森のどうぶつたちと、くまさん

弓屋 晶都

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くまさんは、お昼ご飯を食べに帰りました。
手を洗おうとしたら、家の水桶にお花のついた自分の顔が映りました。
くまさんは、可愛い花が自分にぜんぜん似合っていないのを見てびっくりしました。
「やっぱりこういうかわいいものは、ウサギさんやリスさんがつけないと似合わないな」
くまさんは花を取ろうとしました。
でも、ウサギさんがつけてくれたことを思うと、勝手に取るのは悪い気がします。

くまさんは、ご飯を済ませると、片手でお花を隠しながら家を出ました。



くまさんは、たぬきくんのところに行きました。
たぬきくんは、畑にいました。

「たぬきくん、調子はどうだい?」
くまさんが聞くと、たぬきくんは自分のお腹を撫でました。
「ちょっと腹の具合が悪いんだよねぇ。昨日食べ過ぎたせいかねぇ」
「それなら……」と、くまさんは食べ過ぎに効く実が生っている場所を教えてあげました。
「ありがとうくまさん、いやぁ、助かるねぇ」
お礼に、たぬきくんは畑でとれた大きな大きなスイカをくれました。
「初めは、木になるものだと思っていたんだが、こんな風になるなんて、おどろいたねぇ」
たぬきくんはスイカをポンと叩きました。
たぬきくんのお腹に負けないくらいいい音です。
「おいしそうな音だね」
くまさんは、食べるのが楽しみになりました。

「おやぁ、くまさん。可愛らしい花をつけてるじゃないか、よく似合ってるねぇ」
たぬきさんに言われて、くまさんは、スイカを両手でかかえてしまったので、手で隠していた花が見えていたことに気づきました。
「ぼくにはちょっと可愛すぎじゃないかな?」
「いいや、よく似合ってるよ」
たぬきくんはにこにこ顔で答えます。
くまさんは、そうかなぁ? と思いながらもお礼をいいました。
「ありがとう、たぬきくん。お土産もありがとう。冷やして食べるね」
「へえ、これは冷やして食べるものなのかい?」
「冷やさなくても食べられるけど、ぼくは冷たくしたのが好きかな」
「ところで、これは大きくなると勝手にどこかへころがっていってしまうものなのかねぇ?」
「勝手に……?」
「まあ、こんなに丸いんだ、それも仕方ないだろうねぇ」
たぬきくんはうんうんとうなずいて、畑に転がるスイカを撫でます。
「いくら丸くても、勝手に無くなることはないと思うよ」
くまさんが言うと、たぬきくんは無くなったスイカの場所を指して言います。
目印なのか、無くなったスイカの場所にはひとつずつ梨が置いてありました。
「昨日まではここにあったのに、今朝見に来たら無くなってたんだよ」
たぬきくんの話では、そんなことがもう三日も続いているそうです。
くまさんは、誰かが盗ったんだろうか。と思いましたが、森のみんなを疑うのは嫌だったので「それは不思議だね」と言いました。
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