昨日の自分にサヨナラ

林 業

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アヤの心

9,デート(喜悦)

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アヤは特別に買った服へと着替える。
何処か行くの?とウロが近づき、アヤは嬉しそうに撫で回す。
「ウロ。お出かけするよ」
(どこ行くの?)
ウロはアヤにすり寄りつつ首を傾ける。
「フリザードとデートなんだ。一緒に行くでしょ」
(ウロ行かない)
ウロは鼻を鳴らして拒否を示す。

「なんで?」
アヤはウロの頭を撫でる。
「アヤ。ウロ。準備できたか?」
フリザードが顔を出し、お父さんとすり寄る。
(ウロお留守番するの。いい子で待ってるからお土産いっぱい買ってきて!)
「行かないのか?そうか」
肩を落とすフリザードにアヤは一緒に行こうと再度告げるが、ウロは頑として譲らない。
「誰に似たんだろう」
ぽつりと告げるアヤに、フリザードはアヤを見てから、ウロを撫でる。
「じゃあ、お土産買ってくるからお留守番は任せたぞ」
(はーい!)
尻尾を元気いっぱいに振る。


ウロは二人を馬車に乗るまで見送り、一度部屋に戻って縫いぐるみと毛布を持ち込んでその場に座る。




アヤは馬車酔にならぬよう窓の外を眺めつつ口にする。
「反抗期?」
「というよりは気を使った優しい子なだけだろう」
「んじゃあ、親離れ?」
「いや。まだ甘えん坊だし、お土産いっぱい買って早く帰ったら即座に飛びついてくると思うぞ」
フリザードの的確な言葉に、じゃあそうなのかと窓を見続ける。

「フリザード」
「どうした?」
「酔いそう」
「停めて歩くか?」
「街までならまだ大丈夫。お話して」
気を紛らわすためかとフリザードは話題を探す。
「向こうでは乗り物はなかったのか?確か自動で動くクルマ?なるものがあるとは聞いたぞ」
「もう昔の話。記憶もかすれる昔。バスも遠足ぐらいで、その遠足も金の無駄と言って行かなかったぐらい」
アヤの記憶がかすれるというのはフリザードにはピンと来ないが出会った頃より以前であると判断する。
「遠足か。そういえばアヤはよくピクニックに出かけているな」
「お出かけは好き。でも一人で動こうとすると最近お兄ちゃんたちも先生もお姉ちゃんたちも、後アイア君とフィーちゃん。結構心配するから気を付けてる」
「とはいえこっそり出かけてはいるだろう」
「アルカンシェルに行くときは。後でお小言もらうけど」
「止めないのか?」
「契約関係はあんまり人を連れていきたくない。設計図とかの他言無用な契約書類をその人にも必要になってきて地味に大変だから」
契約時は法律家を一応間に挟んであるのでそこまで問題はないのだがそこまで迷惑をかけたくない。
「まぁ。そうか」
しばらく話題に困る。
「そうだ。アヤ。街を歩くときはザラートと呼んでくれ」
「ざらーと?」
「偽名だ。王が町中を歩くのは相手も萎縮するからな」
「あぁ。えっと、えーっと。ざーくん?」
呼ばれて、悪くないと思ったフリザードである。


馬車が止まり、アヤが降りようとする前にフリザードが先に降りると手を出してくる。
その手を借りて下りる。


 
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