転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉

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第一章

神界で…⑥

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「さて、どこからか話そうかのう。紗代や、そなたがこの神界で目覚めるまでに、妾は閻魔大王えんまだいおうに会いに行き、座敷わらしたち─」

「お話を割って申し訳ありません。天照大御神様。僕たちのことは『いつき』『みつき』とお呼びください」

突然話に割り込んだいつきちゃんに気を悪くすることもなく、天照大御神は「そうかえ」と頷く。

「では話の続きじゃ。妾が閻魔大王に会いに行っている間に、いつきとみつきは紗代の職場近くにおったモノノケや妖怪たちなどに何が起こったか話を聞いて回っておったんじゃ。そして、紗代の亡骸の前でオロオロとしておるアヤツを見つけ、紗代が亡くなった原因を突き止めたんじゃ。
ここまでは良いな、紗代」

「はい。天照大御神様」

「うむ。では、妾が閻魔大王に会いに行った訳じゃが、紗代の今後の事を相談しに行ったんじゃ」

「わたしの今後…?でもわたしは死んじゃったから今後も何も…」

今後の事をなんて…
死んじゃったから、天国か地獄行きのどちらかだよね…

「紗代、落ち着きなんし。それを今からちゃんと説明する」

天照大御神様がわたしの目を見つめ頷く。

「はい」

わたしはいったん深呼吸して、気持ちを落ち着ける。

「よし。ではな、紗代。紗代の本来の寿命はまだまだあったんじゃ。だが、アヤツのせいで紗代は突然に亡くなった。本来全うすべき寿命を多く残してな」

「ふぅっ…ほんにのう…」とつぶやきながら天照大御神様がため息をもらす。

「あの…天照大御神様?」

「あぁ、すまんな。紗代、いらん心配をかけたな」

「いえ、わたしは大丈夫です」

「そうかえ?
さて、紗代や、人は死ぬとその魂はどうなると思う?」

「どうなるって…黄泉の国へ行って三途の川を渡るイメージでしょうか??」

わたしは戸惑いながらも、天照大御神様の問いかけに答える。

「そうじゃ。正解じゃよ、紗代。よく知っておるな。
人は死ぬとその魂は黄泉の国へと送られる。そして最初の審判として三途の川を渡るんじゃ。
三途の川の橋を無事に渡れた者は極楽浄土へ。それ以外の者は生前に犯した罪状をもとに裁かれ、それぞれの地獄へと堕ちる。地獄へ堕ちた者は生前の罪状の分だけそこで己の罪を償うんじゃよ。そして償い終わった魂は極楽浄土へ。
極楽浄土で癒やされた魂は輪廻転生の輪へと巡るんじゃ。
ただな…紗代。今回の件はまったくのイレギュラー。そなたは本来の寿命を多く残して亡くなった。本来の寿命を全うせず、本来の死因とはまったく別の亡くなり方をした紗代の魂は黄泉の国へと送る事もてきず、輪廻転生の輪へと巡らせる事もできぬ…。それが閻魔大王が出した答えじゃ…。
申し訳ないの…紗代…。
こうして紗代の魂は今この神界にある」

天照大御神様は話終えると深々と頭を下げた。

「えっ…天照大御神様…っ!?頭をお上げくださいっ!!!!天照大御神様が悪いのではありませんっ…!!

でも…でもぉ…っ、それじゃあ、わたしはどうなるの…」

こわい…こわいょ…っ
わたしはこのままだとどうなる…
突然死んで、天国へも地獄へも行かず、輪廻転生の輪にも巡れない…
それじゃぁ…わたしは…っわたしは…消える…??

「紗代っ!?!?落ち着けっ!!!!落ち着くんだ、紗代っ!!!!」

「紗代ちゃんっ!?!?大丈夫っ!?落ち着いて、紗代ちゃん…っ!!!!」

このまま消えてしまうのではという恐怖で、あとから後から涙を流すわたしを、いつきちゃんとみつきちゃんが再びぎゅっと抱きしめてくる…


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