昨日の自分にサヨナラ

林 業

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クリスタ王国

7,王城の部屋(不安)

ウロはサガラに抱き上げられており、若干不満そうである。

「アヤ。交代しようか?」
「抱っこ嫌だって言ったのウロ」
強請るようにウロが見るが答えない。
アヤの筋力は低下している。
そのためウロを抱っこすると震えて、何時落とされるかわからない。
なのでカヤマに抱き上げてもらうことを強請り、しかし慣れていないからとサガラにバトンタッチした結果である。

それならアヤがいいと更に強請るが、アヤは応じなかった。

ちなみにウロはサガラ嫌いなわけではなく、犬扱いされたのでご機嫌斜めなだけである。
後でおやつでもあげれば機嫌が直ることは知っている。


お城が見えて、正面が見えてくるとウロが腕から下ろしてと声を出す。
「下ろせばいいのか?」
サガラが下ろせば、ウロは走っているつもりなのだろうがゆっくり歩いている。
そして正面で待ち構えているフリザードに飛びつく。
「おぉ。ウロ。お帰り」
嬉しそうなフリザードは抱き上げて頭を撫でる。
きゅうきゅうと何か語るウロ。
アヤたちも遅れながら到着する。
「お帰り。アヤ。それとサガラ、カヤマ」
「来た」
「陛下。今戻りました」
やっぱり、王様じゃないかとアヤは見て、しかしフリザードは受け流す。
アヤは大きく嬉しそうに頷く。
「アヤの部屋って宿舎なんですか?」
「いや。ウロ。ヴァナルガンドのこともあるからな。別に部屋を用意してある」
「じゃあ、アヤ一人部屋か。いいなー」
サガラが告げて、アヤはフリザードを見る。
フリザードは案内しながら続ける。
「本当は宿舎で特別に許可を取って一人部屋をと考えていたんだが」
フリザードは手を振り、何故か現れた刃物が凍り付く。
「ふぁ、ふぁんたじ」
何が起こったのか説明せず使用人に片付けるよう支持を出すと案内を再開する。
命狙う奴がいるのだとおおよその当たりをつける。
「そもそも異邦人が団体で来ることなど無くてな。致し方がなく教師、大人たちに頼んで引率をお願いしているだろう」
「あぁ。その分小遣いも増額して得られるからな」
二つ返事というわけではない。
だがフリザードが部下に頼んでそれぞれに言うより慣れたものからの引率が彼らの心の拠り所になる。
そうフリザードは判断したことはわかる。
「で、アヤの身元をどちらも引き受けなくてな」
アヤの通う学校の生徒も教師もアヤのことなど興味ないだろう。
かと言ってカヤマたちが通う学校に頼むのも筋違いだろう。
「一応そちらの学園の生徒ではないかと聞いたのだが、一緒に起きたときに居なかった。うちの学校の生徒であっても彼は反抗的で責任は取れない。などと宣うのでな。致し方がなく。致し方がなく、私の保護下に入れることにした」
どうやら本来異邦人が少人数の場合は王の保護下に入り、支持を受けるそうだ。
致し方がなくと言っているが本心は隠せておらず嬉しそうである。
隠せと、視線で訴えれば、こほんと咳払い。
「まぁ、それにウロは病院にいるときも大分人の好奇心で疲弊していたようだからな」
フリザードが来訪し、そのことを訴えれば少々の改善をした。
その後で知ったのだがヴァナルガンドは幸運をもたらすという説があるらしい。
そりゃあ触るか。と思ったものだ。

フリザードが部屋のドアを開ける。
「というわけで。うちの従者はそういう点でも教育している。私の部屋はこの右側で、空いているしで丁度いい」
フリザードがウロを下ろせば、ポテポテと歩きだす。

ベッド横にある犬用のベッドに気付いて、ウロはそこの匂いを嗅いでいる。
そして満足そうに中に入って、整えだす。
「珍しい」
「アヤの服の端切れを入れてあるからな」
納得とアヤはウロの様子を眺める。
切れ端を回収したのはそういうことかと考えを改める。
「フリザードの隣じゃなくてもいいけど」
「ヴァナルガンドの護衛も兼ねていると思ってくれ。子供の頃は特に狙われやすいそうだからな」

ちらりとサガラとカヤマを見れば、二人は特別忌避感があるようには見えず。
良かったと頭の片隅で安堵する。
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