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アルカンシエル
11,作業(納得)
ようやく見つけた馬車に遠慮なく近づこうとして、ラゥナが羽交い締めにしながらトップを止める。
「シルフィード。風で飛ばしなさい」
「はーい」
強風が周囲の濁った空気を空へと打ち上げる。
「別に平気なのに」
「病気になったら困るでしょうが」
「シル君。ついでに埋めといて」
死体を示すトップにシルフィードは面倒そうに顔を歪める。
「邪魔だから。死体蹴る趣味無いしね」
「俺そいつらキライ。子供のくせにって悪態ついてきたし」
「君、ハイエルフじゃ、まだ子供だよ、ね」
「そうじゃなくて」
散々意地悪をされ、自分たちがした悪行を勘違い、もしくは自分がやったんじゃないかとさんざん言われてきた犯罪者相手に、弔う必要があるのか。
そう考えて黙る。
師である、ラゥナならば当然と答えるだろう。
師は本来見下す人という種族を大切にして愛しているから。
自分は他種族はどうでもいい存在だ。
ならば目の前の得体のしれないこの人物は、と言葉を濁す。
「弔いの必要ってこと?」
心を読まれたような様子に言葉を無くす。
仮面があって表情は一切読めない。
「シル君。これ埋めないと邪魔だから埋めるの。弔うとかじゃなくて、どうでもいいからさっさと埋めてほしい」
「そういうもの?」
「後、ラーナ君が言ったように君らが病気になってもから困る」
「あなたもですよ!」
ラゥナが即座に突っ込む。
作業にならないからと渋々埋めることにする。
「ちなみに死体は埋めたほうが腐りにくい、らしい」
「まじで!」
突然のトップの面白知識に、わくわくと耳を傾ける。
「実験したことはないんだけど」
等と楽しそうな会話を口にする。
本当によくわからない人種が、そういう知識の宝庫としてはとても尊敬している。
この人相手なら弔いたいとか墓参りはしなきゃ。とかは思うだろう。
「今度掘り返しに来る?」
「いいね!」
「止めなさい」
ラゥナにチョップを繰り出され、二人は痛みに頭を抱える。
「あなた達は失った命に対しての尊厳とか、そういう心がないのですか」
「そういうことはラーナ君に任せてる」
「大切な人じゃないので」
「まぁ、貴方方に関してはおいおい考えるとして、先程の話は他の幹部たちにドン引きされてますからね」
数分の説教をしてから、作業を始める。
持ってきた木材から車輪を作るガルドス。
「そこのを切ったりしない?」
「水分抜くの面倒なんで」
「あぁ」
周囲を見回り、警戒中のグル。
周辺の植生を観察してはメモに残すアーネフェイト。
手伝いに奔走中のクーディ。
そして時々笛を鳴らしては周囲をシルフィードと散策。
「この辺にいないのかなぁ」
トップは周辺を警戒しながら挨拶に来る猛獣たちの相手をしている。
たまに気づくクーディが手で口を抑えて悲鳴を必死に堪えている。
時々近くにいたグルを盾にすることもしばしば。
「お前さんは慣れんなぁ。殺気のあるなしぐらいはわかるじゃろうて」
「動物的本能でそういうのがわかっていても与えられた知識の上で本能的な自分の無力さを教えこまれている相手ですからね」
クーディがグルの軽口に一緒にしないでと告げる。
草かげを探って動きを止めるラゥナ。
「きゅうん」
声がその草かげから可愛らしい声。
ラゥナが上半身を反らすときゃんと声。
「どうした?」
トップが不審そうに覗かせる。
ラゥナは諦めたように狼の子、ヴァーナルガンドの子供を抱き上げる。
がっつりとラゥナを黒い目で眺めているところから刷り込みが完了しているらしい。
「うちで飼う?」
「いいんですかね」
「ラゥナ君ならいいんじゃない?」
「うちは狭いですから施設をお借りしていいですか?」
「いいよ。アレルギーの子はいないしね」
「名前は、そうだ」
「ラッキースター、とかはやめてくださいよ。長過ぎるんですから」
クーディが即座に止め、ラゥナはトップを見る。
トップは鞄から瓶詰めのミルクを取り出して筆で与える。
「名前の提案を」
「えー、じゃあ、いくつか、あ、あ、アート、イース、う、ウルハン、ウルフ、え、エース、ヴォルフ、ヴォル、リル、ガンド」
「ではリルで。あなたの名前はリルですよ。帰ったら体を綺麗にして。そうですね。看板犬もとい狼で宣伝しましょうか」
「別にいいけどあんま無理させないでよ。そっか。君がリルだったのか」
「無理なんて。むしろ入り口付近の過ごしやすい場所でお昼寝だけでも十分です。ね。リル?」
リルはトップがくれる食事を必死に口にしている。
「きゃ、きゃああ。かわいいいいぃい」
できる限り抑えた声で、クーディがリルに近づく。
「かわいい。癒やしだわ。なんでこう小さい子って可愛いのかしら」
「弟君はどうなんです?」
抱きますか?とクーディに渡せば、可愛い可愛いと溺愛。
最初は不満そうだったリルも悪い気はしないらしい。
グルが近づこうとして、歯をむき出しにするのでしょんぼり耳を垂らしている。
「あの子もかわいいわ。生まれたときから輝くような黒髪に羽根を持っていて。お義父様似だなぁ。なんて思ったものよ」
「クーちゃんは人間だっけ?」
アーネフェイトは恐る恐るリルに近づいている。
「一応ね。書類上はハーフではあるんだけど母の血が色濃く出ちゃったのよね。遺伝子レベルで人なのよね。弟は養父の血が濃く出たから」
「さ、ともかく仕事しますよ。リルは」
リルを見て、上着を脱ぎ、馬車の中にある箱の一つを開けてそこに上着と寝かせる。
「ここで寝て待ちなさい」
頭を軽く撫でてからその場を離れる。
「シルフィード。風で飛ばしなさい」
「はーい」
強風が周囲の濁った空気を空へと打ち上げる。
「別に平気なのに」
「病気になったら困るでしょうが」
「シル君。ついでに埋めといて」
死体を示すトップにシルフィードは面倒そうに顔を歪める。
「邪魔だから。死体蹴る趣味無いしね」
「俺そいつらキライ。子供のくせにって悪態ついてきたし」
「君、ハイエルフじゃ、まだ子供だよ、ね」
「そうじゃなくて」
散々意地悪をされ、自分たちがした悪行を勘違い、もしくは自分がやったんじゃないかとさんざん言われてきた犯罪者相手に、弔う必要があるのか。
そう考えて黙る。
師である、ラゥナならば当然と答えるだろう。
師は本来見下す人という種族を大切にして愛しているから。
自分は他種族はどうでもいい存在だ。
ならば目の前の得体のしれないこの人物は、と言葉を濁す。
「弔いの必要ってこと?」
心を読まれたような様子に言葉を無くす。
仮面があって表情は一切読めない。
「シル君。これ埋めないと邪魔だから埋めるの。弔うとかじゃなくて、どうでもいいからさっさと埋めてほしい」
「そういうもの?」
「後、ラーナ君が言ったように君らが病気になってもから困る」
「あなたもですよ!」
ラゥナが即座に突っ込む。
作業にならないからと渋々埋めることにする。
「ちなみに死体は埋めたほうが腐りにくい、らしい」
「まじで!」
突然のトップの面白知識に、わくわくと耳を傾ける。
「実験したことはないんだけど」
等と楽しそうな会話を口にする。
本当によくわからない人種が、そういう知識の宝庫としてはとても尊敬している。
この人相手なら弔いたいとか墓参りはしなきゃ。とかは思うだろう。
「今度掘り返しに来る?」
「いいね!」
「止めなさい」
ラゥナにチョップを繰り出され、二人は痛みに頭を抱える。
「あなた達は失った命に対しての尊厳とか、そういう心がないのですか」
「そういうことはラーナ君に任せてる」
「大切な人じゃないので」
「まぁ、貴方方に関してはおいおい考えるとして、先程の話は他の幹部たちにドン引きされてますからね」
数分の説教をしてから、作業を始める。
持ってきた木材から車輪を作るガルドス。
「そこのを切ったりしない?」
「水分抜くの面倒なんで」
「あぁ」
周囲を見回り、警戒中のグル。
周辺の植生を観察してはメモに残すアーネフェイト。
手伝いに奔走中のクーディ。
そして時々笛を鳴らしては周囲をシルフィードと散策。
「この辺にいないのかなぁ」
トップは周辺を警戒しながら挨拶に来る猛獣たちの相手をしている。
たまに気づくクーディが手で口を抑えて悲鳴を必死に堪えている。
時々近くにいたグルを盾にすることもしばしば。
「お前さんは慣れんなぁ。殺気のあるなしぐらいはわかるじゃろうて」
「動物的本能でそういうのがわかっていても与えられた知識の上で本能的な自分の無力さを教えこまれている相手ですからね」
クーディがグルの軽口に一緒にしないでと告げる。
草かげを探って動きを止めるラゥナ。
「きゅうん」
声がその草かげから可愛らしい声。
ラゥナが上半身を反らすときゃんと声。
「どうした?」
トップが不審そうに覗かせる。
ラゥナは諦めたように狼の子、ヴァーナルガンドの子供を抱き上げる。
がっつりとラゥナを黒い目で眺めているところから刷り込みが完了しているらしい。
「うちで飼う?」
「いいんですかね」
「ラゥナ君ならいいんじゃない?」
「うちは狭いですから施設をお借りしていいですか?」
「いいよ。アレルギーの子はいないしね」
「名前は、そうだ」
「ラッキースター、とかはやめてくださいよ。長過ぎるんですから」
クーディが即座に止め、ラゥナはトップを見る。
トップは鞄から瓶詰めのミルクを取り出して筆で与える。
「名前の提案を」
「えー、じゃあ、いくつか、あ、あ、アート、イース、う、ウルハン、ウルフ、え、エース、ヴォルフ、ヴォル、リル、ガンド」
「ではリルで。あなたの名前はリルですよ。帰ったら体を綺麗にして。そうですね。看板犬もとい狼で宣伝しましょうか」
「別にいいけどあんま無理させないでよ。そっか。君がリルだったのか」
「無理なんて。むしろ入り口付近の過ごしやすい場所でお昼寝だけでも十分です。ね。リル?」
リルはトップがくれる食事を必死に口にしている。
「きゃ、きゃああ。かわいいいいぃい」
できる限り抑えた声で、クーディがリルに近づく。
「かわいい。癒やしだわ。なんでこう小さい子って可愛いのかしら」
「弟君はどうなんです?」
抱きますか?とクーディに渡せば、可愛い可愛いと溺愛。
最初は不満そうだったリルも悪い気はしないらしい。
グルが近づこうとして、歯をむき出しにするのでしょんぼり耳を垂らしている。
「あの子もかわいいわ。生まれたときから輝くような黒髪に羽根を持っていて。お義父様似だなぁ。なんて思ったものよ」
「クーちゃんは人間だっけ?」
アーネフェイトは恐る恐るリルに近づいている。
「一応ね。書類上はハーフではあるんだけど母の血が色濃く出ちゃったのよね。遺伝子レベルで人なのよね。弟は養父の血が濃く出たから」
「さ、ともかく仕事しますよ。リルは」
リルを見て、上着を脱ぎ、馬車の中にある箱の一つを開けてそこに上着と寝かせる。
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頭を軽く撫でてからその場を離れる。
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