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第三章
エルの異変②
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〈父:フリッツィSide〉
シロガネ殿がエルとペルル殿を連れて、転移で裏庭へと消えた。
アメリアとアンネリースが“追いかけた方がいいのでは?”と戸惑いを見せていたので、
「エルを追わなくてもよい。今はシロガネ殿とペルル殿に任せよう」
と声をかける。
「あなた…」
妻が不安がっているため、肩を引き寄せ抱きしめる。
「エルシーアは大丈夫だ。何せシロガネ殿は白虎様で、ペルル殿だって幻獣のカーバンクルだ。お二方を信じて任せよう」
そうだ。今はお二方を信じて任せよう。
私達は考えなければならない。
何故なら私達…、いや、私はエルの異変をずっと見過ごしていたのだから。
サロンに重苦しい雰囲気が漂う。
「やっぱりエルちゃんは精霊の愛し子、精霊姫だったのねん…」
その重苦しい雰囲気を破ったのはエミリーの言葉だった。
「精霊姫?どういう事だ?」
エルシーアは私達の大切な愛娘であって、決して精霊の姫ではない。
「どうもこうも、さっきエルちゃんが泣いた時、精霊が反応したでしょん?カップやカーテンが揺れたり、急に室温が下がったり。
あれはエルちゃんを傷つけられたと思った、精霊達の怒りの行動よん」
「何故そんな事がわかる?」
サロンに居た、私達誰もがあれが精霊の行動だとは思わなかった。
それなのに、何故エミリーは知っている?
「あらん?もう忘れちゃったのかしらん?
あたくし、こう見えても精霊の血が流れているのよん?」
クスクスと笑いながらエミリーが答える。
「それにん…」
そう言いながら、エミリーが腰まである髪をふわりと上げる。
すると、その髪の毛の中からフワッと黒く光り輝く精霊が出てきた。
普段、エルの周りには精霊がたくさん居る事は知っている。その精霊達は光り輝く球体にしか見えず、姿型はハッキリとは見えない。
しかし、エミリーの髪の毛から出てきた精霊は違う。しっかりとその姿型が見えるのだ。
蝶の様な羽を持ち、墨色の髪と目を持つ女の子の精霊の体長は約10cm程だろうか。
今はエミリーの肩に留まって、エミリーの人差し指で頭を優しく撫でられニコニコと笑っている。
「この子はあたくしの契約精霊、シュワーツよん。この子がね、エルちゃんは精霊女王と精霊に愛されし精霊姫だと言うのよん。その証拠に、エルちゃんの周りには常に精霊がたくさんいるわん。
さっきの現象もね、シュワーツがエルちゃんの周りにいる精霊の仕業だって教えてくれたのん。エルちゃんを泣かせたのが許せなかったんですってん」
エミリーの契約精霊のシュワーツが、エミリーの言葉に合わせて泣く仕草や怒る仕草をする。
その様子を微笑ましく見ながら話していたエミリーが真剣な表情をする。
「フリッツィ、一つだけ忠告しておくわん。
精霊はね、とても単純なのよん。自分の愛しい存在が傷つけられた、じゃあその原因を排除してやろうって感じにねん。
今回はシロガネちゃんが抑えてくれたから良かったもののん、今後はどうなるかわからないわん。
エルちゃんの周りの存在にはよくよく気をつけなさいなん」
「忠告、感謝する」
「あらん、いいのよん。気にしないでん」
エミリーは暗くなってしまった雰囲気を和ませようと、ヒラヒラと手を振り明るく振る舞ってくれた。
シロガネ殿がエルとペルル殿を連れて、転移で裏庭へと消えた。
アメリアとアンネリースが“追いかけた方がいいのでは?”と戸惑いを見せていたので、
「エルを追わなくてもよい。今はシロガネ殿とペルル殿に任せよう」
と声をかける。
「あなた…」
妻が不安がっているため、肩を引き寄せ抱きしめる。
「エルシーアは大丈夫だ。何せシロガネ殿は白虎様で、ペルル殿だって幻獣のカーバンクルだ。お二方を信じて任せよう」
そうだ。今はお二方を信じて任せよう。
私達は考えなければならない。
何故なら私達…、いや、私はエルの異変をずっと見過ごしていたのだから。
サロンに重苦しい雰囲気が漂う。
「やっぱりエルちゃんは精霊の愛し子、精霊姫だったのねん…」
その重苦しい雰囲気を破ったのはエミリーの言葉だった。
「精霊姫?どういう事だ?」
エルシーアは私達の大切な愛娘であって、決して精霊の姫ではない。
「どうもこうも、さっきエルちゃんが泣いた時、精霊が反応したでしょん?カップやカーテンが揺れたり、急に室温が下がったり。
あれはエルちゃんを傷つけられたと思った、精霊達の怒りの行動よん」
「何故そんな事がわかる?」
サロンに居た、私達誰もがあれが精霊の行動だとは思わなかった。
それなのに、何故エミリーは知っている?
「あらん?もう忘れちゃったのかしらん?
あたくし、こう見えても精霊の血が流れているのよん?」
クスクスと笑いながらエミリーが答える。
「それにん…」
そう言いながら、エミリーが腰まである髪をふわりと上げる。
すると、その髪の毛の中からフワッと黒く光り輝く精霊が出てきた。
普段、エルの周りには精霊がたくさん居る事は知っている。その精霊達は光り輝く球体にしか見えず、姿型はハッキリとは見えない。
しかし、エミリーの髪の毛から出てきた精霊は違う。しっかりとその姿型が見えるのだ。
蝶の様な羽を持ち、墨色の髪と目を持つ女の子の精霊の体長は約10cm程だろうか。
今はエミリーの肩に留まって、エミリーの人差し指で頭を優しく撫でられニコニコと笑っている。
「この子はあたくしの契約精霊、シュワーツよん。この子がね、エルちゃんは精霊女王と精霊に愛されし精霊姫だと言うのよん。その証拠に、エルちゃんの周りには常に精霊がたくさんいるわん。
さっきの現象もね、シュワーツがエルちゃんの周りにいる精霊の仕業だって教えてくれたのん。エルちゃんを泣かせたのが許せなかったんですってん」
エミリーの契約精霊のシュワーツが、エミリーの言葉に合わせて泣く仕草や怒る仕草をする。
その様子を微笑ましく見ながら話していたエミリーが真剣な表情をする。
「フリッツィ、一つだけ忠告しておくわん。
精霊はね、とても単純なのよん。自分の愛しい存在が傷つけられた、じゃあその原因を排除してやろうって感じにねん。
今回はシロガネちゃんが抑えてくれたから良かったもののん、今後はどうなるかわからないわん。
エルちゃんの周りの存在にはよくよく気をつけなさいなん」
「忠告、感謝する」
「あらん、いいのよん。気にしないでん」
エミリーは暗くなってしまった雰囲気を和ませようと、ヒラヒラと手を振り明るく振る舞ってくれた。
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