未来の王妃として幸せを紡ぐ

林 業

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まだ未熟な

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兄はイネスと母が喜びそうな、かつ病気に良さげなものを探す。
「なぁ。兄上、教会行ったほうが早くね?」
教会は病院のような役割がある。
なので次兄が告げるが否定する。
「それは父上が呼ぶだろう。フルーツとかがいいんじゃないか?」
「兄上天才か!」
「そうだろう?」
褒められ天狗になる長兄。
「兄上。あっちにフルーツ売ってる屋台がある」
「お前相変わらず目いいよな」
「俺才能の塊だから」
「たしかにな」
お互いに鼻が伸びる光景。

周囲が聞けば呆れるような、微笑ましいような会話を繰り広げながら兄弟は病気の体にいいというフルーツを購入する。

「しっかし母上もだけどイネスも大変だよな。婚約者に呼び出されてきたら会えませんでしたって」
「確かに。でも一番出来が良くて可愛いからな。俺の弟なだけに」
次兄が自慢だというように胸を張る。
長兄は俺の弟でもあると言いたくなったが長男として飲み込む。
此処でそれを告げれば喧嘩になることはわかっている。
喧嘩してもいいが、王都では迷子になると先生に言いつけられている。
「っと」
よたよたと歩いてぶつかってくる男を避けて歩く。
男はきびすを返すと追いかけてくるので二人同時に走り出す。
「なぁ。さっさとフルーツ買って帰ろうぜ」
「兄上にさんせー。都会って怖い。これはイネス連れてこなくて正解だったよな」
狭い通路や人混みをうまく使い、撒いてから果物を買う。

道中でつまみ食いしながら家へと戻る。

「兄上。迷った?」
「そ、そんなわけ無いだろう」
「兄上。動揺しすぎ。とりあえずさっきの通りに戻って」
「なぁ、道案内してやろうか」
少年がやってくる。
「金くれたら案内してやる」
煤汚れた髪の毛に、それとは相対的にキレイな服。

(あ、こいつ、貴族だ)
兄弟の意見が一致したという。
引き気味の弟を見て前を見る。
「まぁ、案内してくれるなら?」
「そうだな」
「んじゃあ、こっちだ」

嬉しそうに案内のために前を進む。
「それにしてもお前らって、田舎門の貴族か。子供だけで出歩くなんてどんな教育してんだよ」
「正しくは子供だけじゃないけど、まぁ、のんびりに育てられてる」
知っている場所に出て、コインを指で弾いて渡す。
「なんだ。しけてんな」
「相場だ。そのへんの警備に声かけられて家に連れ戻されたくなきゃおとなしく受け取っとけ」
ちぇっと舌打ちする。
彼はしばらく考えてから笑う。
「なぁ。じゃあさ、せっかくだし遊ばね?今日ほんとは婚約者に会う予定だったんだけど風邪ひいたらしくてよ」
何処かで聞いたことあるなと兄弟二人は弟を思い出す。
「家にいても暇なんだよ。勉強はなくなったけどつまんねぇし」
「んじゃあ、荷物預けてくるからなんか良さげな観光名所教えてくれよ。流石に泥まみれにしたら母上に殺される。代わりに昼飯屋台で良ければ一人前、奢る。でどうだ?」
「契約成立だ」
よしと頷くと、兄弟は近くにいた護衛の一人を手招きで呼んで果物を家にお願いする。
「いたのかよ」
「ずっと後ろを離れて付いてきてたんだ。まだ二人いるから大丈夫だろう。迷子になってもあんま頼らない、手出ししない。って父上との約束でな」
「なんで?頼ればいいじゃん」
「頼るのはその土地の人だけ。よっぽど日が暮れたりとか人が通らなかったら頼ってよしってしてんだよ。そうじゃないと成長しないって母上が言ってたからな」
家庭の教育方針と反論は切り捨て、三人は動き出す。


道中で見つけた広場で、これまた見つけた棒を使って三人でチャンバラをして遊び、夕方前に解散する。
「またこっち来たら遊ぼうな」
「次に合うの夜会かもしれないけどな」
「っていうか、送らなくていいのか?うち護衛いるけど」
「おう。お迎え来たし」
少年が背後を示せば頭を下げる男が一人。

「お前らの領地聞いたからまた手紙送るな。俺、リアム。っていうんだ」

そう告げて男と帰っていく。
二人は顔を見合わせてやっぱりかと思う。
「あいつがイネスの旦那候補か」
「なれる確率少ないけどな」
「俺あれがイネスと付き合うとか、義弟になるとかやだ」
「俺も思うから性格は内緒で」
「よしきた」
二人が結託して家へと戻る。



母が寝てる横でイネスは驚きの声を上げる。
「王子様とあった?」
「同姓同名じゃなきゃな」
「同じような事情じゃなきゃそうだと思う」
「どんな人だった?」
二人は顔を見合わせると一言。

「内緒」
「えー」
「お前が付き合って見極めればいいだろう」
「そっか」
「でも俺、ともだちになっちゃった」
「ずるぃ」
イネスは兄たちの自慢に文句を口にする。
「だったら早く治せよ」
「わかった」
イネスは横になる。
いい子いい子と兄に代わる代わる頭を撫でられる。


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