昨日の自分にサヨナラ

林 業

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3,帰るために

とらまま

ひょこひょこと歩く。
置いてかないでと鳴く。
だけど一回り大きい皆は先へ進んで行く。


まって。
まって


がさりと音がしてその音の主へ擦り寄る。
いい匂い。
優しい匂い。
「みゅあ」
おなかすいた。

じっと見てくる視線にみゃともう一度声を掛ける。

彼はしばらく歩くので追いかけて、置いて行かれると必死になる。

だが彼は近くで座り、自分が膝の上に乗っても何もしない。
お腹すいたとないても手出しはしてこない。


明け方になってもう駄目と成りつつあるころに手を伸ばされ、美味しいミルクが与えられる。

まま!ままだ!大好き!

みゃあとスリ寄り甘える。

後に理解した。
ままはきっとママが戻ってくるのを待ってた。
でも戻ってこないと理解したから助けてくれたのだ。



トップが事務室へと顔を出す。
仕事の手を止めて、ラゥナが見つめてくる。
「おや。おかえりなさい。何拾ってきたんですか」
「ティーガルの子。ちょっと規定値より小さいから捨てられたんじゃないかな」
「それ、貴方より大きくなりますよね」
「野生へ帰る手助けする」
「全く。名前は?」
「あ、あー。とらまま」
「とらまま?決定ですか?」
「うん」
みゃあと腕の中で擦り寄るティーガルの子供を撫でる。




中型犬並の大きさの彼女はふんふんと中庭で歩いている。
子供たちはお出かけしていない。
あ。ままとトップの姿を見かけて駆け寄る。
「とら。一緒に森に行こう」
「にゃぅ」
いつの間にか懐かしい匂いのする森の中。
遊んでおいでと背中を押されて歩く。

一緒に連れ添って歩くままに気付いて何度も振り返っては進む。
「トラママ。ちょっと待って。ご飯だよ」
「?」
一角うさぎを見つけてママが使っていたように飛びつく。
だがうさぎは逃げてしまう。
「?」
何故だと考え、同じように一角ウサギを見かけるたびに追いかけ回す。
お腹すいた。
ままを見るが彼もまた珍しく狩りに連続で失敗している。
おかしいと思いつつとらがままの分も頑張ろうと、一角うさぎへ気配を消して近寄る。

そして距離によしと襲いかかって首にかみついて捕獲する。

できたとままへ示せばすごいねと頭を撫でてくれる。
「みゃふ!」
全て食べていいと言われたのでやったと食べる。
そうか。まま。お腹空いてなかったから失敗したのだと納得。

「トラママは体が小さいけど学習能力が高いからなぁ。君の子供はどうなるかなぁ」
「?」
「実はトラママ。猫の原型なのでは?あ。いや。あれは進化論的に」
「みゃあ」
まま?と首を捻ればごめんごめんと撫でられる。
えへへと体を擦り寄せる。



ママと別れて随分と経った気がする。
度々顔を出すし、子供が生まれたら顔を出してくる。
名前もくれるしご飯も時々差し入れしてくれる。


だけどある日お願いをされた。
ママ。とら。がんばる!
あれ?まま。どういうこと?
まぁいいか。まま。だいすき!



    
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