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第六話 事件の真相とぬいぐるみグループ (2/4)
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風が吹き抜ける三階の外渡り廊下。
ここは岩崎さんが谷口さんとよく話している場所らしい。
「彩佳……えっと、谷口さんは、ずっと内野さんのファンだったのよ」
「……ファン?」
ファンって、あの、アイドルとかそういうのを推してる人達のことだよね?
え?
思わず咲歩の顔を見る。
けど、咲歩はおどろいた様子もなく「そうだったんですか……」と呟いた。
「どういうこと? 小学生にファンっているもの?」
思わず聞いた私に、咲歩は小さく苦笑した。気がする。
「樹生さんは知らない? 内野さんって子役タレントしてたのよ、ね?」
岩崎さんの言葉に咲歩がうなずく。
「そんなの、全然知らなかった……」
「みこちゃんごめんなさい、隠していたわけじゃなかったんですが……」
咲歩が謝るので、私は慌てて首を振る。
ギプスが無くなったおかげで、首は軽く振れた。
「あ、ううん。気にしないで。びっくりしただけ」
言いながら、そう思ってない自分に気がつく。
私は咲歩に何でも話したのに、咲歩は私に秘密にしてたことがあったんだ……。って。
私だってほんのちょっと前まで、ぞうさんたちの事、咲歩に話してなかったのに。
こんな風に思っちゃうなんて、なんか自分勝手で嫌だな……。
咲歩が二年生で転校してこの学校に来たのは知ってたけど、どうやら前の学校では相当有名だったらしい。
小学生になってからは活動してないから、この学校では知ってる人の方が少ないみたいだけど、映画にも何本か出てたとかで、知っている人は知っている。という感じの知名度だそうだ。
「彩佳は、学校のスナップ写真では毎回内野さんの写真をこっそり買ってるんだって、話してて……」
岩崎さんが話しにくそうに教えてくれる。
「うわぁ」
「……思うところがないことはありませんが、それは違法行為ではありませんし、私がとがめだてすることではないのですが……」
「でも、こないだの水着の写真。あれは買えなかったんだって」
「どうして?」
「クラス別だったからでしょうか」
「あ、奇数と偶数でプールの時間分かれてるもんね」
「ううん、それなら私が買ってあげたらよかったんだけど……」
話によると、谷口さんは親に「もう五年生だから、よその子の水着写真を無断で買うのはダメだ」と止められてしまったらしい。
「本人の了承をもらえば買ってもいい」と言われた谷口さんだったけど、結局、咲歩にそれを言えないまま販売期間は終了してしまった。
まあ、喋ったこともない相手に、いきなり「あなたの水着写真を買ってもいいですか?」はねぇ……。私でもハードル高いと思う。
「岩崎さんは、谷口さんが写真をとったと知っていたんですか?」
咲歩が静かにたずねる。こういう時、表情が見えないのってちょっとこわい。
「先週から彩佳のようすが変だったから、もしかして……とは思ったけど、怖くて聞けなかった……」
「そうですか、わかりました。お話聞かせてくださって、ありがとうございます」
咲歩がペコリと頭をさげる。
岩崎さんは少し迷ってから、咲歩にたずねた。
「やっぱり、彩佳がとったのかな……?」
「それは、本人に聞いてみないとわかりません」
「もし彩佳が犯人だったら、内野さんはどうするの?」
「そうですね、濡れ衣を着せられた千山さんのこともありますし、私の一存ではお答えできませんが……」と咲歩は前置きをしてから「私としては、ことを大きくするつもりはありませんので、谷口さんにはあまり心配しすぎず学校に来てもらえるよう伝えていただけると助かります」
と答えて、微笑んだ。
いや、目が笑ってるかどうかはわからないけど、口元は微笑んでた。
岩崎さんは「こんなことになるくらいなら、私が買ってあげたらよかった」と呟いて、とぼとぼ教室に帰っていった。
そう、なのかな……?
岩崎さんが買ってあげたとして、盗難事件にはならなかったとして、谷口さんと岩崎さんは本当にそれでいいんだろうか。
私は岩崎さんの後ろ姿を、何とも言えない気持ちで見送った。
ここは岩崎さんが谷口さんとよく話している場所らしい。
「彩佳……えっと、谷口さんは、ずっと内野さんのファンだったのよ」
「……ファン?」
ファンって、あの、アイドルとかそういうのを推してる人達のことだよね?
え?
思わず咲歩の顔を見る。
けど、咲歩はおどろいた様子もなく「そうだったんですか……」と呟いた。
「どういうこと? 小学生にファンっているもの?」
思わず聞いた私に、咲歩は小さく苦笑した。気がする。
「樹生さんは知らない? 内野さんって子役タレントしてたのよ、ね?」
岩崎さんの言葉に咲歩がうなずく。
「そんなの、全然知らなかった……」
「みこちゃんごめんなさい、隠していたわけじゃなかったんですが……」
咲歩が謝るので、私は慌てて首を振る。
ギプスが無くなったおかげで、首は軽く振れた。
「あ、ううん。気にしないで。びっくりしただけ」
言いながら、そう思ってない自分に気がつく。
私は咲歩に何でも話したのに、咲歩は私に秘密にしてたことがあったんだ……。って。
私だってほんのちょっと前まで、ぞうさんたちの事、咲歩に話してなかったのに。
こんな風に思っちゃうなんて、なんか自分勝手で嫌だな……。
咲歩が二年生で転校してこの学校に来たのは知ってたけど、どうやら前の学校では相当有名だったらしい。
小学生になってからは活動してないから、この学校では知ってる人の方が少ないみたいだけど、映画にも何本か出てたとかで、知っている人は知っている。という感じの知名度だそうだ。
「彩佳は、学校のスナップ写真では毎回内野さんの写真をこっそり買ってるんだって、話してて……」
岩崎さんが話しにくそうに教えてくれる。
「うわぁ」
「……思うところがないことはありませんが、それは違法行為ではありませんし、私がとがめだてすることではないのですが……」
「でも、こないだの水着の写真。あれは買えなかったんだって」
「どうして?」
「クラス別だったからでしょうか」
「あ、奇数と偶数でプールの時間分かれてるもんね」
「ううん、それなら私が買ってあげたらよかったんだけど……」
話によると、谷口さんは親に「もう五年生だから、よその子の水着写真を無断で買うのはダメだ」と止められてしまったらしい。
「本人の了承をもらえば買ってもいい」と言われた谷口さんだったけど、結局、咲歩にそれを言えないまま販売期間は終了してしまった。
まあ、喋ったこともない相手に、いきなり「あなたの水着写真を買ってもいいですか?」はねぇ……。私でもハードル高いと思う。
「岩崎さんは、谷口さんが写真をとったと知っていたんですか?」
咲歩が静かにたずねる。こういう時、表情が見えないのってちょっとこわい。
「先週から彩佳のようすが変だったから、もしかして……とは思ったけど、怖くて聞けなかった……」
「そうですか、わかりました。お話聞かせてくださって、ありがとうございます」
咲歩がペコリと頭をさげる。
岩崎さんは少し迷ってから、咲歩にたずねた。
「やっぱり、彩佳がとったのかな……?」
「それは、本人に聞いてみないとわかりません」
「もし彩佳が犯人だったら、内野さんはどうするの?」
「そうですね、濡れ衣を着せられた千山さんのこともありますし、私の一存ではお答えできませんが……」と咲歩は前置きをしてから「私としては、ことを大きくするつもりはありませんので、谷口さんにはあまり心配しすぎず学校に来てもらえるよう伝えていただけると助かります」
と答えて、微笑んだ。
いや、目が笑ってるかどうかはわからないけど、口元は微笑んでた。
岩崎さんは「こんなことになるくらいなら、私が買ってあげたらよかった」と呟いて、とぼとぼ教室に帰っていった。
そう、なのかな……?
岩崎さんが買ってあげたとして、盗難事件にはならなかったとして、谷口さんと岩崎さんは本当にそれでいいんだろうか。
私は岩崎さんの後ろ姿を、何とも言えない気持ちで見送った。
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