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時戻り
8,夜のひととき(苦手)
アヤはウロに子供が独りで動くことの危険を伝える。
その横で晩酌がてらアヤの作ったおつまみを口にするフリザード。
お酒を飲む人は親を思い出して嫌いだ。
親は機嫌が悪ければ殴り、機嫌が良くてもこちらを罵る。
そのたびに子育てに失敗したと嘆く祖父母の背中を思い出す。
だからお酒は苦手だった。
最近は寝る時間が遅くなったアヤに合わせてか晩酌を部屋でするようになった。
前までは執務室か、お酒臭いとアヤに寝言で言われてからは飲まずにいたそうだ。
とはいえ、フリザードは冷え性であるため、冷えた日には飲まなければ眠れない日もあるそうだ。
量を減らして飲むようになったらしい。
ただ、フリザードは何も食べずに飲もうとする。
なのでおつまみを作れば、嬉しそうに笑う。
最近ではそれが見たくて飲まないの?と聞いてしまうほどにはフリザードの晩酌は嫌いではない。
ちなみにフリザードの好みは広まっているワインよりは蒸留酒らしい。
(日本酒、飲ませてみたいなぁ)
アルカンシェルはお酒を作っていないそうで、レシピは異世界にもある酒屋に委託するそうだ。
売っているのはワインとか蒸留酒だが。
確か、その辺りの知識も知っていたはずだとノートを取り出して、思い出しながら書き込む。
米があるからイケるはず。と。
「今度は何を思いついた?」
「思いついたのはフリザードに故郷のお酒飲んでほしいこと」
「ほう」
フリザードが珍しく食いつく。
お酒好きなんだと改めて考える。
「作るのか?」
「んー。色々と工程と機材が面倒だし、知ってても、酒造法があったから職人に任せたほうがいいかなって」
「今なんと?」
「お酒作る許可ってこっちどうなってる?」
「あぁ。製造許可のことか。あるぞ」
「じゃあ、駄目じゃん」
「我が国にはないがな」
「ないの!」
「あぁ。だが、自分で作るよりは、他国のドワーフたちに任せたほうが美味い。だから我が国では基本、酒に関する法律は子供が飲むな。後は国から認められた酒蔵があるくらいだな。ちゃんとした材料を使っている。と」
それで何かが変わるわけではない。と。
フリザードは付け足す。
「そのため、何時でも、国が認められたもののみ。という切り替えはできる。後は時期やその時代で、だな」
「此処の国は酒税はないのか」
「ないわけではないがな。いきなり自分の家で飲んでいたものを禁止するのはまずい。というだけだ」
水は美味しいのになぁと考える。
「この国は水が豊かだが、酒造りはそこまでではないな。それに奴ら、酒好き、もといドワーフにはどうしても負ける」
「フリザードのは?」
「ドワーフのだ。輸入品だが美味い。飲んで、まだ早いか」
アヤに進めようとして止める。
止めた理由は年齢、十八歳以下は飲めないのと、アヤはまだ体調に関して病院に通っている最中である。
そろそろいいのでは?と思うのだが、医者からは許可が下りない。
後アヤは今後、私生活でお酒を飲むつもりはない。
「血税」
ぽつりと呟くアヤにフリザードは引き攣った笑みを浮かべる。
「私財だ」
「いいんだ。私財」
「王として給料も支払われているからな。大体、王は一般市民から選ばれることもある。むしろそちらが大半だ。私のように一族が続いて選ばれることは稀だ。歴史的に見ても間に別の血族が入るぞ」
「へぇ」
今度その王位継承について調べるか聞こうと決める。
引退すれば市政に戻るのだというフリザードに、そっかとだけ答える。
一緒に暮らす将来について考える。
悪くはない。
「私とて母と弟が死ななければ王宮魔術師の予定だったのだ。趣味で、異世界の研究や、魔導具の開発をした結果の私財だ。アヤとウロを養うぐらいの蓄えはある」
そういえば、とフリザードの持つ水晶映像を思い出す。
魔導具の授業時、魔力を通せばカメラなどの映像機器になるそれはフリザードが開発したと教師が言っていた。
今度そのあたりの教えを請うかなぁと考える。
「暇ならな」
口か顔に出ていたのかやれやれと告げられるフリザード。
なんだかんだで忙しいのを思い出す。
「寝る?」
「だな。片付けついでに歯を磨いてくるからベッド温めておいてくれ」
お皿を片手に立ち上がり、何も食べていないアヤはうたた寝中のウロを寝床に戻す。
それからベッドに入って、体温で温めていればフリザードが戻ってくる。
明日は何にしようか考える。
その横で晩酌がてらアヤの作ったおつまみを口にするフリザード。
お酒を飲む人は親を思い出して嫌いだ。
親は機嫌が悪ければ殴り、機嫌が良くてもこちらを罵る。
そのたびに子育てに失敗したと嘆く祖父母の背中を思い出す。
だからお酒は苦手だった。
最近は寝る時間が遅くなったアヤに合わせてか晩酌を部屋でするようになった。
前までは執務室か、お酒臭いとアヤに寝言で言われてからは飲まずにいたそうだ。
とはいえ、フリザードは冷え性であるため、冷えた日には飲まなければ眠れない日もあるそうだ。
量を減らして飲むようになったらしい。
ただ、フリザードは何も食べずに飲もうとする。
なのでおつまみを作れば、嬉しそうに笑う。
最近ではそれが見たくて飲まないの?と聞いてしまうほどにはフリザードの晩酌は嫌いではない。
ちなみにフリザードの好みは広まっているワインよりは蒸留酒らしい。
(日本酒、飲ませてみたいなぁ)
アルカンシェルはお酒を作っていないそうで、レシピは異世界にもある酒屋に委託するそうだ。
売っているのはワインとか蒸留酒だが。
確か、その辺りの知識も知っていたはずだとノートを取り出して、思い出しながら書き込む。
米があるからイケるはず。と。
「今度は何を思いついた?」
「思いついたのはフリザードに故郷のお酒飲んでほしいこと」
「ほう」
フリザードが珍しく食いつく。
お酒好きなんだと改めて考える。
「作るのか?」
「んー。色々と工程と機材が面倒だし、知ってても、酒造法があったから職人に任せたほうがいいかなって」
「今なんと?」
「お酒作る許可ってこっちどうなってる?」
「あぁ。製造許可のことか。あるぞ」
「じゃあ、駄目じゃん」
「我が国にはないがな」
「ないの!」
「あぁ。だが、自分で作るよりは、他国のドワーフたちに任せたほうが美味い。だから我が国では基本、酒に関する法律は子供が飲むな。後は国から認められた酒蔵があるくらいだな。ちゃんとした材料を使っている。と」
それで何かが変わるわけではない。と。
フリザードは付け足す。
「そのため、何時でも、国が認められたもののみ。という切り替えはできる。後は時期やその時代で、だな」
「此処の国は酒税はないのか」
「ないわけではないがな。いきなり自分の家で飲んでいたものを禁止するのはまずい。というだけだ」
水は美味しいのになぁと考える。
「この国は水が豊かだが、酒造りはそこまでではないな。それに奴ら、酒好き、もといドワーフにはどうしても負ける」
「フリザードのは?」
「ドワーフのだ。輸入品だが美味い。飲んで、まだ早いか」
アヤに進めようとして止める。
止めた理由は年齢、十八歳以下は飲めないのと、アヤはまだ体調に関して病院に通っている最中である。
そろそろいいのでは?と思うのだが、医者からは許可が下りない。
後アヤは今後、私生活でお酒を飲むつもりはない。
「血税」
ぽつりと呟くアヤにフリザードは引き攣った笑みを浮かべる。
「私財だ」
「いいんだ。私財」
「王として給料も支払われているからな。大体、王は一般市民から選ばれることもある。むしろそちらが大半だ。私のように一族が続いて選ばれることは稀だ。歴史的に見ても間に別の血族が入るぞ」
「へぇ」
今度その王位継承について調べるか聞こうと決める。
引退すれば市政に戻るのだというフリザードに、そっかとだけ答える。
一緒に暮らす将来について考える。
悪くはない。
「私とて母と弟が死ななければ王宮魔術師の予定だったのだ。趣味で、異世界の研究や、魔導具の開発をした結果の私財だ。アヤとウロを養うぐらいの蓄えはある」
そういえば、とフリザードの持つ水晶映像を思い出す。
魔導具の授業時、魔力を通せばカメラなどの映像機器になるそれはフリザードが開発したと教師が言っていた。
今度そのあたりの教えを請うかなぁと考える。
「暇ならな」
口か顔に出ていたのかやれやれと告げられるフリザード。
なんだかんだで忙しいのを思い出す。
「寝る?」
「だな。片付けついでに歯を磨いてくるからベッド温めておいてくれ」
お皿を片手に立ち上がり、何も食べていないアヤはうたた寝中のウロを寝床に戻す。
それからベッドに入って、体温で温めていればフリザードが戻ってくる。
明日は何にしようか考える。
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