昨日の自分にサヨナラ

林 業

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アヤの心

7,異質と天才(緊張)

駆け回るウロをフリザードは楽しそうだなぁと眺める。

一緒に走らないのとこっちを見るウロに前を見なさいと示せば慌てて前を見る。
ウロが追いかけているのはフリザードが魔法で作った水球。
手持ちぶたさに作ることもあるそれをウロは気になったのか追いかけ回す事が増えた。
(大きくなったなぁ)
ぼんやりと眺めるフリザード。
「フリザード」
嬉しそうにアヤが隣に来る。
「わう」
お母さんと嬉しそうにウロが走ってくる。
「ウロと遊んでる?」
「あぁ。どうした?今日は授業じゃなかったか?」
「魔力制御の最終授業。ここでするんだって。フリザード、おーは、ウロの散歩?」
「運動がてら」
ウロがアヤに突撃して、遊んでと強請っている。
アヤはウロを撫でるとこちらを見る。
「ウロ。構ってくれてありがとう」
遊んでーと頭を擦り寄せるウロ。
「自分の息子を構っているだけだ」
「だってウロ」
(ウロ。お父さん好き)
聞こえてきた声にフリザードは微笑んで頭を撫でればもっとと訴えてくる。

(お母さん好き!)

ふんふんと鼻を鳴らすウロにアヤは頭を撫でる。
(もう遊べる?遊べる?おやつ?ねぇねぇ)

「ウロ。ちょっと静かにしようか」
フリザードは顎の下を撫でながら、ウロは遊んでくれないなんだとしょんぼり尻尾を下げる。


授業開始前に教師が来てアヤにテストを貸し、アヤはあっさりと終えてしまう。
(ある意味天才だな。アヤは。だが)
ちらりと足下を見ればウロはじっとアヤの動きを見ている。

(アヤはどちらかと言うと秀才だからな。ウロはそう考えるとまさに天才ともいえるな)
(お父さん。おとーさん。ウロもあれやる)
教えてもいない魔術である念話を覚え、語りかけてくるウロに、しーと静かにさせる。
(明日アヤに内緒でな)
アヤはウロが魔術を使うのを良しとしない。
できる限りウロにはやりたいことをさせるべきだというアヤが認めなかったことの一つ。
体質的に食べては駄目な物はともかくとして。

魔術を使うヴァナルガンドはいない。
その一文がウロへ魔術を使うのを嫌がる。

異質なものは排除される。

いじめを受けたアヤにしかわからない心内なのだろう。
せめて大人になってからだとアヤは告げる。

だがフリザードとしては我が子であるウロが魔術を覚え、教えれば教えるほど、それ以上に成長する姿を見るのは楽しい。
後子供時代から鍛えたほうが魔術の向上具合が違う。

アヤもフリザードもお互いに親としてまだまだ未熟である。

だからこそフリザードはこっそりとウロに魔術を教える。
父と慕う我が子へできる知識の伝授として。

それにしてもと専門的な魔術用語を教師と繰り広げるアヤを見る。


ウロが念話をしてもアヤにその声は届かない。
体質か魔力の質かはわからないがアヤは聞こえていない。
念話が届かないとわかっていてもウロの言葉にアヤの前で反応してしまいそうになる。
アヤはアヤで時々聞こえているのではと思うほど意思疎通はしているが。

もし意思疎通ができていると言えばアヤは拗ねるだろうか。

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