昨日の自分にサヨナラ

林 業

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貴方と共に

11,願いの果てに

ウロは夜中に目を覚まして、ベッドの父母を見てからドアから外に出る。
(といれ)
最近寒くなったなぁと体を震わせつつ向かう。

中庭に出てうろうろと動いて満足すると部屋への道のりを動く。
道中で視線が変わったような気配もしたが眠さが勝つ。

見回りの兵士がぎょっとした表情で見てくる。
「?」
(こんばんわー)
にへっと笑えば首根っこを捕まれ外に放り出される。
(あれー?なかいれてー)
「此処は王様のいる場所だ。子供は入ったら駄目だぞ」
めっと怒られ、おかーさんいるもんと文句を告げるが追い払われる。




アヤが目を開けてベッドから降りる。
「あや。まだはやいぞ」
「うろがいない。外で他気配したから見てくる」
「行くか?」
「いつ戻るか分からないから待機。ウロ戻ってきたら確保しといて」
「わかった」
フリザードの見送りにアヤは外へ向かう。
「ウロ」
大分明るくなっていて人もチラホラといる。

(一度アルカンシェルに顔を出すか。そっちのほうがいそうな気も)

ウロの魔力の残りを感じながら向かう。




公園の遊具でくすんとウロは鼻をすする。
(おかーさん)
しょんぼりと落ち込み、お腹空いたとグスンと鼻を鳴らす。

(おとーさん)
「いた」
声に起き上がって入り口へ顔を出せばおかーさんがいる。
(おかーさん!)
「ウロだ。おいで」
抱き上げられてえへへと体を擦り寄せる。
「一度アルカンシェルかな」
(うろおなかすいた。おかーさん)
「アルカンシェル行くか」

やったーと喜ぶ。


フリザードと同じ瞳の色に、どちらかと言えばアヤに似た顔立ち。
クッキーに口を近づけ、しかし食べにくいと首を捻る。
「なるほど」
おかーさんが手を使いなさいと手を取って支えてくれる。
(うろのテじゃない)
「今更ですか」
しばらく眺めてからクッキーを見る。
(まぁいっか)
口へとクッキーを入れる。
「あなたの子ですね。その能天気さは」
呆れたようなラゥナ。
(あれー。おかーさん。これあんまり美味しくない)
「味覚変わったかな?」
同じようなのをもう一つ取り出して与える。

(あじうすいよ?)
「そっか。でも今は我慢できる?後でおやつ作るから」
(わかったー)
満面の笑顔でクッキーを口にする。
「まぁ。魔力暴走ですね」
「なにそれ」
「魔力が高いと色んな願いで魔力が暴走して身体に影響が起こることです。基本は熱が出たり。身体変化は初めてみましたね。ないんですか?」
「自分はないな。魔力関係では」
「あなたは律し過ぎと言うか。まぁいいですが。そのうち戻りますよ。戻ったら術式を組み込んだ補助魔道具を用意しましょう」
「戻せないの?」
「魔力暴走は看病か、身体変化は放置で構いませんよ。熱が出たら看病してください」
「ふーん。ウロ。元気ある?」
(ウロ元気!)
「じゃあお城帰る?」
ウロはしばらくクッキーを眺めてアヤにすり寄る。
(おかーさんといる)
頭を撫でられる。



おとーさんがじっと見つめてくる。
(おとーさん?)
手を出されて思わず手を出して乗せる。
「うん。ウロだな。どうした。人の姿は楽しいか?」
(んー。わかんない。歩くもたいへんなの)
「そうかそうか」
頭を撫でられたウロはにぱーと笑う。
(でもご飯はおかーさんの手作りでおいしーの)
「そうかそうか」
おとーさんの手は大きくて大好き。
おかーさんの手は魔法の手。
ウロがテを同じにしても同じことできなかった。
だから魔法の手。

そんなことを考えつつおとーさんに撫でられるがまま。
(おとーさん。大好き)
そう告げればお父さんに抱きしめられる。
「フリザード。来てた」
おかーさんが来て飛びつく。
「ウロの様子を見に来ていたんだ」
「魔力暴走だって」
「あぁ。うちは弟が熱で倒れたぐらいだったけれど、こういうこともあるのか」
おとーさんと抱きつくウロに抱きしめ直す。



    
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