昨日の自分にサヨナラ

林 業

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アヤの心

8,ウロの夢(愉快)

外は雪が積もっている。
薪が爆ぜる音。
薪が放り込まれ、炎が薪を包み、煙突へと煙が抜けていく。
ページを捲る音が部屋の中に響く。
眠っているウロは暖炉前で本を読むアヤから離れようとしない。

完全に熟睡する時のウロはアヤの側を離れない。

ペッタリとくっつき、アヤが身じろぎをしても反応しない。
フリザード相手ですら耳を動かしたりと反応するのにである。

(うろの。おかーさん。これうろのおやつ。いいでしょー)
くぅうと嬉しそうに鳴くウロにアヤは手を出して撫でて、またページを捲る。
(うろのおやつ。骨。骨付き肉。干し肉、干物、最近お米も強請りだしたけどあんまりあげると太るらしいし)
(うろの、おやつ。とっちゃやだ!)
ウロが唸り声を上げるのでアヤは手を放しページを捲る。

(う、うろのおやつぅうう!)

飛び起きるウロは周囲を見る。
ちなみにアヤにウロの寝言は聞こえていない。
それから夢かと唸るとアヤへ鼻を鳴らす。
(おかーさん。頑張って捕ったウロのおやつお兄ちゃんが盗ったのぉ)
「嫌だった?夢の中のことでしょう」
(嫌だったの!)
「そうなんだね」
ドアがノックされ返事をすれば噂の、サガラ。
「アヤ。お茶しない?」
(お兄ちゃん。タイミング良いな)
ウロはサガラへと近づき、サガラの前に座る。
そしてサガラの足に前足を置く。
(謝ってください)
「いきなりなんだよ。謝れって」
(謝ってぇ!ウロのおやつ盗ったでしょ!)
「なぁ。それ。夢の中の話か?」
(そうだけど謝ってください!)
「はいはい。ごめんごめん。んじゃあアヤとお茶するから退いてくれ」
(ウロ仲間外れ?)
ウロが首を捻るのでサガラは懐からウロのおやつを取り出す。
「おっと。此処に牛の干し肉が。これをアヤと食べようと思ったけど、間違って従魔用のを買っちゃったんだよな。食べたい人」
(はーい!ウロたべる!)
瞬時にご機嫌な反応をする。
「アヤ」
「うん。お茶しばこう」
「え。お茶で叩かれるの?」
サガラが恐怖を合わせて聞いてくる。
「え?いわない?お茶するのお茶しばく」
頷くサガラ。
「じいちゃん共通語言ってたのに。それより誰来る?」
「タミヤとカヤマせんせー」
「アイア君とフィーちゃん呼んでいい?今日おやすみ聞いてる」
「おう」
そう言えばとアヤは思い出す。
祖父は西の方の産まれであり、アヤにもその関西訛が若干だがあると指摘を受けた。
親に嫌われる原因の一つでもあったわけだが。

暖炉前で、寒がっている二人を呼んでお茶にする。

アヤの部屋の暖炉前。
「あったかーい」
ウロを挟んでお茶を飲む二人。
その側でくつろぐアヤ含めた四人。
「アヤ君って料理とかお茶とか上手だよね」
「美味しい入れ方全部頭に入ってる」
「そうだったね。でも上手には」
「レシピ覚えてたら不味くはならない。不味くなる理由の殆どは、適当に作ったり変に付け足し、引き算する」
「お菓子作りだってできるのに」
「あ。今度春になったらクレープ作りたいから手伝ってください」
「いいね!それ!」
アイアとフィーは新作お菓子。と喜んでいる。
「今作りゃあ良いじゃん」
サガラは呑気におやつをつまむ。
「果物は高い」
「そうだよ!缶詰なんてないんだから」
「あぁ。そっか」
(ウロのおやつなくなっちゃった。おかーさん。ガジガジするのちょーだい)
おやつちょーだいと二人からウロが離れてアヤへと甘えに向かう。



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