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選ばれたリュウト
しおりを挟む「ア・・ッ」
やんわりと勃ち上がっていたリュウトの肉茎を睡蓮が掴み、優しく扱いていく。
「ん・・睡蓮・・」
「リュウト・・」
やや体を睡蓮に寄り掛からせて、リュウトが首を捻って求めると、睡蓮はリュウトの唇に自分の唇を重ねてくれた。
やさしく唇を合わせ、浅く深くキスをしながら、リュウトの屹立を睡蓮の手が擦り上げる。
その手の上にリュウトは自分の手をそっと重ねた。
羞恥心に苛まれつつも、睡蓮と同じように手を動かして、リュウトは必死に快感を負った。
「あ、あ、・・睡蓮・・っ」
やがてリュウトの中心が弾ける。
真っ白な蜜が二人の手の間から噴き出し、リュウトのヘソの上へと溢れた。
その瞬間、ーーー今吐き出されたリュウトの精液が、俄に光り出した。
初めての経験で疲れ切ったリュウトは、睡蓮の腕の中で息を喘がせ、目を閉じたまま動けなくなっていた。
睡蓮は、男の顔を見上げ、恭しく礼をする。
門となる者の体内と体外に散らされた精液。
本来なら情交にて契る儀式だが、今回は口から取り入れる事で、なんとか完成させる事が出来た。
「これで、リュウトの体の中にある路が繋がり、あちら側とこちら側の門が開きました。ちなみに、この入り口は一方通行です。引き返すことは誰にも出来ません」
「わーってるよ。ったく、肉体を持つのは簡単なのに、抜け出るには手間が掛かるっつーんだから、困るぜ。こんなガキの世話にならなきゃ帰れねえなんてな」
「門が開いている時間は短い。お早く」
「わかったわかった。じゃあな。リュウト、次は挿れさせろよ?」
そう言って、リュウトの髪をぐしゃぐしゃと撫でた男が、リュウトの白濁の上に手をかざして目を閉じる。
男の掌の中から、白い煙のようなものが噴き出し、リュウトの腹の中へとそれが吸い込まれていく。
『神送り』の成功だ。
が、喜ぶにはまだ早い。
神が抜け出た男の肉体が、リュウトの足下に残っている。
男の意識は無く、きっと神が乗り移っていた間の記憶も曖昧だろう。
もし今、気がつけば、自分がどうしてここにいるのかと混乱し、パニックを起こしかねない。
睡蓮は半ば放心状態の男の耳に囁く。
「すぐにここから立ち去り、家へ帰れ。そして、すぐに眠れ。そうすれば全て忘れられる。お前は明日から、いつもの生活へ戻れ」
男は虚ろな目で体を起こし、さっと身支度を整えると、フラフラとリュウトの部屋から出て行った。
睡蓮はリュウトの精液をキレイに拭い取り、こちらも衣服を整えた。
「リュウト・・」
神と交わる事を課せられた人間。
それを支える役割の自分。
睡蓮は200年も前から、この子が生まれてくるのを待っていた。
神の門となる者が生まれるのをーーー
これがこの子の使命ーーー
その残酷さに、睡蓮自身、自分が耐えられるだろうかと不安になった。
もっと大人なら、瞑想だけで神を通す事が出来る者もいた。
だが、それも稀だ。
この子はまだ幼い。
さっき口づけを交わした時、彼の心の中がわかってしまった。
気持ちのコントロールが、まだうまく出来ない。
それでは、傍若無人な神を目の前にして瞑想を続けることは難しい。
神に襲われそうになった時のリュウトの表情を思い出し、睡蓮の心がズキリと痛んだ。
「リュウト」
「・・すい・・れん?」
「全て、万事上手く終わりましたよ。お疲れ様でした」
「え・・?」
目を閉じていたリュウトは慌てて体を起こし、自分の体を撫で摩り、自分の肩を自分で抱き締めた。
「うそ・・アイツは・・?」
「神の国へ帰りました。あなたの体内を通ってね」
睡蓮がリュウトのお腹の中心を指差すと、リュウトは肩を掴んでいた手をゆっくりとお腹へと移した。
睡蓮は神にした説明を、もう一度リュウトに聞かせる。
リュウトは目を潤ませて、笑った。
「どうして・・オレなの?」
と、睡蓮の顔を見上げる。
「・・神の思し召しです」
「ふ・・ざけんなよ!!・・んなふざけた理由で・・!!」
リュウトは睡蓮の肩を掴み、激しく揺さぶった。
睡蓮はリュウトの髪を撫でて、その頭を自分の胸へと抱き寄せた。
抱き締められて、リュウトの目から涙が溢れ出す。
「泣くな。オレが、ずっとオレが一緒にいてやるから。泣くな、リュウト」
その胸に強く抱き締められ、睡蓮の低い声が鼓膜に響いた。
あー・・どうして・・睡蓮とじゃなかったんだろう・・?
せっかく自分の好みの人が目の前にいるってのに。
そう思ったら余計に涙が溢れた。
それに、睡蓮は庇ってくれた。
本当は、自分がセックスしなければいけなかったのに、睡蓮はオレをあの男から引き剥がして、自分が身代わりになろうとしてくれた・・。
あの美しい顔が、汚される様を思い出すと、胸が痛いくらい締め付けられた。
やだ・・あんなの・・
ひどい・・・
あんな睡蓮、見たくない・・っ
「リュウト・・」
「睡蓮・・ごめんっ本当は、オレがしなきゃいけないのに・・」
「大丈夫です。少し口の中が爛れましたが、すぐ治ります」
「え!?ただれ・・!?」
「あ、・・私のように力のない精霊は、神の霊力に触れる事は出来ないんです。それも神の精液ともなると霊力そのものになるので・・」
そうはにかんだ睡蓮の唇が確かに真っ赤に腫れ、唇の端には血が滲んでいた。
「ご、ごめん、オレの代わりに・・!あれ、でもオレ・・」
思わず自分の唇を手で撫でてみたが、別段変わりはない。
「あなたは神に選ばれた巫女。唯一神を受け入れる事の出来る器なのです。普通の人間にも、これは出来ない」
そう言われて、リュウトは絶句する。
本当に、選ばれてしまったのだ。
自分は、自分の命と引き換えに、神に体を捧げる巫女になってしまったのだ。
そして、その頃、同時刻。
全身黒尽くめの二人組み。
憂火と暮は、早くて旨いが売りの全国チェーンのうどん屋で、温泉卵入りのうどんを大盛りで注文。
「水橋龍人の家から、スーツ姿の男が一人出て来たと報告が入りました。追いますか?」
極太のうどんを前に、憂火は、割り箸を横向きに手に持ち、箸の半分を歯で噛んで割り箸を割る。
「バッカヤロウ!そりゃ抜け殻だろうが。これで、ミズハシリュウトはホンモノだって決まったな」
憂火は箸を親指と人差し指の間に挟み両手を合わせて「いただきます」をしてから、うどんを啜り出す。
「前回の適合者は病人でしたからね・・。とても無理させられませんでしたが、今回は17才。簡単ですよ。ヤっちまえば道は開く訳です」
暮も、箸を割ると、うどんを掻き混ぜて、豪快に啜り出した。
「そうそう開かせて堪るか!逝く前に、ぶっ殺してやる・・!」
「了解」
万物に神が宿る国、日本。
その数は・・八百万・・!
開花したリュウトを狙う神と、死神の追いかけっこが始まる。
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