空のおとしもの

stardom64

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 第三章 訪問者 

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「これは石像?」

 そこにあったのは天井まで届きそうなくらいに高い彫像。

 ちょうど、月の光があたり、よく見える。

 しばらく誰もきていないのか、ところどころに埃と蜘蛛の巣。

「これって…。」

 台座の部分を見つめるマリア。

「アリア、ここ照らしてもらえる?」

「よっと。」

 松明を台座に近づけるあたし。

「何か書いてある…。」

「えっと。」

 指で文字の埃を拭うマリア。

「大天使、ミカ…エ…ル。」

「えっ。それって。」



「ミカエル様?」

「でも、なんでこんなところに?」

「さぁ?」

「でも、もしかしたら、大昔は地上に住んでたのかもね。」

「ミカエル様、長生きだし。」

 そう付け加えるマリア。

「とりあえず、ひと段落したら、掃除しましょ。」



「しばらくここにいることになりそうだし。」

「そうしよっか。」

 それに、ミカエル様といえば天界でも有名。

 まだ、会ったこともないけど…。

 いつか…。

 逢えたらいいな。



 ☆☆☆



 コトコト。

 おおっきなお鍋で具材を煮込んでいくあたし。

 ちなみに干し肉とジャガイモ、調味料は天界から持ってきたやつだけど。

 後の具材は地上のもの。

 その辺のよくわからない雑草とかじゃないので安心してほしい。

 ちゃんと、天界にあるものと同じか、確認してから入れたし。

 問題ナッシング。

 バカでかいへらでかき回しながら、親指をグッジョブするあたし。

「アリア、そこに誰かいるの?」

 苦笑いするマリア。

「てへっ。」



 そうこうしているうちにスープからはとってもいい匂いが。

「そろそろかな?」

 ぐつぐつと煮え立つスープをちょっと味見。

「あちちちちちっ。」

 ちょっと熱いけど、でもおいしい。



 そして窓からの光。

「あっ。」

 朝がやって来たみたいだった。

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