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白蛇

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山神は家の戸を開ける。
「ただいま」
珍しく玄関にいないこらえ・・・に首を捻る。
また倒れたかと家の中を探るが存在自体を感じない。

まさかと最悪の状況を考えて飛び出す。

家の戸を開く。
「あれ?父様?」
祓の神が眠そうに顔を出す。
慌てて上着を持って来るモリヒトは寝ぼけ眼の祓の神に上着をかける。
こらえ・・・は来ているか?」
慌てて気配を探りながら探す。
「らーちゃん?うんん。来てないよ。喧嘩?」
不思議そうな様子に、本当に知らないのだと理解する。
「帰ったらいなくてな。そうか」
「じゃあ、僕も探すけど、人里に行ったのかな」
こらえ・・・が人里ならそこまで問題視はしていない。それより誰も来ない場所に放り出されて熱を出していないといいが」
「人里で襲われるっていう心配はしないの?」
「襲えるような人間がいるなら見てみたいものだな。お前の親は人に頼る術を理解している。それに木霊もおらんから最悪なんとかなるだろうが」
「それじゃあこだま君呼べばいいじゃん」
「その時に看病中だったらどうする。後あれは己の言うことを聞かずに呼び出しを拒否することはままあるのだ」
主の子に対しても素っ気ない木霊を思い出してありえると納得。
「眷属としてどうなの?」
「優先が己でないだけで慕ってはくれているからな」
「とりあえずモリヒト。寝てていいよ。俺、らーちゃん探してくるよ」
モリヒトは何度も頷く。
自分も行くというのを我慢しているのは見て取れる。
「お気を、つけて」
「父様。モリヒトがいい子」
感激している我が子にそうだなぁと頷く。


「己は風の、のところに顔を出そう」
「じゃあ、僕はとりあえず、予言とこ顔出すよ。その後はお互い合流して大神様にでも伺う?父様なら色々と貸してるし、それで足りないなら僕の貸しも使うってことで」
「よいのか?」
「いいよ。父様のとこのご飯食べに行くから」
「では、予言の神には今度お菓子をごちそうすると伝えておいてくれ」
そう告げてお互いに目的地へと向かう。


「おーい。予言の」
「ん?」
玄関から声を掛ければ不思議そうにやってくる。
後ろには雨神もいる。
「雨神居たのか」
「説教!」
「されてました。最近人の世に行き過ぎだと」
あぁ。少しは反省したかと見るが、予言の神が頬を膨らませているのを見る限り反省は足りないらしい。
「らーちゃん、僕の親が山の神のところからいなくなったんだけどなんか心当たりない?」
「あぁ。山の神の嫁さん。いや。俺は知らない」
「ん、んー。あ。大神」
二人は悩んでそれぞれ別の答えを告げる。
「それは後で父様と行くよ」
「ならいい。お菓子、待ってる」
嬉しそうな様子にわかったと苦笑する。

「そうだ。予言の。森神の兄ちゃんに説教してもらうのが一番雨神には利くぞ」
それだけ告げて父と合流する。

その手が。と納得した予言の神は早速と連れて行く。

裏切り者ぉおという叫び声は祓の神には聞こえない。
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