昨日の自分にサヨナラ

林 業

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時戻り

2, |放置《ネグレクト》の果てに(夢?)

彼を見つけたのは最初に成績を落としたとき。
家の外に追い出された。
ご飯は無く、半べそをかきながら庭先に蹲っていた。
アヤトの前で泣きださなかった自分を心の中で褒める。
同時に、何が悪かったのかひたすら考える。


唐突に訪れる寒さに、身を震わせる。
何かないかと周囲を見回して。
そして松の木を見つける。
「じいちゃん。ばあちゃん。あいたい」

ぽつりと声を零して、その根本の穴を眺める。


(このまま、どっかにいければ。でもアヤトが独りぼっちになる)
ぼんやりと眺めて、とりあえず寒さから見を守るためと潜り込む。



ぱっと目を開ければ見知らぬ場所。
豪華そうな調度品。
祖父に連れて行かれた家具屋の品質よりも良さげである。

まるで祖母が読んでいた写真集で見た王侯貴族が使っていたものと似ている。

ぼんやりと眺めていれば、そこに同い年ぐらいの少年がいる。

何か言っているのか口が動くが読み取れず聞き取れず。

身を固めていればお腹が鳴る。
はっとお腹を抱えれば、彼はしばらくきょとんとした表情で見つめてくる。

そしてそっと袋から一枚のクッキーを渡してくる。

悪い子ではないのだろう。
恐る恐る受け取り、口に運ぶ。

自分は何か悪いことをしたのだろうか。
あの人たちより祖父母がいなくなったのはその罰なのだろうか。
アヤトにもあげたいけど味がない。
それでも、それでも、嬉しい。
お腹が空いて、訴えても、お腹が鳴っただけでも、卑しいやつ。と殴られない。


お礼を言わなきゃと立ち上がり、お礼代わりに頭を下げる。
頭を上げるともう一枚と差し出してくるその姿はほんのりと照れ臭そうな様子である。

眺めてから受け取り、半分にして渡す。

ぽかーんと見つめてきた姿に周囲を見て持っていた袋を広げる。
数十枚のクッキー。
手を広げて、椅子に座らせてくる。
一緒に食べようと言わんばかりに目の前に座ってクッキーを向けてくる。

思わず受け取り、口に運び、あなたのなんだからとクッキーを差し出せば嬉しそうに食いついてくる。
雛鳥みたいだなぁと眺めていればまた向けてくる。
受け取ろうと手を出すが、持ち上げられ、なんだと首を捻る。

口に向けてくるのでお返しだと気づいて口にする。

そこで、気づく。


(これがばあちゃんがドラマみて、あこがれ。とかいっていた、あーん?)

等と考えつつ食べる。

気づいたら眠っていて、何故か自宅のソファーの上に寝ていた。
親に気づかれたらまずいと慌てて階段下の物置へ隠れる。

夢かと考え、それでもうろ覚えな彼に再び会いたかった。
そしたら翌日もいた。

暫くして学校でいじめが始まった。

彼から眼帯のプレゼントを貰った。
どうせ夢から覚める頃には消えるだろうと思った。
だけど眼帯は消えず、それで目を覆ったらその理由でのいじめはなくなった。

まだいじめは続いていたが。
   
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