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第四章
大人達の会議⑧
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〈父:フリッツィSide〉
〔ただいま〕
【只今戻った】
白銀と黄金の淡い光の粒子と共に、ペルル殿とシロガネ殿がサロンのテーブルの上に現れる。
「ペルルちゃん、シロガネちゃん、エルシーアは大丈夫なのよね…?」
妻が不安そうに瞳を揺らしながら、おふたりに問い掛ける。
そんな妻の質問に対し、ペルル殿とシロガネ殿が目を合わせると、
〈特に問題はないよ。ただ、穢に触れたせいでちょっと魘されてただけ。それも解決して今はウィルフリードと一緒に熟睡してる。後はお腹が減ったら起きてくるんじゃない?〉
「そうですか…。よかった…」
ペルル殿の言葉に安堵した様で、妻がほっと息を吐き出す。
しかし、ペルル殿とシロガネ殿は何かを伏せている様にも感じる。
必要とあらばおふたりから話があるだろうし、今はまだその時ではないのかも知れない。
【それで?話はどこまで進んだ?】
「そうですね。聖神国で新たな邪神が誕生した事、カーラ嬢がその邪神に精神操作を受けていた事を説明したところです。後はエミリーに協力してもらい、カーラ嬢とハンナ夫人から今回の記憶を消す事を説明しました」
【そうか。カーラは人が心の奥底に持つ負の感情を増幅させる香水『惑わす者』と、人を享楽や欲望のままに行動させる禁薬『堕落の雫』を使用していた。
恐らくアーデルハードの話に出てきた、カーラが懇意にしていた占い師と言うのが邪神で、惑わされて使用したのだろう。
アーデルハード、家に帰ったらカーラの部屋を捜索しろ。『堕落の雫』はカーラがウィルフリードに渡そうとしていた焼き菓子に使われたため残っていないかも知れないが、『惑わす者』はまだ残っているはずだ。浄化してからでないと処分できない故、我らが王都に滞在している1週間の間に持ってくるのだ】
「かしこまりました。家に戻り次第調べたいと思います」
シロガネ殿の指示にアーデルハードが頷く。
「それじゃあ、今後の方針を決めようか。
まずはアーデルハード。シロガネ殿の指示通り、まずはカーラ嬢の部屋を捜索。また、屋敷の使用人からの情報収集だ。期限は1週間。いいね?」
「はい、兄上」
「次にエミリー。君にはこの後、カーラ嬢とハンナ夫人の記憶操作をしてもらう。エミリーには頼りっぱなしだけど、お願いしたい。後、王都に滞在中はなるべくエルシーアの側に居てもらえると安心かな」
「はいはぁ~い♪OKよん☆」
「ハリエットはお茶会やサロンでの情報収集だ。収集する内容は、ここ1年間で話題になっている占い師と、性格または態度が変わった者の情報だね。
精神操作を受けているのがカーラ嬢だけとは限らないからね。
アーデルハード、君にも自身の演奏会などで情報収集をしてみてくれ。
だけど、決して無理や無茶はしない様に。自分自身の身の安全を最優先にして欲しい」
「えぇ、わかったわ」
「十分に注意します、兄上」
「よしっ、今後の方針としてはこんな感じかな?後は集まった情報は随時共有していこう。
私は後で陛下に新たな邪神が誕生した事を報告しておくよ」
【フリッツィ、聖神国は新たな邪神が誕生した事に気がついていない。そのため奴らは先の邪神を復活せんと躍起になっている。引き続き聖神国の動きにも注意せよ】
「かしこまりました」
確かに聖神国は不穏な動きを見せている。
愛しい我が子だけでなく、王国全ての子ども達を護るためにも、聖神国の監視を怠らない様にしなくては。
だけど、今は──
「今後の方針も決まったし、お昼ごはんにしようか。
アーデルハード、カーラ嬢もハンナ夫人もまだ眠っている。お昼ごはんはウチで食べて行きなさい」
「ありがとうございます、兄上。ではお言葉に甘えさせていただきますね」
「ではベアティ、私達は食堂に移動するから、バメイに昼食の準備をする様に伝えてくれるかい?」
「かしこまりました。では、失礼いたします」
ベアティが一礼をし、サロンから退室する。
「さて、私達も移動しようか」
私が声をかけると、妻がペルル殿を、エミリーがシロガネ殿を抱き上げる。
私はそんな妻をエスコートしながら食堂まで移動する。
しかし、王都に着いてまだ半日しか経っていないのに疲れたな…。
明日はお披露目の儀式で、明後日は王宮で王妃主催のお茶会だ。
お披露目の儀式もお茶会も、何事もなく無事に終わって欲しいものだ。
〔ただいま〕
【只今戻った】
白銀と黄金の淡い光の粒子と共に、ペルル殿とシロガネ殿がサロンのテーブルの上に現れる。
「ペルルちゃん、シロガネちゃん、エルシーアは大丈夫なのよね…?」
妻が不安そうに瞳を揺らしながら、おふたりに問い掛ける。
そんな妻の質問に対し、ペルル殿とシロガネ殿が目を合わせると、
〈特に問題はないよ。ただ、穢に触れたせいでちょっと魘されてただけ。それも解決して今はウィルフリードと一緒に熟睡してる。後はお腹が減ったら起きてくるんじゃない?〉
「そうですか…。よかった…」
ペルル殿の言葉に安堵した様で、妻がほっと息を吐き出す。
しかし、ペルル殿とシロガネ殿は何かを伏せている様にも感じる。
必要とあらばおふたりから話があるだろうし、今はまだその時ではないのかも知れない。
【それで?話はどこまで進んだ?】
「そうですね。聖神国で新たな邪神が誕生した事、カーラ嬢がその邪神に精神操作を受けていた事を説明したところです。後はエミリーに協力してもらい、カーラ嬢とハンナ夫人から今回の記憶を消す事を説明しました」
【そうか。カーラは人が心の奥底に持つ負の感情を増幅させる香水『惑わす者』と、人を享楽や欲望のままに行動させる禁薬『堕落の雫』を使用していた。
恐らくアーデルハードの話に出てきた、カーラが懇意にしていた占い師と言うのが邪神で、惑わされて使用したのだろう。
アーデルハード、家に帰ったらカーラの部屋を捜索しろ。『堕落の雫』はカーラがウィルフリードに渡そうとしていた焼き菓子に使われたため残っていないかも知れないが、『惑わす者』はまだ残っているはずだ。浄化してからでないと処分できない故、我らが王都に滞在している1週間の間に持ってくるのだ】
「かしこまりました。家に戻り次第調べたいと思います」
シロガネ殿の指示にアーデルハードが頷く。
「それじゃあ、今後の方針を決めようか。
まずはアーデルハード。シロガネ殿の指示通り、まずはカーラ嬢の部屋を捜索。また、屋敷の使用人からの情報収集だ。期限は1週間。いいね?」
「はい、兄上」
「次にエミリー。君にはこの後、カーラ嬢とハンナ夫人の記憶操作をしてもらう。エミリーには頼りっぱなしだけど、お願いしたい。後、王都に滞在中はなるべくエルシーアの側に居てもらえると安心かな」
「はいはぁ~い♪OKよん☆」
「ハリエットはお茶会やサロンでの情報収集だ。収集する内容は、ここ1年間で話題になっている占い師と、性格または態度が変わった者の情報だね。
精神操作を受けているのがカーラ嬢だけとは限らないからね。
アーデルハード、君にも自身の演奏会などで情報収集をしてみてくれ。
だけど、決して無理や無茶はしない様に。自分自身の身の安全を最優先にして欲しい」
「えぇ、わかったわ」
「十分に注意します、兄上」
「よしっ、今後の方針としてはこんな感じかな?後は集まった情報は随時共有していこう。
私は後で陛下に新たな邪神が誕生した事を報告しておくよ」
【フリッツィ、聖神国は新たな邪神が誕生した事に気がついていない。そのため奴らは先の邪神を復活せんと躍起になっている。引き続き聖神国の動きにも注意せよ】
「かしこまりました」
確かに聖神国は不穏な動きを見せている。
愛しい我が子だけでなく、王国全ての子ども達を護るためにも、聖神国の監視を怠らない様にしなくては。
だけど、今は──
「今後の方針も決まったし、お昼ごはんにしようか。
アーデルハード、カーラ嬢もハンナ夫人もまだ眠っている。お昼ごはんはウチで食べて行きなさい」
「ありがとうございます、兄上。ではお言葉に甘えさせていただきますね」
「ではベアティ、私達は食堂に移動するから、バメイに昼食の準備をする様に伝えてくれるかい?」
「かしこまりました。では、失礼いたします」
ベアティが一礼をし、サロンから退室する。
「さて、私達も移動しようか」
私が声をかけると、妻がペルル殿を、エミリーがシロガネ殿を抱き上げる。
私はそんな妻をエスコートしながら食堂まで移動する。
しかし、王都に着いてまだ半日しか経っていないのに疲れたな…。
明日はお披露目の儀式で、明後日は王宮で王妃主催のお茶会だ。
お披露目の儀式もお茶会も、何事もなく無事に終わって欲しいものだ。
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