35 / 148
平和な日々
4,鬼と猫とクロネコ(安堵)
アヤの数歩後ろを歩く二人。
人とすれ違うたびにビクつき、お互いに支え合う様子にあまり人がいない場所を歩く。
道中で、二人を待たせて、脇道に向かったこと以外は特に問題はなかった。
ようやくお城に来て二人はほっと息を吐く。
門番に一緒にもらった証明書の腕輪を示す。
門番に話をしてもたもたと証明書を取り出す二人の説明をする。
どうぞと言われて喜ぶ二人。
中へと進み、しかし固まって動かない二人の手を握って進む。
手から伝わる温もり。
少しだけわかった気がする。
(あーくん)
そう呼ぶ笑顔に、どれだけ救われたか。
そう呼ぶ悲しみに、どれだけ憎悪を膨らませたか。
だから、この温もりを消したくはない。
「フリザード、おー」
「あぁ。お帰り」
フリザードは書類を宰相に渡し、背後の二人を見る。
「なるほど。鬼人族と猫人族か」
びくりと二人が跳ねる。
なんでと怯えつつアヤの後ろに隠れる。
「わかる?帽子に何かあるぐらいしかわかんない」
アヤはアイアの頭を撫でて、フィーが見てくるので撫でる。
「内包魔力でな」
フリザードが椅子から立ち、ウロをアヤに渡す。
アヤは受け取りつつ地面に下ろす。
「ヴォルフ」
衝撃を受けたようなフィーの声にアイアが慌てて止める。
「ゔぉるふ?」
アヤが聞き取り、フリザードはアヤを見る。
「魔王の国ではヴァーナルガンドのことをヴォルフと呼ぶ」
「あぁ。やっぱり狼か」
アヤはウロの頭を撫でる。
ウロは狼なのと嬉しそうに胸を張り、アヤの腕に絡みつく。
「そんなことより魔王に連絡はしておいた。魔王は、なんだ。あんなんだから何時になるかはわからんが」
二人は、あーと何かを浮かべて納得している。
「どんな人?」
「人というか、力そのものだな」
「すっごく優しい方です」
「鬼人より気まぐれだな」
三者三様。
何故か浮かぶ黒猫。
(なんで黒猫?)
考えながらも、話を続ける。
「その間、仕事を手伝ってくれ。その間、屋根のある部屋と毎食の用意、後は従者としての教育を与えよう。あぁ。給金もな」
「それなら」
アイアはアヤを見てから頷く。
「ちなみに手紙ぐらいならご家族に送れるが、書いとくか?」
「俺、もう家族いないから」
ちらりとフィーを見たアイア。
フィーはウロと向き合っている。
「撫でていい?」
「フィー。母ちゃんとこに手紙送れるってよ」
「ほんと!じゃあ、花嫁修業するって送る」
ぱあと笑顔を浮かべ、ウロを撫で回しながら告げる。
「フィーちゃん」
流石のアヤでもいいのかなぁと戸惑う姿にフリザードは気づく。
「なんですか?アヤさん」
笑顔のフィーにアヤはまぁいいかと帽子の上から頭を撫でる。
あっと声を上げるアイアを見て、そっぽを向くので手を伸ばして撫でれば嬉しそうである。
「いい親?フィーちゃんお家は」
「もちろんです」
即答するフィーにそっかとアヤは頷く。
「アヤさんの親は?」
「ろくでなし」
即答したアヤに、フィーは反射的にごめんなさいと謝罪する。
人とすれ違うたびにビクつき、お互いに支え合う様子にあまり人がいない場所を歩く。
道中で、二人を待たせて、脇道に向かったこと以外は特に問題はなかった。
ようやくお城に来て二人はほっと息を吐く。
門番に一緒にもらった証明書の腕輪を示す。
門番に話をしてもたもたと証明書を取り出す二人の説明をする。
どうぞと言われて喜ぶ二人。
中へと進み、しかし固まって動かない二人の手を握って進む。
手から伝わる温もり。
少しだけわかった気がする。
(あーくん)
そう呼ぶ笑顔に、どれだけ救われたか。
そう呼ぶ悲しみに、どれだけ憎悪を膨らませたか。
だから、この温もりを消したくはない。
「フリザード、おー」
「あぁ。お帰り」
フリザードは書類を宰相に渡し、背後の二人を見る。
「なるほど。鬼人族と猫人族か」
びくりと二人が跳ねる。
なんでと怯えつつアヤの後ろに隠れる。
「わかる?帽子に何かあるぐらいしかわかんない」
アヤはアイアの頭を撫でて、フィーが見てくるので撫でる。
「内包魔力でな」
フリザードが椅子から立ち、ウロをアヤに渡す。
アヤは受け取りつつ地面に下ろす。
「ヴォルフ」
衝撃を受けたようなフィーの声にアイアが慌てて止める。
「ゔぉるふ?」
アヤが聞き取り、フリザードはアヤを見る。
「魔王の国ではヴァーナルガンドのことをヴォルフと呼ぶ」
「あぁ。やっぱり狼か」
アヤはウロの頭を撫でる。
ウロは狼なのと嬉しそうに胸を張り、アヤの腕に絡みつく。
「そんなことより魔王に連絡はしておいた。魔王は、なんだ。あんなんだから何時になるかはわからんが」
二人は、あーと何かを浮かべて納得している。
「どんな人?」
「人というか、力そのものだな」
「すっごく優しい方です」
「鬼人より気まぐれだな」
三者三様。
何故か浮かぶ黒猫。
(なんで黒猫?)
考えながらも、話を続ける。
「その間、仕事を手伝ってくれ。その間、屋根のある部屋と毎食の用意、後は従者としての教育を与えよう。あぁ。給金もな」
「それなら」
アイアはアヤを見てから頷く。
「ちなみに手紙ぐらいならご家族に送れるが、書いとくか?」
「俺、もう家族いないから」
ちらりとフィーを見たアイア。
フィーはウロと向き合っている。
「撫でていい?」
「フィー。母ちゃんとこに手紙送れるってよ」
「ほんと!じゃあ、花嫁修業するって送る」
ぱあと笑顔を浮かべ、ウロを撫で回しながら告げる。
「フィーちゃん」
流石のアヤでもいいのかなぁと戸惑う姿にフリザードは気づく。
「なんですか?アヤさん」
笑顔のフィーにアヤはまぁいいかと帽子の上から頭を撫でる。
あっと声を上げるアイアを見て、そっぽを向くので手を伸ばして撫でれば嬉しそうである。
「いい親?フィーちゃんお家は」
「もちろんです」
即答するフィーにそっかとアヤは頷く。
「アヤさんの親は?」
「ろくでなし」
即答したアヤに、フィーは反射的にごめんなさいと謝罪する。
あなたにおすすめの小説
処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。
明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。
新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。
しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…?
冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
恋愛騎士物語1~孤独な騎士の婚活日誌~
凪瀬夜霧
BL
「綺麗な息子が欲しい」という実母の無茶な要求で、ランバートは女人禁制、男性結婚可の騎士団に入団する。
そこで出会った騎兵府団長ファウストと、部下より少し深く、けれども恋人ではない微妙な距離感での心地よい関係を築いていく。
友人とも違う、部下としては近い、けれど恋人ほど踏み込めない。そんなもどかしい二人が、沢山の事件を通してゆっくりと信頼と気持ちを育て、やがて恋人になるまでの物語。
メインCP以外にも、個性的で楽しい仲間や上司達の複数CPの物語もあります。活き活きと生きるキャラ達も一緒に楽しんで頂けると嬉しいです。
ー!注意!ー
*複数のCPがおります。メインCPだけを追いたい方には不向きな作品かと思います。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
完結しました。
たまに番外編更新予定です。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。