昨日の自分にサヨナラ

林 業

文字の大きさ
10 / 148
沈黙の日々

8,襲撃(酔)

地面に下りて、体を伸ばす。
各々できる限り集まって寝ているらしいが、まぁいいかと歩いて消えかかった焚き火に薪を入れる。

近くで眠りこけている体育教師なのか肉付きの良い男性教諭を見る。
駄目だ。こいつ。
などと思いつつも、昨日のうちに作っていた川の中の罠を見る。

数匹捕まっているので早速と魚を回収して、スープにする。

ここまでの大所帯のご飯は大変だと眺めるも魚でさっさとスープを作る。


その臭いに釣られて起きてくる教師や生徒は早速と昨日教えたばっかりの果物などを採取して他に配膳を考えている。

非常食はできる限り温存したい。



全員がご飯を食べて、片付けを行い、早速と出発する。
どうやら昨夜の職員たちで会議を行い、下ることにしたらしい。
魔王と呼ばれる、身元が不確かなものがいるところよりは。だそうだ。

現状から言えばどちらも不確かなのをわかっていない。

革から少し離れた歩きやすい土の上を、川を確認しながら進む。


サガラが棒の先を持って引っ張ってくれるのがありがたい。

歩くスピードですら二倍近く違うので引っ張ってくれると助かる。
その分負担も大きいだろうが、時々カヤマやタミヤと交代している。


太陽が真上に登ったのを見て足を止める。
どうした?と聞き返して来るので上を示す。

不思議そうに見上げるサガラに、疲れたのかとカヤマが聞き、休ませようとカヤマが生徒に伝言を伝えに行く。
その生徒が別の生徒へ、また別の生徒へ伝えて、先頭を止める。


その間に先頭へ追いつき、その場で休憩開始。
スープ作るかと思ったが、嫌な予感にとりあえず果物と水で済ませる。
鞄の中を見れば、相変わらず自分で蔦を吸っている狼。

本当に野生の子は逞しい。

こっそり排便の手伝いをして、一時間ほどで出発開始。


少し進んだ先で、遭遇するトラママと同種族。
だがトラママよりも一回り以上大きく、よだれを垂らす様子。
襲撃の二文字が浮かぶ。

逃げろと誰かが叫ぶ。
それを下に、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う生徒たち。
長身の男子生徒に担がれてその場を離される自分。
逃げたら追いかけられるのではと純粋に思った。

が、そのうちの一匹と目が合うとがうと嬉しそうに吠える。
まるで、褒めてと言わんばかり。
そのまま身を翻して襲ってくる他の生徒を見る。
流石に襲ってくる相手には返り討ちにしていた。



どういうことだと思考を巡らし、しかし運び方に酔ったと思考を断念する。





安全とも言えるかはわからない場所で、ぐったりと大岩に寄りかかる。

時々水筒の中身を飲んで必死に酔いを覚ます。
そういえば乗り物にあまり乗らないから、酔いやすく、必ず酔い止めを飲んでいたのを思い出す。


目の前がぐわぐわ回って、気持ち悪い。


目を閉じて、必死に収まるのを待つ。
額に濡れタオルを置かれて、見ればタミヤ。
感謝して、鞄の中の飴をこっそり渡す。

苦笑するタミヤ。

そうだ。飴を舐めればと今更ながらに新たに取り出して口にする。



感想 0

あなたにおすすめの小説

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。

明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。 新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。 しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…? 冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。

バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき) ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。 「そうだ、バイトをしよう!」 一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。 教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった! なんで元カレがここにいるんだよ! 俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。 「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」 「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」 なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ! もう一度期待したら、また傷つく? あの時、俺たちが別れた本当の理由は──? 「そろそろ我慢の限界かも」

恋愛騎士物語1~孤独な騎士の婚活日誌~

凪瀬夜霧
BL
「綺麗な息子が欲しい」という実母の無茶な要求で、ランバートは女人禁制、男性結婚可の騎士団に入団する。 そこで出会った騎兵府団長ファウストと、部下より少し深く、けれども恋人ではない微妙な距離感での心地よい関係を築いていく。 友人とも違う、部下としては近い、けれど恋人ほど踏み込めない。そんなもどかしい二人が、沢山の事件を通してゆっくりと信頼と気持ちを育て、やがて恋人になるまでの物語。 メインCP以外にも、個性的で楽しい仲間や上司達の複数CPの物語もあります。活き活きと生きるキャラ達も一緒に楽しんで頂けると嬉しいです。 ー!注意!ー *複数のCPがおります。メインCPだけを追いたい方には不向きな作品かと思います。

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け 完結しました。 たまに番外編更新予定です。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。