上 下
6 / 15
第1話怪しい森の噂

04

しおりを挟む
紫士はそう言ってから、走ったことによって乱れた息を整え。
俺たちより先にたどり着いた雪白の元へと、ゆっくり近づいてから。

「雪白お前っ…あんまし先にいくのは、これまでにしろ」と心配するように言うので。

「わかりました…。兄さんたちより先には行きません…」

「それでいい、じゃないと心配で心配で仕方がなくなるからね」

紫士は心の底から心配しているような声で、雪白にそう告げるので。
それを聞いた雪白は、とても驚いた顔を一瞬見せてから…。

すぐさま、穏やかな表情を浮かべて。

「わかりました、兄さん」と静かに優しく言うので。

俺はそんな姫たちのやりとりを見守りながら、約束を持ちかけ来たクラスメイトに手を振り。

ちゃんと、時間通りに来たぞとアピールをしつつ。

「よぉ!お前らちゃんと来たんだなっ!!」

「おいおい、何だよそれ?俺が三達を読んだのに、来ない訳ないだろう?」

「それもそうだなっ…!!わりぃちょっとからかっただけさ」

俺はあははと笑いながらそう言って、学生服を着ているクラスメイトをじっと見つめて…。

(やっぱり、考えることはみんな同じか…俺も姫たちも制服だから…。
そのやはり、何かに挑むときは学生服にかぎるってやつだな)と心の中で、うんうんと頷き。

(そうだよな…わかるわかる)とさらに続けて思えば…。

突如耳元で、

「騎冬っ…ねぇ、いつまでそうしてるの?」という、

怒りであふれた紫士の声が聞こえてきたので。

「ごめん姫っ!! そうだよな、さっさと目的地に行けだよな!!」

「騎冬…別に私はそこまで、言ってないよ…でもこんな所でペラペラしゃべっているぐらいなら、この怪奇に向かって進んだ方が有益だと思うけどね」

「わわわわ、そう怒るなよ紫士君!!まあ確かに、ここでだべっても意味ないから…。怪しい森へと行きますか」

怒った紫士に慌てふためくかのように、
俺たちを呼んだクラスメイトは額から冷や汗をかきつつそう言って、
俺たちを噂の場所である…。

怪しい森へと、連れて行った。

しおりを挟む

処理中です...