昨日の自分にサヨナラ

林 業

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クリスタ王国

13,お腹空く(楽)【哀】

アヤは公園に来る。
見上げるほどの大樹が一つ。
道路を挟んだ場所に森林が一つ。
中々に広く、小学校程の中程度の運動場を思わせる。
「良い天気だ」
「だな」
サガラとカヤマは楽しげ。
「ウロ。ここから出たら帰るから」
ウロに言い聞かせるアヤに、本当にやるんだろうなぁとタミヤは観察。
最近では大分足腰がしっかりしてきたウロは楽しげに歩く。

アヤはシートを広げ、カバンからお弁当箱を取り出す。
「おにぎり持ってきた」
「いや。さっき食ったばっかだしなぁ」
「そっか」
アヤはとりあえずとお弁当箱を重し代わりに横に置く。

「アヤこそ腹減ってたら食えよ」
「うん」
アヤは頷いて早速おにぎりを口に運ぶ。

「お腹空いていたのか?」
「食べれるときに食べたい、の。お腹空くは哀しい、こと」
サガラは思わず頭を撫でる。
「何?まだある、よ」
おにぎりを向けられる。
「そう、じゃないんだけど」
なんとも言えないまま、サガラはただ、頭を撫でる。

ウロが飛んできて、こっちも撫でてとサガラに頭を擦り付ける。
「い、イジメてるわけじゃないぞ」
「撫でてって言ってるんだ、よ」
「なんだよ。やっぱお前犬だな」
ウロはピクリと動きを止めて、サガラに威嚇を始める。
「悪かったよ」
手を出しかけた瞬間の唸り声に察してすぐ謝れば威嚇するのを止める。


しばらくサガラは頭を撫でて、立ち上がる。
「よし。ウロ。遊ぶか」
ウロがやったと尻尾を振る。
「ボールと棒ある、よ」
アヤが玩具を取り出す。
サガラは撫でるのを止めて笑う。

「よし。ウロ。遊ぶぞ」

ボールを片手に近場に投げればウロが駆け寄る。
「足腰しっかりしてきたな」
カヤマが本を片手に横に座る。
「床に寝てるといっつも登ってくるからかな」
「床」
「体冷えちゃうよ」
タミヤが覗き込んでくる。
「最近、絨毯ある」
「そりゃあ陛下が気にされてたからだろう」
「今度お礼言っとく」
タミヤは呆れながらもウロがボールで遊びだすのを見て声をかける。
「また投げてあげるからもっておいで」
ウロはボールを見て、迷いつつも持ってくる。
まだ遊び足りないと言わんばかりだがそれでも渋々渡せば、投げてもらうと走っていく。

ウロは疲れたと途中で木の根本で丸くなる。




お弁当箱を見ればおにぎりを掴んでいる少年。
帽子を被り、よく漫画などで見る少年の浮浪者に似た姿。

アヤと目が合い、瞬間、飛び出して走っていく。

しばらく固まったアヤ。
しかしすぐに異常に気づいてカヤマが飛び出し、サガラも追いかける。

アヤはお弁当箱を片手に追いかける。



いるのは二人の子供。
少年と、同じような服の少年。
カヤマとサガラに囲まれて、それでも気丈に立っている。
「返すよ。これ。だから」
「これ」
アヤはお弁当箱を差し出す。
「お弁当箱は洗って返して。それを対価に、あなたにご飯上げる」
「施しはいらない」
「施し違う。手間かかるから洗ってほしいだけ」
「なんだよ。それ」
アヤは思い出す。
家にいた頃。
お腹空いたと泣きじゃくる幼いアヤト。
辛くて、悲しくて。
じいちゃんに会って美味しいご飯をまた食べたかった。
頭を撫でてほしかった。

叶わぬとわかっていても。
「お腹空くは、哀しい。それを知っている。悲しいは、辛い。辛いは犯罪につながる。だからお弁当箱を洗って返す。それが貴方たちへの仕事。お礼におにぎりあげる」
二人は顔を合わせて、任せろと少年は頷く。



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