転生幼女の怠惰なため息

第三章

異世界オネエと猫③

きゅぅ～っと気絶してしまったシロガネ。

そんなシロガネを膝に乗せ、優しく撫でるエミリーちゃん。サロンに射し込む光がエミリーちゃんとシロガネを照らし、それはまるで1枚の絵画のよう。
ゴージャス美人と猫の組み合わせ、ヤバイな。なんだろう、エミリーちゃんには豪華な毛皮のコートを着せてソファーに優雅に座ってもらい、本体サイズに戻ったシロガネを侍らせてほしい…。うん。想像しただけでも滾るな。絵になる。これは新しい扉を開いたか？

〔そんなヘンな扉は閉めてしまえっきゅ…〕

そんな妄想をしていたら、ペルルにツッコミをもらった。

［ペルル、ヤキモチ??］

〔はっ!?何でそうなるっきゅかっ!?鳥肌が立つっきゅっ!!〕

何を想像したか、ペルルの毛がブワワッと逆立つ。
わたしはそんなペルルを優しく抱き上げ、ソッと撫でる。
可愛い可愛いわたしのペルル。シロガネにヤキモチ焼かなくてもいいのにね。まぁ、シロガネのもふもふも魅力的だけど。



「旦那様、そろそろ食堂へ移動をお願いします」

セバスが「食事の準備が整いました」とおとしゃまに告げる。

「そうか、わかった。では皆、食堂へ」

おとしゃまの言葉を受け、家族とエミリーちゃんと一緒に食堂へ向かう。わたしはもちろんペルルとウィルにぃの腕の中。移動と聞いた瞬間、ウィルにぃの腕の中にいた。まぁ、いいんですけどね…。



さてさて、今日のメニューはアボカドと生ハムの冷製カッペリーニ、カラフル夏野菜のコロッケ、ミネストローネ、ポンデケージョリング。うん、どれも大変美味でございました。
そして、デザートはキラキラ桃ゼリー。桃の果汁と果肉たっぷり。

ペルルは基本ドライフルーツだけど、このゼリーは気になるみたい。さっきからチラチラ視線がゼリーへと向けられている。

「ぺりゅりゅ　あ～んっペルル、あ～んっ」

わたしがスプーンを差し出すと、ハムっと口に入れ、ほっぺたを押さえながら、うっとりともぐもぐするペルル。やっぱり、ウチの仔最強かよ…。ペルルの可愛さにプルプル悶ていると、

「う…うにゃ…っ」

とエミリーちゃんの膝の上で目を覚ますシロガネ。そうなのです、シロガネが気絶してからずっと「気絶させたのは、あたくしの責任だからん…」とエミリーちゃんが膝の腕で介抱していたのです。

「ちりょぎゃね　きーついちゃ？シロガネ、気がついた？」

「ここは………っ」
「あらんっ??気がついたかしらん??」
「ふにゃ～～っ!!!!」
ビョッ…ゴンっ!!!!

わたしの声に気がついたのか、辺りをキョロキョロと見渡し、エミリーちゃんと目があった瞬間飛び上がり、テーブルに頭をぶつけるシロガネ。コントかよ…。まぁ、可愛いけど。

「シロガネちゃん、落ち着いてちょうだいな。何もしないわん。目が覚めたばかりで、頭を強く打ったけど、気持ち悪くはなってないかしらん？」

「う…うむ。我は大丈夫なのだ…」

エミリーちゃんがシロガネを落ち着かせる様にソッと撫で、優しい眼差しで声をかける。
シロガネも興奮が落ち着いて、ちょっと気まずくなったのだろう、大人しくエミリーちゃんの問いかけに答える。

「そう、良かったわ。改めてあたくしはエミリーよん。よろしくねん、シロガネちゃん♪」

「うむ、我はシロガネ。よろしく頼む」

おっ？エミリーちゃんとシロガネが仲良くなった??
善き良き。