昨日の自分にサヨナラ

林 業

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平和な日々

4,鬼と猫とクロネコ(安堵)

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アヤの数歩後ろを歩く二人。
人とすれ違うたびにビクつき、お互いに支え合う様子にあまり人がいない場所を歩く。

道中で、二人を待たせて、脇道に向かったこと以外は特に問題はなかった。

ようやくお城に来て二人はほっと息を吐く。
門番に一緒にもらった証明書の腕輪を示す。
門番に話をしてもたもたと証明書を取り出す二人の説明をする。
どうぞと言われて喜ぶ二人。
中へと進み、しかし固まって動かない二人の手を握って進む。

手から伝わる温もり。
少しだけわかった気がする。
(あーくん)
そう呼ぶ笑顔に、どれだけ救われたか。
そう呼ぶ悲しみに、どれだけ憎悪を膨らませたか。

だから、この温もりを消したくはない。


「フリザード、おー」
「あぁ。お帰り」
フリザードは書類を宰相に渡し、背後の二人を見る。
「なるほど。鬼人族と猫人族か」
びくりと二人が跳ねる。

なんでと怯えつつアヤの後ろに隠れる。
「わかる?帽子に何かあるぐらいしかわかんない」
アヤはアイアの頭を撫でて、フィーが見てくるので撫でる。
「内包魔力でな」
フリザードが椅子から立ち、ウロをアヤに渡す。
アヤは受け取りつつ地面に下ろす。


「ヴォルフ」
衝撃を受けたようなフィーの声にアイアが慌てて止める。

「ゔぉるふ?」
アヤが聞き取り、フリザードはアヤを見る。
「魔王の国ではヴァーナルガンドのことをヴォルフと呼ぶ」
「あぁ。やっぱり狼か」
アヤはウロの頭を撫でる。

ウロは狼なのと嬉しそうに胸を張り、アヤの腕に絡みつく。


「そんなことより魔王に連絡はしておいた。魔王は、なんだ。あんなんだから何時になるかはわからんが」
二人は、あーと何かを浮かべて納得している。
「どんな人?」
「人というか、力そのものだな」
「すっごく優しい方です」
「鬼人より気まぐれだな」

三者三様。
何故か浮かぶ黒猫。

(なんで黒猫?)
考えながらも、話を続ける。
「その間、仕事を手伝ってくれ。その間、屋根のある部屋と毎食の用意、後は従者としての教育を与えよう。あぁ。給金もな」
「それなら」
アイアはアヤを見てから頷く。
「ちなみに手紙ぐらいならご家族に送れるが、書いとくか?」
「俺、もう家族いないから」
ちらりとフィーを見たアイア。
フィーはウロと向き合っている。
「撫でていい?」
「フィー。母ちゃんとこに手紙送れるってよ」
「ほんと!じゃあ、花嫁修業するって送る」
ぱあと笑顔を浮かべ、ウロを撫で回しながら告げる。

「フィーちゃん」
流石のアヤでもいいのかなぁと戸惑う姿にフリザードは気づく。
「なんですか?アヤさん」
笑顔のフィーにアヤはまぁいいかと帽子の上から頭を撫でる。
あっと声を上げるアイアを見て、そっぽを向くので手を伸ばして撫でれば嬉しそうである。

「いい親?フィーちゃんお家は」
「もちろんです」
即答するフィーにそっかとアヤは頷く。
「アヤさんの親は?」
「ろくでなし」
即答したアヤに、フィーは反射的にごめんなさいと謝罪する。
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