絶望の終わり

雪紫

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翌日、ダリルは密かに意気込んでいた。

「デューイさん、明日は仕事休みなんだよね」
「あぁ、どっか行きたい所か食いたいもんとかねえか?」
「ううん、家で……ゆっくりしたい」

今夜デューイに自分の気持ちを伝える、ダリルはそう決意している。汚いから抱けない、と言われたら素直に分かったと言って引く覚悟もできた。もし性交渉をしたくないにしても、うじうじと悩んでいる今よりはっきり伝えてもらった方が余程いいとダリルは思っていた。

「どうした?やっぱ行きたい所あったか?」

考え込んでいたのが顔に出ていたのか、デューイは「どこでもいいんだぜ?」と笑顔で聞いてくる。

「だっ、大丈夫!」
「ならいいんだが。まぁ、なんかあったら遠慮せず言えよ」
「うん……」

朝食を作ってくれているデューイを見ながら、彼に気を使わせている自分にため息を着く。手先があまり器用じゃないダリルは、料理を作るのが上手くない。そもそも経験がなかった。前に手伝いをした時、皿を割りその破片で指を怪我したダリルは、危なっかしいということで準備の手伝いもさせてくれないようになった。
デューイの手伝いをしたいと思ってはいるが、自分のせいで手間が増えては本末転倒なのでダリルはいつも食事の前はぼーっと座っていることが多い。

「ダリル、どうした?」

夜にどう言ってデューイに抱いて欲しいと伝えようか、また悶々と考え込んでいたダリル。本日2度目の「どうした」を貰ってしまった。
いつの間にか朝食の準備が出来ていたようで、テーブルにはこんがり焼けたパンにベーコン、ヨーグルト、それから1口サイズに切ったフルーツが並べられている。

「何でもない、ご飯ありがとう、いただきます」
「何でもないならいいが、悩みがあるなら何でも言っていいんだからな?」
「うん、悩みがあったら……デューイさんに言うね」

なんと言えばいいか分からず、ダリルは朝食に手をつけた。
仕事に行くデューイを見送って、ダリルは唯一の仕事である皿洗いを済ませ、一昨日借りた本を読み始めた。

本を読みながら、感想を紙に書く。教養など無かったダリルだったが、読みは出来るようになっていた。時間があれば、今では書く練習をしている。
昼ごはんは昨日の残りと、デューイが朝作ってくれておいた物を食べる。午後からはまた本を読むか、寝てしまうかの2択。
デューイの居ない日はいつも大体こんな感じだ。

夕方にデューイが帰宅し、彼が作った晩ご飯を食べ、風呂に入り、ベッドで寝る。これがいつものルーティーンだが、今日は違う。

「この本を読んだのか」
「うん、あのね、ここがちょっと読めなくて……」
「どれどれ?」

晩ご飯を食べ片付けをした後、本の読めなかった部分、書けなかった部分をデューイに聞く。デューイは文字ばかりを読むのが苦手な方で、ダリルが本を読むという意欲があるだけで偉いな、すごいなと褒めていた。

「感想は?」
「最後まで書けてないから、また今度」

ダリルはお世辞にも綺麗な字とは言えないため、デューイに見せるのを渋る。手元に紙を隠すと、デューイは抱き込むようにしてダリルから悪戯に紙を奪う。

「よく書けてんじゃねえか」

デューイはダリルの頭をわしゃわしゃと撫で、「すごいぞ」とまた褒める。毎度のこと言う褒め言葉だが、ダリルはじわりと頬を染め嬉しそうに笑った。





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