」
ちょうど自分が登ろうとしていたフェンスの後ろにその紙を置く。
「よっと」
空いた両手ならこのフェンスを登るのも容易い。
ーーーーああ、いい景色だ
ふとそう思った。
わざわざ、グラウンドとは逆の方へ登ったがそこから見える景色は悪くないものだった。
普通なら、 特になんの変哲も無い、ただの住宅街にしか見えなかっただろう。
だが……
最後に見る景色としては、それは美しいと思いたかったのかもしれない
自分の足元を見るとこの学校の屋上が意外と低いことに気づく。
所詮、4階建ての学校だ。だが頭から行けば……多分大丈夫だろう
「さて、そろそろ覚悟を決めますか」
自分に言い聞かせるように言う。
首を吊ろうにも、リストカットしようにも俺は勇気が無くてあと一歩が踏み出せずにいる。
……もう終わりにしよう
ゴクリ、と唾を飲む。心臓がバクバクと鳴り止まない。あと少し、あと少し足を出せば……落ちる!!
そう思った時、後ろから、バン!!と大きな音が聞こえた。
「はぁ、はぁ、お、おい!待て!自殺なんて……やめろ!!」
息を荒げた女の声で俺に話してくる。
……参ったな、誰かに見られるとは思わなかったな
「はぁ、自殺なんて、やめてこちらへ戻ってきてください!」
スタスタとコンクリートを歩く音が聞こえる。
彼女は俺を止めようと近づいてくる。
「おい、それ以上近づくな。目の前で飛ばれるのは嫌だろ?」
人が屋上から飛び降りて死ぬところなんて知らない赤の他人でも、見たらトラウマもんだと思う。
驚いたのか、足音は消えた。
「……変な奴だ。この状況で私のことを考えているのか?」
「当たり前だ。人の死ぬ瞬間を誰にも見せたく無いからわざわざグラウンドと逆の方にしたんだ。なんの罪も無いあんたにトラウマを埋めたくしな」
ほら帰った帰った、と手を振る。他人に死に様を見せたくも無いし、見られたくも無い。
「もう、諦めてくれ。なんなら少ししたら救急車を呼んでくれないか?それならあまり人に見られずにすみそうだし「なんでだよ!!!」な……」
突然、彼女は大声を上げる。
「なんで……なんでお前、そんなに命を軽んじるんだよ!!」
涙声で怒りをあらわにするかのように彼女は言う。
「私は、お前のことはよくわかんねーよ、でも!そんな辛そうにしたまま、悲しいことを言うなよ……」
「……顔を見せてないのによく言ったな」
皮肉交じりに答える。
辛い?楽しかったらなんで自殺なんてする必要がある。
辛いから逃げようと最後の手段に出ているだけだ。別に他人にどうこう言われることじゃ無い。
「ならこっちを向いてみろよ!この臆病者が!」
……泣いたり怒ったり、貶したりと訳のわからない奴だ。
「……これで文句無いか?」
彼女は振り向かないと思っていたのか、少し驚いた顔をする。
そして、足も震えていた。
「もう……満足か?もう、戻れよ、もう……見ないでくれ」
「あ、うっ、くっ」
彼女の顔を見ると判断が鈍る。
俺のために止めようとあれこれ考えているのが手に取るようにわかる。
「まぁ、最後に他人と話せてよかったかもしれない」
「ま、まて!お前!!」
ゆっくりと重心を後ろに向ける。
頭から落ちるように体を傾ける。
「くそ!動けよ、動けよ!」
もう、いいんだ
俺は、もう、疲れた
足元の力を抜いてされるがままに後ろへ倒れる。
そこにはもう床は無く、重い頭はすぐに、地面へと直線的になった。
空を見ると、あの鬱陶しいほどの光を放つ太陽……では無く、どこかほくそ笑んだ顔の彼女の姿が……
そこで俺の意識は無くなった。
「よーし、マッチーよくキャッチした。お手柄だぞーー!」
屋上から下でスタンバッていた友達に話しかける。
「はい!会長!無事犯人確保しました!!」
「いや別にそいつ悪いことしたわけじゃ無いけどね」
ちょっとかわいそうな奴なだけだ。犯罪者では無い
「あらーー無事解決したっぽいねぇーー」
おっとりとした声で屋上に入ってくる
「おい!遅いぞ全く!それより見たか!私の迫真の演技を!ふふふ、奴も動揺してたもんなーーくくく」
「うーん、演劇部から見たらーー30点?」
ガクッ
「 よ、予想より低いなーー、まあいい。おーーいマチ!そいつ保健室へ運ぶぞーー」
アイアイサーー!!と元気な声が響く。
さて、あのバカになんとか自殺をやめるよう説得しなくてはな
ガチャリ、と扉を開けると鬱陶しいほどの風と光が体に押し寄せてくる。
天気は晴れのち曇、風が強いといった感じなのかな、とどうでもいいことを考えながら扉の奥に進む。
コンクリートのタイルが敷き詰められている床を上靴で歩くのは少し悪いことをしているみたいに感じたが、これからすることに比べるとどうでもいいことだ。
当たり前のように屋上の外側には落下防止の柵が並んでいる。
それに手をかけようとするが右手の紙が邪魔で登れないのに気づく。
「ここらへんで……いいな」
ちょうど自分が登ろうとしていたフェンスの後ろにその紙を置く。
「よっと」
空いた両手ならこのフェンスを登るのも容易い。
ーーーーああ、いい景色だ
ふとそう思った。
わざわざ、グラウンドとは逆の方へ登ったがそこから見える景色は悪くないものだった。
普通なら、 特になんの変哲も無い、ただの住宅街にしか見えなかっただろう。
だが……
最後に見る景色としては、それは美しいと思いたかったのかもしれない
自分の足元を見るとこの学校の屋上が意外と低いことに気づく。
所詮、4階建ての学校だ。だが頭から行けば……多分大丈夫だろう
「さて、そろそろ覚悟を決めますか」
自分に言い聞かせるように言う。
首を吊ろうにも、リストカットしようにも俺は勇気が無くてあと一歩が踏み出せずにいる。
……もう終わりにしよう
ゴクリ、と唾を飲む。心臓がバクバクと鳴り止まない。あと少し、あと少し足を出せば……落ちる!!
そう思った時、後ろから、バン!!と大きな音が聞こえた。
「はぁ、はぁ、お、おい!待て!自殺なんて……やめろ!!」
息を荒げた女の声で俺に話してくる。
……参ったな、誰かに見られるとは思わなかったな
「はぁ、自殺なんて、やめてこちらへ戻ってきてください!」
スタスタとコンクリートを歩く音が聞こえる。
彼女は俺を止めようと近づいてくる。
「おい、それ以上近づくな。目の前で飛ばれるのは嫌だろ?」
人が屋上から飛び降りて死ぬところなんて知らない赤の他人でも、見たらトラウマもんだと思う。
驚いたのか、足音は消えた。
「……変な奴だ。この状況で私のことを考えているのか?」
「当たり前だ。人の死ぬ瞬間を誰にも見せたく無いからわざわざグラウンドと逆の方にしたんだ。なんの罪も無いあんたにトラウマを埋めたくしな」
ほら帰った帰った、と手を振る。他人に死に様を見せたくも無いし、見られたくも無い。
「もう、諦めてくれ。なんなら少ししたら救急車を呼んでくれないか?それならあまり人に見られずにすみそうだし「なんでだよ!!!」な……」
突然、彼女は大声を上げる。
「なんで……なんでお前、そんなに命を軽んじるんだよ!!」
涙声で怒りをあらわにするかのように彼女は言う。
「私は、お前のことはよくわかんねーよ、でも!そんな辛そうにしたまま、悲しいことを言うなよ……」
「……顔を見せてないのによく言ったな」
皮肉交じりに答える。
辛い?楽しかったらなんで自殺なんてする必要がある。
辛いから逃げようと最後の手段に出ているだけだ。別に他人にどうこう言われることじゃ無い。
「ならこっちを向いてみろよ!この臆病者が!」
……泣いたり怒ったり、貶したりと訳のわからない奴だ。
「……これで文句無いか?」
彼女は振り向かないと思っていたのか、少し驚いた顔をする。
そして、足も震えていた。
「もう……満足か?もう、戻れよ、もう……見ないでくれ」
「あ、うっ、くっ」
彼女の顔を見ると判断が鈍る。
俺のために止めようとあれこれ考えているのが手に取るようにわかる。
「まぁ、最後に他人と話せてよかったかもしれない」
「ま、まて!お前!!」
ゆっくりと重心を後ろに向ける。
頭から落ちるように体を傾ける。
「くそ!動けよ、動けよ!」
もう、いいんだ
俺は、もう、疲れた
足元の力を抜いてされるがままに後ろへ倒れる。
そこにはもう床は無く、重い頭はすぐに、地面へと直線的になった。
空を見ると、あの鬱陶しいほどの光を放つ太陽……では無く、どこかほくそ笑んだ顔の彼女の姿が……
そこで俺の意識は無くなった。
「よーし、マッチーよくキャッチした。お手柄だぞーー!」
屋上から下でスタンバッていた友達に話しかける。
「はい!会長!無事犯人確保しました!!」
「いや別にそいつ悪いことしたわけじゃ無いけどね」
ちょっとかわいそうな奴なだけだ。犯罪者では無い
「あらーー無事解決したっぽいねぇーー」
おっとりとした声で屋上に入ってくる
「おい!遅いぞ全く!それより見たか!私の迫真の演技を!ふふふ、奴も動揺してたもんなーーくくく」
「うーん、演劇部から見たらーー30点?」
ガクッ
「 よ、予想より低いなーー、まあいい。おーーいマチ!そいつ保健室へ運ぶぞーー」
アイアイサーー!!と元気な声が響く。
さて、あのバカになんとか自殺をやめるよう説得しなくてはな
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