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黒き眠り姫を起こすのは (健気受け)
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──この嬉しさを、感情の赴くままに。
「鏡の男がみた夢は愛の夢、眠り姫を起こすのは、気高き死をもたらす騎士……。嗚呼、なんて幸福な物語。でもそれは、人にとっては不幸な物語。悲しい悲しい二人、呪われた愛の悪夢。幸福と不幸の上で、私は貴方を忘れても、私は貴方の元へと向かうでしょう。たとえこの右手を失っても、私は貴方の手をとって。果たせなかった想いを叶えましょう」と、アキツシマはそう『私であった、私たちの希望と絶望』を全てごちゃ混ぜにした本音を、即興で考えたメロディーに乗せて歌うので……。
「すごく、お前らしい歌だ。きっと、テスカトル様もお喜びになるだろう……。いや、すまない、今のは余計な言葉だったな。お前は、雪白ではなくアキツシマ。そう、僕だけのアキツシマなんだから」
「はい、私はアキツシマです。テスカトル様を魅了して、地球を滅ぼした最も罪深き悪、魔性の雪白ではありません……。貴方様がそうでないように、私は私……」と、
アキツシマは強く断言するように答えながら、ランゼルトのすぐ側に。
──蝶のように、静かに舞い降りてから……。
幼児のような仕草で、勢いよく彼の胸に飛び込み。
今度は、声にならない声をあげて……。
「私、ラーニャに逢えて本当に、本当に幸せです。嬉しくて、嬉しくて……。こんなに幸せになれて、よ、良かったです。だって私、私じゃない私たちの苦しみも、絶望も希望も……。私が人ではないから、ときより観測えてしまうからこそ……。こうやって、貴方のお側に居られるだけでも。この上もない程の幸せです」と言うので。
「アキツシマ……僕も、お前と一緒に入れて幸せだよ。嗚呼、僕も泣きそうだ」
そうランゼルトは震えた声で言いながら、嬉し泣きをするアキツシマの髪を、数回優しく撫でてから……。
両目で色が違う瞳から、一筋の涙を流し。
桜の花びらが舞うこの風景を『私が私ではなくなっても、決して忘れない』と、心の中で誓いながら……。
この世界で誰よりも心優しくて、誰よりも愛おしいアキツシマを、持ち上げるように、抱きかかえて。
自分より高い位置にある唇に、永遠に変わらない愛を、約束するように……。
──慈しむかのような甘いキスを、眠り姫を起こす王子様のように捧げた。
「鏡の男がみた夢は愛の夢、眠り姫を起こすのは、気高き死をもたらす騎士……。嗚呼、なんて幸福な物語。でもそれは、人にとっては不幸な物語。悲しい悲しい二人、呪われた愛の悪夢。幸福と不幸の上で、私は貴方を忘れても、私は貴方の元へと向かうでしょう。たとえこの右手を失っても、私は貴方の手をとって。果たせなかった想いを叶えましょう」と、アキツシマはそう『私であった、私たちの希望と絶望』を全てごちゃ混ぜにした本音を、即興で考えたメロディーに乗せて歌うので……。
「すごく、お前らしい歌だ。きっと、テスカトル様もお喜びになるだろう……。いや、すまない、今のは余計な言葉だったな。お前は、雪白ではなくアキツシマ。そう、僕だけのアキツシマなんだから」
「はい、私はアキツシマです。テスカトル様を魅了して、地球を滅ぼした最も罪深き悪、魔性の雪白ではありません……。貴方様がそうでないように、私は私……」と、
アキツシマは強く断言するように答えながら、ランゼルトのすぐ側に。
──蝶のように、静かに舞い降りてから……。
幼児のような仕草で、勢いよく彼の胸に飛び込み。
今度は、声にならない声をあげて……。
「私、ラーニャに逢えて本当に、本当に幸せです。嬉しくて、嬉しくて……。こんなに幸せになれて、よ、良かったです。だって私、私じゃない私たちの苦しみも、絶望も希望も……。私が人ではないから、ときより観測えてしまうからこそ……。こうやって、貴方のお側に居られるだけでも。この上もない程の幸せです」と言うので。
「アキツシマ……僕も、お前と一緒に入れて幸せだよ。嗚呼、僕も泣きそうだ」
そうランゼルトは震えた声で言いながら、嬉し泣きをするアキツシマの髪を、数回優しく撫でてから……。
両目で色が違う瞳から、一筋の涙を流し。
桜の花びらが舞うこの風景を『私が私ではなくなっても、決して忘れない』と、心の中で誓いながら……。
この世界で誰よりも心優しくて、誰よりも愛おしいアキツシマを、持ち上げるように、抱きかかえて。
自分より高い位置にある唇に、永遠に変わらない愛を、約束するように……。
──慈しむかのような甘いキスを、眠り姫を起こす王子様のように捧げた。
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