昨日の自分にサヨナラ

林 業

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クリスタ王国

9,無数の運命(混乱)

アヤは目についた店員に話しかける。
米や味噌がほしい。と。
店員と会話をしていれば、支店長と呼ばれた人が出てくる。
派手な髪型ではあるものの、服装はドレス。

アヤは判断つかず眺める。
彼女?彼?も見つめて来る。

心が女性なのか。
それともただ好きな服を着ているだけのか。
悩んだまま眺める。

さらに言えば相手も黙って考えている理由もわからない。
「えっと、はじめまして。アヤです」
「あら、はじめまして。クーデリアというの。よろしくね」
ますますどっちと悩む。
ただ名前は女性名。
じゃあ女性の扱いでいいかと決める。
とりあえずやることはただ一つ米と味噌。
ほしいと願い出る。


必要予算で購入できて安堵。
馬車に積んでくれるというのでお言葉に甘える。


帰宅まで時間があるので、ウロやフリザードのお土産を探す。

(ウロにはおもちゃとおやつとおやつとおやつと)
この間の試供品はまだ販売されていないので別のを買う。
フリザードには、甘いの好きなのでチョコにする。
ナッツの入ったチョコを手に取る。
アヤトは。
考えてから、もし来てくれたらとおやつを眺める。


「あーや。決まったか?」
「あ、うん」
サガラに呼ばれ、レジに向かう。

「どうぞ。今、サービス期間でくじやってるんですよ」
アヤはサガラたちを見て、同じように何か袋を見ている。
差し出された箱から無難なのが当たりますようにと取り出し、鞄に入れる。


買い物袋を抱え、入り口にあったタペストリーに気づく。


「幾重にも広がる大樹の枝のように
  運命もまた無数の可能性を秘めている」


大樹にかかる虹のタペストリー。

「無数の運命」

荷物を抱える。
もっと何かしていれば違ったのだろうか。
もっと抵抗していればよかったのだろうか。

親の理不尽な要求や態度。
学校での暴力を。
教師の見ないふり。

何もないように過ごして、あの場所でフリザードの手助けを受けるしかできず。

病院には叔父叔母が見兼ねて連れて行ってくれたぐらい。

どうすれば、良い方向へ向けれたのか。
そうすれば、アヤトを悲しませることなんてなかったのに。
フリザードの助けを得られずともあの世界で幸せに生きたいと願っただろう。


できることなんて限られている。

わかっていても、わからない。

考えて、考えて。
考えて、証拠を集めて。
親と学校に報復をーーー。


「あーや。どうした」
「こうの。馬車の時間だぞ」
「あ。うん。今行く」

思わず振り返り、しかし視線を感じてそちらを見る。

従業員用のドアが閉まる。
「今あそこ誰書いた?」
「いや?」
「見てないな」
「ありがとう」
何だったのだろうかと妙にむず痒いようなそんな感覚になりながら外に向かう。
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