2 / 7
2
しおりを挟む
くまさんは、お昼ご飯を食べに帰りました。
手を洗おうとしたら、家の水桶にお花のついた自分の顔が映りました。
くまさんは、可愛い花が自分にぜんぜん似合っていないのを見てびっくりしました。
「やっぱりこういうかわいいものは、ウサギさんやリスさんがつけないと似合わないな」
くまさんは花を取ろうとしました。
でも、ウサギさんがつけてくれたことを思うと、勝手に取るのは悪い気がします。
くまさんは、ご飯を済ませると、片手でお花を隠しながら家を出ました。
くまさんは、たぬきくんのところに行きました。
たぬきくんは、畑にいました。
「たぬきくん、調子はどうだい?」
くまさんが聞くと、たぬきくんは自分のお腹を撫でました。
「ちょっと腹の具合が悪いんだよねぇ。昨日食べ過ぎたせいかねぇ」
「それなら……」と、くまさんは食べ過ぎに効く実が生っている場所を教えてあげました。
「ありがとうくまさん、いやぁ、助かるねぇ」
お礼に、たぬきくんは畑でとれた大きな大きなスイカをくれました。
「初めは、木になるものだと思っていたんだが、こんな風になるなんて、おどろいたねぇ」
たぬきくんはスイカをポンと叩きました。
たぬきくんのお腹に負けないくらいいい音です。
「おいしそうな音だね」
くまさんは、食べるのが楽しみになりました。
「おやぁ、くまさん。可愛らしい花をつけてるじゃないか、よく似合ってるねぇ」
たぬきさんに言われて、くまさんは、スイカを両手でかかえてしまったので、手で隠していた花が見えていたことに気づきました。
「ぼくにはちょっと可愛すぎじゃないかな?」
「いいや、よく似合ってるよ」
たぬきくんはにこにこ顔で答えます。
くまさんは、そうかなぁ? と思いながらもお礼をいいました。
「ありがとう、たぬきくん。お土産もありがとう。冷やして食べるね」
「へえ、これは冷やして食べるものなのかい?」
「冷やさなくても食べられるけど、ぼくは冷たくしたのが好きかな」
「ところで、これは大きくなると勝手にどこかへころがっていってしまうものなのかねぇ?」
「勝手に……?」
「まあ、こんなに丸いんだ、それも仕方ないだろうねぇ」
たぬきくんはうんうんとうなずいて、畑に転がるスイカを撫でます。
「いくら丸くても、勝手に無くなることはないと思うよ」
くまさんが言うと、たぬきくんは無くなったスイカの場所を指して言います。
目印なのか、無くなったスイカの場所にはひとつずつ梨が置いてありました。
「昨日まではここにあったのに、今朝見に来たら無くなってたんだよ」
たぬきくんの話では、そんなことがもう三日も続いているそうです。
くまさんは、誰かが盗ったんだろうか。と思いましたが、森のみんなを疑うのは嫌だったので「それは不思議だね」と言いました。
手を洗おうとしたら、家の水桶にお花のついた自分の顔が映りました。
くまさんは、可愛い花が自分にぜんぜん似合っていないのを見てびっくりしました。
「やっぱりこういうかわいいものは、ウサギさんやリスさんがつけないと似合わないな」
くまさんは花を取ろうとしました。
でも、ウサギさんがつけてくれたことを思うと、勝手に取るのは悪い気がします。
くまさんは、ご飯を済ませると、片手でお花を隠しながら家を出ました。
くまさんは、たぬきくんのところに行きました。
たぬきくんは、畑にいました。
「たぬきくん、調子はどうだい?」
くまさんが聞くと、たぬきくんは自分のお腹を撫でました。
「ちょっと腹の具合が悪いんだよねぇ。昨日食べ過ぎたせいかねぇ」
「それなら……」と、くまさんは食べ過ぎに効く実が生っている場所を教えてあげました。
「ありがとうくまさん、いやぁ、助かるねぇ」
お礼に、たぬきくんは畑でとれた大きな大きなスイカをくれました。
「初めは、木になるものだと思っていたんだが、こんな風になるなんて、おどろいたねぇ」
たぬきくんはスイカをポンと叩きました。
たぬきくんのお腹に負けないくらいいい音です。
「おいしそうな音だね」
くまさんは、食べるのが楽しみになりました。
「おやぁ、くまさん。可愛らしい花をつけてるじゃないか、よく似合ってるねぇ」
たぬきさんに言われて、くまさんは、スイカを両手でかかえてしまったので、手で隠していた花が見えていたことに気づきました。
「ぼくにはちょっと可愛すぎじゃないかな?」
「いいや、よく似合ってるよ」
たぬきくんはにこにこ顔で答えます。
くまさんは、そうかなぁ? と思いながらもお礼をいいました。
「ありがとう、たぬきくん。お土産もありがとう。冷やして食べるね」
「へえ、これは冷やして食べるものなのかい?」
「冷やさなくても食べられるけど、ぼくは冷たくしたのが好きかな」
「ところで、これは大きくなると勝手にどこかへころがっていってしまうものなのかねぇ?」
「勝手に……?」
「まあ、こんなに丸いんだ、それも仕方ないだろうねぇ」
たぬきくんはうんうんとうなずいて、畑に転がるスイカを撫でます。
「いくら丸くても、勝手に無くなることはないと思うよ」
くまさんが言うと、たぬきくんは無くなったスイカの場所を指して言います。
目印なのか、無くなったスイカの場所にはひとつずつ梨が置いてありました。
「昨日まではここにあったのに、今朝見に来たら無くなってたんだよ」
たぬきくんの話では、そんなことがもう三日も続いているそうです。
くまさんは、誰かが盗ったんだろうか。と思いましたが、森のみんなを疑うのは嫌だったので「それは不思議だね」と言いました。
0
あなたにおすすめの小説
たったひとつの願いごと
りおん雑貨店
絵本
銀河のはてで、世界を見守っている少年がおりました。
その少年が幸せにならないと、世界は冬のままでした。
少年たちのことが大好きないきものたちの、たったひとつの願いごと。
それは…
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
どろんこポム
辻堂安古市
絵本
どろんこのポムは、泥だらけで「汚い」と言われることに悩んでいました。キラキラ輝く星のキラりんのようになりたいと願いますが、「君は僕にはなれない」と言われてがっかりします。でも・・・
ぽんちゃん、しっぽ!
こいちろう
児童書・童話
タケルは一人、じいちゃんとばあちゃんの島に引っ越してきた。島の小学校は三年生のタケルと六年生の女子が二人だけ。昼休みなんか広い校庭にひとりぼっちだ。ひとりぼっちはやっぱりつまらない。サッカーをしたって、いつだってゴールだもん。こんなにゴールした小学生ってタケルだけだ。と思っていたら、みかん畑から飛び出してきた。たぬきだ!タケルのけったボールに向かっていちもくさん、あっという間にゴールだ!やった、相手ができたんだ。よし、これで面白くなるぞ・・・
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる