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第一章
すぐにお金持ち?
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フランチェスカさんの指名した四人以外は私にヘアメイクをさせてくれなかった。ということで、私の仕事は終わり。
部屋に戻って、ワゴンに入れていたカルテに四人の情報を書き留める。デルバールの従業員全員のデータを書き留めるにはカルテの紙が足りない。紙で新しいカルテを作ってもらうにはいくらぐらいかかるんだろう。フランチェスカさんに聞かなくては。
私はため息をついた。
お金がいる。もう一度、サロンを開くために必要なお金。そして、今、デルバールで働くために必要な道具代。化粧品はどのくらいの値段なんだろう。シャンプーは? 香油は?
手っ取り早く稼ぐ方法ってないのかな。えっちゃんなら、知ってそうだけど。私の知っている異世界ものなら、食べ物の革命を起こしたりするんだけど、私にはそんな知識はない。マヨネーズなんて作れない。大体、ここの食事、おいしいよね。パンもふわふわとか固いのとか、色々あるみたいだし。
私はため息をつくと、カルテをしまい、眠ることにした。
次の日はミルルちゃんに起こされる前に起きることができた。みんなは夜が遅いから、まだ、眠っているはず。部屋を出ると、イブさんにバッタリ会った。シャワーを浴びた後のようなガウン姿で髪の毛も濡れている。
壮絶に色っぽい。
「おはようございます。イブさん、髪の毛を乾かさないとダメですよ」
「おはよう。でも、もう眠くって」
あくびをしている。
「私の部屋に来てください。乾かしますから」
「いいの。ただ、お礼を言いたかっただけだから。本当にありがとう」
「髪のことなら、仕事ですから。それより、ほら、入ってください」
手を引っ張って部屋の中に入ると、ベッドに座ってもらった。ドライヤーをかける。
「すぐに乾かさないと髪が痛むんですよ。めんどくさかったら、私に声をかけてください」
「ありがとう」
「だから、仕事ですから、遠慮する必要ないんです。どんどん私を使ってください」
「そうじゃなくて。あのね、私、自分の髪が嫌だったの。重くて固くて。それが昨日ね、お客様が私の髪を綺麗だって褒めてくれたの。あなたのおかげよ」
「元々がいい髪なんですよ」
そう言いながら、じわじわと嬉しさが込み上げてくる。そうだ、サロンを開くのは遠い目標。まずはデルバールできちんと働かなくては。
「イブ、まだ、寝てなかったのかい」
フランチェスカさんが隣から顔を出した。
「すみません、うるさかったですか?」
ドアを開けっぱなしにしていた。
「いや、大丈夫だけど、イブは今夜も仕事だからね」
「髪の毛を乾かしてもらったらすぐに寝ます。それから、金のかんざしは2本買ってもらいました」
イブさんの報告に私はびっくりした。
「2本も?」
「そう、すごく気に入ってくれたみたい。マリアのおかげよ」
「でも、かんざしってすごく高いんでしょう」
値段は聞いていないけど、どれも金と宝石だったし、デザインも素敵だった。
フランチェスカさんがふふっと笑った。
「これで、昨日の金のかんざしは全部売れたからね」
「え、全部、売れた?」
「うちのお客様はお金持ちだ。『次に会う時はあなたが買ってくれたかんざしを身につけたいの』なんて甘えられたら、すぐに買うさ」
「デルバールでいいお客と思われるのは名誉になるから」
イブさんが付け加えた。
ステータスってことですね。
体目当てだけじゃないのか。キャバレーみたいな感じ? いや、高級ってことだから、銀座の会員制クラブって感じ?
「あ、髪、乾きました」
しゃべっていても、手は自動的に動く。イブさんの髪の毛は乾いてしまった。
「本当にきれいな髪だったんだね」
フランチェスカさんが感心した様子でイブさんの髪を眺めた。
「私も自分の髪がこんなに綺麗なんて知りませんでした」
イブさんはにっこりと笑った。
「もう、寝ます。お休みなさい」
「お休みなさい」
イブさんを見送ると、フランチェスカさんは部屋に入ってきて、ドアを閉めた。それから、私を見て、大きくため息をついた。
「その道具はマリアの世界から持ってきたものなんだね」
「はい、ドライヤーって言います。髪の毛を乾かす道具です。この世界では使えないと思ってたら、魔法の力か、使えました。イブさんには魔道具だって言っておきました」
「そんな髪の毛を乾かす道具なんて、この世界にはないんだよ。落ち人だとバレたら大変なんだから、もう使わないでおくれ」
「あの、昨日、大勢の人の前で使っちゃいました」
フランチェスカさんはため息をつくと、片手で頭を押さえた。
「仕方ない。また、商人ギルドに行くよ。珍しくないように売り出すんだ」
「はいっ」
私は元気よく答えた。
「それから、かんざし代、マリアの取り分は20万ネイになる」
「あの、20万ネイって、どのくらい価値があるんですか? イメージがわかなくて」
「女性が余裕で一カ月生活できるぐらいさ」
じゃあ、ネイは円と同じぐらいの価値なのかな。え、待って。私、1晩で20万稼いだことになる?
それにドライヤーを売り出すとしたら、かんざしと違って安いかもしれないけど、ドライヤーは誰でも使うものだから、すごく売れるかもしれない。
あっという間に大金持ちになれるんじゃない?
そうしたら、パーマ液の開発するのもいいかも。それにサロンの開業資金も早く貯まりそう。私のヘアサロンで1290万だった。内、自己資金は300万だったけど、ここでは全額、自己資金で頑張るしかないよね。よし、貯金目標は1500万ネイだ!
ふと、自分に5000万の値がついたことを思い出した。まあ、黒マントさんは元々、買うつもりがなかったとはいえ、すごい値段だ。
「なぜ、落ち人に高い値がつくか、わかっただろう。元の世界の知識で簡単にお金をかせいでしまったんだ。まずはこの世界の常識をしっかり、身につけておくれ」
私はうなずいた。
お金持ちになると思って、浮かれた顔をしていたせいか、フランチェスカさんに釘を刺されてしまった。
「でも、お金を稼げたのはフランチェスカさんのおかげです。一人ではかんざしを作るところも売り込むところもわかりません」
「まあ、ちょうど、マリアの知識とこの店の相性がいいんだね」
「これからもお願いします。私、お店を開くお金を稼ぎたいんです」
「わかってるよ。それにマリアはうっかり、元の世界の物を使ったりしそうだからね。その前に市場に出して、買っただけだと言い訳できるようにしておいた方がいいだろう」
フランチェスカさんは考え込んだ。
「商人ギルドに行くのはやめだ。ギルド長には来てもらって、マリアの世界の物、全てについて作れるか見てもらおう」
部屋に戻って、ワゴンに入れていたカルテに四人の情報を書き留める。デルバールの従業員全員のデータを書き留めるにはカルテの紙が足りない。紙で新しいカルテを作ってもらうにはいくらぐらいかかるんだろう。フランチェスカさんに聞かなくては。
私はため息をついた。
お金がいる。もう一度、サロンを開くために必要なお金。そして、今、デルバールで働くために必要な道具代。化粧品はどのくらいの値段なんだろう。シャンプーは? 香油は?
手っ取り早く稼ぐ方法ってないのかな。えっちゃんなら、知ってそうだけど。私の知っている異世界ものなら、食べ物の革命を起こしたりするんだけど、私にはそんな知識はない。マヨネーズなんて作れない。大体、ここの食事、おいしいよね。パンもふわふわとか固いのとか、色々あるみたいだし。
私はため息をつくと、カルテをしまい、眠ることにした。
次の日はミルルちゃんに起こされる前に起きることができた。みんなは夜が遅いから、まだ、眠っているはず。部屋を出ると、イブさんにバッタリ会った。シャワーを浴びた後のようなガウン姿で髪の毛も濡れている。
壮絶に色っぽい。
「おはようございます。イブさん、髪の毛を乾かさないとダメですよ」
「おはよう。でも、もう眠くって」
あくびをしている。
「私の部屋に来てください。乾かしますから」
「いいの。ただ、お礼を言いたかっただけだから。本当にありがとう」
「髪のことなら、仕事ですから。それより、ほら、入ってください」
手を引っ張って部屋の中に入ると、ベッドに座ってもらった。ドライヤーをかける。
「すぐに乾かさないと髪が痛むんですよ。めんどくさかったら、私に声をかけてください」
「ありがとう」
「だから、仕事ですから、遠慮する必要ないんです。どんどん私を使ってください」
「そうじゃなくて。あのね、私、自分の髪が嫌だったの。重くて固くて。それが昨日ね、お客様が私の髪を綺麗だって褒めてくれたの。あなたのおかげよ」
「元々がいい髪なんですよ」
そう言いながら、じわじわと嬉しさが込み上げてくる。そうだ、サロンを開くのは遠い目標。まずはデルバールできちんと働かなくては。
「イブ、まだ、寝てなかったのかい」
フランチェスカさんが隣から顔を出した。
「すみません、うるさかったですか?」
ドアを開けっぱなしにしていた。
「いや、大丈夫だけど、イブは今夜も仕事だからね」
「髪の毛を乾かしてもらったらすぐに寝ます。それから、金のかんざしは2本買ってもらいました」
イブさんの報告に私はびっくりした。
「2本も?」
「そう、すごく気に入ってくれたみたい。マリアのおかげよ」
「でも、かんざしってすごく高いんでしょう」
値段は聞いていないけど、どれも金と宝石だったし、デザインも素敵だった。
フランチェスカさんがふふっと笑った。
「これで、昨日の金のかんざしは全部売れたからね」
「え、全部、売れた?」
「うちのお客様はお金持ちだ。『次に会う時はあなたが買ってくれたかんざしを身につけたいの』なんて甘えられたら、すぐに買うさ」
「デルバールでいいお客と思われるのは名誉になるから」
イブさんが付け加えた。
ステータスってことですね。
体目当てだけじゃないのか。キャバレーみたいな感じ? いや、高級ってことだから、銀座の会員制クラブって感じ?
「あ、髪、乾きました」
しゃべっていても、手は自動的に動く。イブさんの髪の毛は乾いてしまった。
「本当にきれいな髪だったんだね」
フランチェスカさんが感心した様子でイブさんの髪を眺めた。
「私も自分の髪がこんなに綺麗なんて知りませんでした」
イブさんはにっこりと笑った。
「もう、寝ます。お休みなさい」
「お休みなさい」
イブさんを見送ると、フランチェスカさんは部屋に入ってきて、ドアを閉めた。それから、私を見て、大きくため息をついた。
「その道具はマリアの世界から持ってきたものなんだね」
「はい、ドライヤーって言います。髪の毛を乾かす道具です。この世界では使えないと思ってたら、魔法の力か、使えました。イブさんには魔道具だって言っておきました」
「そんな髪の毛を乾かす道具なんて、この世界にはないんだよ。落ち人だとバレたら大変なんだから、もう使わないでおくれ」
「あの、昨日、大勢の人の前で使っちゃいました」
フランチェスカさんはため息をつくと、片手で頭を押さえた。
「仕方ない。また、商人ギルドに行くよ。珍しくないように売り出すんだ」
「はいっ」
私は元気よく答えた。
「それから、かんざし代、マリアの取り分は20万ネイになる」
「あの、20万ネイって、どのくらい価値があるんですか? イメージがわかなくて」
「女性が余裕で一カ月生活できるぐらいさ」
じゃあ、ネイは円と同じぐらいの価値なのかな。え、待って。私、1晩で20万稼いだことになる?
それにドライヤーを売り出すとしたら、かんざしと違って安いかもしれないけど、ドライヤーは誰でも使うものだから、すごく売れるかもしれない。
あっという間に大金持ちになれるんじゃない?
そうしたら、パーマ液の開発するのもいいかも。それにサロンの開業資金も早く貯まりそう。私のヘアサロンで1290万だった。内、自己資金は300万だったけど、ここでは全額、自己資金で頑張るしかないよね。よし、貯金目標は1500万ネイだ!
ふと、自分に5000万の値がついたことを思い出した。まあ、黒マントさんは元々、買うつもりがなかったとはいえ、すごい値段だ。
「なぜ、落ち人に高い値がつくか、わかっただろう。元の世界の知識で簡単にお金をかせいでしまったんだ。まずはこの世界の常識をしっかり、身につけておくれ」
私はうなずいた。
お金持ちになると思って、浮かれた顔をしていたせいか、フランチェスカさんに釘を刺されてしまった。
「でも、お金を稼げたのはフランチェスカさんのおかげです。一人ではかんざしを作るところも売り込むところもわかりません」
「まあ、ちょうど、マリアの知識とこの店の相性がいいんだね」
「これからもお願いします。私、お店を開くお金を稼ぎたいんです」
「わかってるよ。それにマリアはうっかり、元の世界の物を使ったりしそうだからね。その前に市場に出して、買っただけだと言い訳できるようにしておいた方がいいだろう」
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