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第12話 少年少女よ図書を抱(いだ)け!【完結】
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全ての行程が終了し、最後の時間となった。
「皆、気をつけて帰ってください。帰り着くまでが交流会だぞ!」
という言葉でこの交流会が締めくくられたところを見ると、先生達もこの交流会を授業とは別として考えていることが分かる。
コヨミとミオは、仲良くなったリオとミキと4人で遊ぶ約束をした。コヨミは自宅電話以外連絡手段がないので、こちらの連絡はミオが担当することになった。
こんなときに、ミオから「私とリオで連絡しあって決めよう!」と携帯の無いコヨミだけ取り残されないように動いてくれるのはありがたい。
コヨミ、ミオ、コウ、ショウが校庭に集まり先生を探すと、木陰でまゆみ先生と話していた。
もちろん、選んだ持ち帰る本を分担してちゃんと抱えている。
「センセー」
と早く帰りたいコウが声をかける。
「おっ、もう出てきたのか!ちょっと先生達と話してくるから待ってろ。」
と言って駆け足で校舎に入っていった。
「ねぇ。君たち花山先生のとこの生徒さんよね。」
まゆみ先生だ。
「はい。」
ショウが答える。
「実は、さっき皆でメッセージの謎を解いてるところも見ていたの。花山くんが、覚えてない!って言ってたところもね。」
真剣にPOP作りをしていなかったことを注意されるか...と4人とも「ゲッ」という顔をした。
でも、そうではなさそうな空気が流れる。
「花山くん、先生は、よ~く図書室に来てくれていたのよ。たくさん借りて。」
「え~」
気が抜けたコウが、盛大に反応する。
「花山先生優しいでしょ?」
「優しい...というよりチャラい...」
ミオは正直だ。
「チャラい...かぁ。」
まゆみ先生がクスッと笑った。
「確かに、ムードメーカーでもあったわね。毎日朝掃除して、下級生にも慕われていて、最後の生徒会長だったのよ。」
「え~」
と、今度は4人で盛大に反応した。
が、何となくイメージは出来なくもない。
「多分、あのメッセージも覚えてたはずよ。恥ずかしかっただけで。これ、私が言ったのナイショね。」
可愛らしいと言ったら失礼かもしれないが、可愛らしいニヤリとした笑顔を向けてくれたまゆみ先生を見ると、きっとたくさんの生徒達に慕われていたであろうことが想像できた。
そこで、花山先生が戻ってきた。
「すまんすまん。じゃあ、帰るか。まゆみ先生また連絡します。」
「花山くん、皆さん、またお会いしましょうね。」
「ありがとうございました。さようなら。」
帰り道、コヨミは少し前から思っていたことを皆に話してみることにした。
「ねぇ、あの暗号みたいなのを使って図書室でイベント出来ないかな。結構楽しかったし、皆図書室に来てくれるかも。」
「いいね!私もやってみたい!」
「今度の報告会で提案しようぜ!」
やる気になってるコウを笑顔で見てるショウも賛成らしい。
「じゃあ、帰りの電車やバスで少しアイデア出し合おうよ!」
「やる気があってよろしい!でもあんまり大きな声で話すなよ。」
リュックを背負って軽快に腕を振りながら駅に向かって歩く先生の背中を見ながら、ミオがこそこそ、ニヤニヤしながら話しかけてきた。
「花山先生、絶対本が好きだったんじゃなくてまゆみ先生に会いに行ってたよね。」
コヨミも思っていたことだ。
この事に気付いたのはどうやらコヨミとミオだけらしい。
「おーい!切符買うぞ!」
「はーい!」
4人はしっかりと本を両手に抱えて、駆け出した。
【END】
「皆、気をつけて帰ってください。帰り着くまでが交流会だぞ!」
という言葉でこの交流会が締めくくられたところを見ると、先生達もこの交流会を授業とは別として考えていることが分かる。
コヨミとミオは、仲良くなったリオとミキと4人で遊ぶ約束をした。コヨミは自宅電話以外連絡手段がないので、こちらの連絡はミオが担当することになった。
こんなときに、ミオから「私とリオで連絡しあって決めよう!」と携帯の無いコヨミだけ取り残されないように動いてくれるのはありがたい。
コヨミ、ミオ、コウ、ショウが校庭に集まり先生を探すと、木陰でまゆみ先生と話していた。
もちろん、選んだ持ち帰る本を分担してちゃんと抱えている。
「センセー」
と早く帰りたいコウが声をかける。
「おっ、もう出てきたのか!ちょっと先生達と話してくるから待ってろ。」
と言って駆け足で校舎に入っていった。
「ねぇ。君たち花山先生のとこの生徒さんよね。」
まゆみ先生だ。
「はい。」
ショウが答える。
「実は、さっき皆でメッセージの謎を解いてるところも見ていたの。花山くんが、覚えてない!って言ってたところもね。」
真剣にPOP作りをしていなかったことを注意されるか...と4人とも「ゲッ」という顔をした。
でも、そうではなさそうな空気が流れる。
「花山くん、先生は、よ~く図書室に来てくれていたのよ。たくさん借りて。」
「え~」
気が抜けたコウが、盛大に反応する。
「花山先生優しいでしょ?」
「優しい...というよりチャラい...」
ミオは正直だ。
「チャラい...かぁ。」
まゆみ先生がクスッと笑った。
「確かに、ムードメーカーでもあったわね。毎日朝掃除して、下級生にも慕われていて、最後の生徒会長だったのよ。」
「え~」
と、今度は4人で盛大に反応した。
が、何となくイメージは出来なくもない。
「多分、あのメッセージも覚えてたはずよ。恥ずかしかっただけで。これ、私が言ったのナイショね。」
可愛らしいと言ったら失礼かもしれないが、可愛らしいニヤリとした笑顔を向けてくれたまゆみ先生を見ると、きっとたくさんの生徒達に慕われていたであろうことが想像できた。
そこで、花山先生が戻ってきた。
「すまんすまん。じゃあ、帰るか。まゆみ先生また連絡します。」
「花山くん、皆さん、またお会いしましょうね。」
「ありがとうございました。さようなら。」
帰り道、コヨミは少し前から思っていたことを皆に話してみることにした。
「ねぇ、あの暗号みたいなのを使って図書室でイベント出来ないかな。結構楽しかったし、皆図書室に来てくれるかも。」
「いいね!私もやってみたい!」
「今度の報告会で提案しようぜ!」
やる気になってるコウを笑顔で見てるショウも賛成らしい。
「じゃあ、帰りの電車やバスで少しアイデア出し合おうよ!」
「やる気があってよろしい!でもあんまり大きな声で話すなよ。」
リュックを背負って軽快に腕を振りながら駅に向かって歩く先生の背中を見ながら、ミオがこそこそ、ニヤニヤしながら話しかけてきた。
「花山先生、絶対本が好きだったんじゃなくてまゆみ先生に会いに行ってたよね。」
コヨミも思っていたことだ。
この事に気付いたのはどうやらコヨミとミオだけらしい。
「おーい!切符買うぞ!」
「はーい!」
4人はしっかりと本を両手に抱えて、駆け出した。
【END】
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わくわくしながら読ませて頂きました😄
学生時代、私も携帯電話を持ってなくて、読書が趣味だったので、コヨミちゃんにとても親近感を持ってしまいました。
完結まであと少しということですので、楽しみにお待ちしてます😊
佐倉穂波 様
作品をお読みいただき、感想も投稿いただきありがとうございます☆
私自身も、携帯を手にするのは周りより遅めで図書室に通っていました!
あと少し、コヨミ達を見守っていただけたら嬉しいです!
文章が軽快で面白かったです!
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ひろ・トマト 様
作品を読んでいただき、感想までいただき本当にありがとうございます!
作品に登場するコヨミ達と一緒にちょっとした謎解きを楽しんでいただけたらと思いながら書いている作品です。あと少しで完結予定ですので、ぜひ!最後までお付き合いいただけたらと思います。