55 / 197
短編 幻のティタニアと暗黒のクリスマス・イヴ
第6話 幻のティタニア
しおりを挟む
威厳をまとった老人が、アルヴィンの前に立つ。
それが誰であるか、学院で知らぬ者はいまい。
元上級審問官グラッドストーン。オルガナの、現学院長である。
「貴女こそが、ティタニアだ!」
思わぬ展開に、アルヴィンは慌てた。
男がティタニアになったなど、学院史に汚点を残しかねない。
「こ、困ります、学院長! ぼ……私には、いただく資格がありません!」
「資格ならある」
自信に満ちた口調で、学院長は断言する。
「学院生の多くは、勘違いをしておる。ティタニアとは、ただ美しいだけの者に与えられる称号ではない」
「ですが──」
尚も固辞しようとするアルヴィンに、ふと老人は悪戯っ子のような笑みを浮かべた。二人だけに聞こえる声で囁く。
「分からぬかね? カボチャを落とした哀れな老人に手を貸す、心の優しさこそが大事ということじゃよ」
茶目っ気たっぷりに、学院長はウインクをして見せる。
アルヴィンは、ハッとした。
フェリックスに会いに行った日に、記憶が巻き戻る。
あの時、廊下にカボチャがぶちまけた、図々しい老人がいた。目深に被った帽子のせいで顔はよく見えなかったが──声が、学院長のものと重なる。
「あなたは!?」
思わずアルヴィンは絶句した。
ティタニア候補を探すために、わざわざあんな小芝居をしていたとすれば……学院長、あなたはどれだけ暇なのか。
そして女装を見抜いた観察眼には、驚きを通り越して呆れすら湧いてくる。
「さあ、新しいティタニアの誕生じゃ!」
グラッドストーンは得意顔で、高らかと宣言する。
割れんばかりの拍手が沸き起こる。
もはや辞退するとは言えない空気だ……。アルヴィンは曖昧な微笑みを浮かべるしかない。
こうして、数年ぶりにティタニアが誕生した。
プロムナードは喝采の中で、幕を閉じたのだった。
「茶番はそこまでだ!!」
──いや、閉じていなかった。
憤怒に満ちあふれた声が、会場の高揚した雰囲気をぶち壊した。
学院長とアルヴィンの間に割り込んだのは、ヴィクトルである。背後には、双子もいる。
この急展開に完全に忘れていたが……逃げる途中、だった。
「正体を見せろ!」
ヴィクトルが腕を掴んだ。そしてウイッグに手を伸ばす。
まさに、間一髪だった。
手が届く寸前、フェリックスがヴィクトルの足を、しこたま踏みつけたのだ。
「ぐおっ!?」
「逃げろ!」
フェリックスの声に弾かれるようにして、腕を振りほどく。身を翻し、出口へと駆けだした。
「待て! アル──」
アルヴィンと、観衆の前で叫ばれたら終わりだ。
とっさに彼は、手を閃かせた。
手近なテーブルの上にあった物──パンプキンパイを、投げつけたのである。
ヴィクトルは、僅かに首を傾けて避ける。
そしてパイは綺麗な放物線を描き……背後にいた、アリシアの顔に命中した。
「あっ……」
アルヴィンは、顔を青ざめさせた。
よりにもよって、なぜそこに飛んだのか。
「な、何をするのよおおおおっ!!!!?」
アリシアの叫び声が、会場に響き渡った。
プロムのためにせっかくメイクした顔は、見る影もない。美麗なイブニングドレスは、パイまみれである。
彼女は怒りと屈辱に震えた。
まさかフェリックス様を奪われた挙句に、こんな仕打ちまで受けるとは──!
手近にあった料理や皿を、手当たり次第に泥棒猫へ投げつける。
アリシアには、実に申し訳ないことをした。それは真摯に詫びたい。
だが……だからといって、飛来してくる大皿にぶつかる義理もない。
投擲されたそれらを、アルヴィンは俊敏に回避した。結果、背後で新たな悲鳴が上がる。
この場にいるのは審問官の卵であるとはいえ、血気盛んな若者達である。
新たな被害者がパンプキンパイを投げ返し、混乱が拡大する。会場のいたるところで、復讐の応酬が始まった。
料理や皿が、空中を飛び交う。乱闘まで始まる。
一つだけお断りをさせていただくと、料理を投げてはいけない。武器として使っていいのは、意中の男性の心を掴みたい時だけだ。
混迷極まるプロム会場の扉が、荒々しく開かれた。
ただならぬ騒ぎを聞きつけたのだろう、数人の教官が駆け込んだのだ。
「全員動くな! 直ちに退出しろっ!」
全く理屈に合わない命令を叫ぶあたり、教官らも相当混乱している。その顔にパイが命中するにいたって、事態の収拾は、もはや不可能となった。
会場は阿鼻叫喚の様相を呈する。
優雅なプロムナードは、こうして壮大なパイ投げ大会へと変貌したのだった。
遠くの方で喧噪が聞こえる。
宴は、まだ続いているようだ。
「……とんでもないことになった」
ウイッグを外すと、アルヴィンは力なくへたり込んだ。地面から伝わる冷たさが、今は心地良い。
会場を抜け出せたのはいいが、頭から靴先にいたるまで、酷い汚れようである。
「まさか、こんなクリスマス・イヴになるなんてね」
フェリックスは人事のように、笑いながら応じる。憎らしいことに、彼の服は汚れ一つなかった。
アルヴィンは、冬の星座が瞬く夜空を見上げた。
なんとかヴィクトルと双子を振り切ったが、次に会う時にはどんな言い訳をしたらいいのやら……
陰鬱としたアルヴィンとは裏腹に、フェリックスはどこか晴れ晴れとした顔をしている。
「──最後に、良い思い出ができたよ」
「最後?」
ぽつりと漏れた言葉に、アルヴィンは怪訝そうな視線を向けた。
フェリックスは頷くと、地面に視線を落とした。
「実は、母と同じ古言語学者になろうと思ってね。年が明けたら、聖都のスクールへ入学する予定なんだ」
聖都は、オルガナから遠く離れている。スクールへ入学すれば、もう会うことはないだろう。
アルヴィンは表情を曇らせた。
「そうだったのか……」
「だからさ、キミと踊れて楽しかったよ。これから進む道は違うけど、お互いベストを尽くそうよ」
そう言うと、フェリックスは右手を差し出した。
彼にも、目指すべき目標がある。父の仇を討つために、審問官を志すアルヴィンと同じように。
二人は固い握手を交わした。
にっこりと、フェリックスは微笑む。
「次に会った時は、また踊ろう」
「それは断る」
この男と踊ると、ろくなことがない。
きっぱりと、アルヴィンは拒否したのだった。
オルガナでプロムナードが催されたのは、この年が最後となった。
翌年のクリスマス・イヴからは、パイ投げ大会に変更されたという。
最後のティタニアの行方は、未だに知れない。
(原初の魔女編につづく)
それが誰であるか、学院で知らぬ者はいまい。
元上級審問官グラッドストーン。オルガナの、現学院長である。
「貴女こそが、ティタニアだ!」
思わぬ展開に、アルヴィンは慌てた。
男がティタニアになったなど、学院史に汚点を残しかねない。
「こ、困ります、学院長! ぼ……私には、いただく資格がありません!」
「資格ならある」
自信に満ちた口調で、学院長は断言する。
「学院生の多くは、勘違いをしておる。ティタニアとは、ただ美しいだけの者に与えられる称号ではない」
「ですが──」
尚も固辞しようとするアルヴィンに、ふと老人は悪戯っ子のような笑みを浮かべた。二人だけに聞こえる声で囁く。
「分からぬかね? カボチャを落とした哀れな老人に手を貸す、心の優しさこそが大事ということじゃよ」
茶目っ気たっぷりに、学院長はウインクをして見せる。
アルヴィンは、ハッとした。
フェリックスに会いに行った日に、記憶が巻き戻る。
あの時、廊下にカボチャがぶちまけた、図々しい老人がいた。目深に被った帽子のせいで顔はよく見えなかったが──声が、学院長のものと重なる。
「あなたは!?」
思わずアルヴィンは絶句した。
ティタニア候補を探すために、わざわざあんな小芝居をしていたとすれば……学院長、あなたはどれだけ暇なのか。
そして女装を見抜いた観察眼には、驚きを通り越して呆れすら湧いてくる。
「さあ、新しいティタニアの誕生じゃ!」
グラッドストーンは得意顔で、高らかと宣言する。
割れんばかりの拍手が沸き起こる。
もはや辞退するとは言えない空気だ……。アルヴィンは曖昧な微笑みを浮かべるしかない。
こうして、数年ぶりにティタニアが誕生した。
プロムナードは喝采の中で、幕を閉じたのだった。
「茶番はそこまでだ!!」
──いや、閉じていなかった。
憤怒に満ちあふれた声が、会場の高揚した雰囲気をぶち壊した。
学院長とアルヴィンの間に割り込んだのは、ヴィクトルである。背後には、双子もいる。
この急展開に完全に忘れていたが……逃げる途中、だった。
「正体を見せろ!」
ヴィクトルが腕を掴んだ。そしてウイッグに手を伸ばす。
まさに、間一髪だった。
手が届く寸前、フェリックスがヴィクトルの足を、しこたま踏みつけたのだ。
「ぐおっ!?」
「逃げろ!」
フェリックスの声に弾かれるようにして、腕を振りほどく。身を翻し、出口へと駆けだした。
「待て! アル──」
アルヴィンと、観衆の前で叫ばれたら終わりだ。
とっさに彼は、手を閃かせた。
手近なテーブルの上にあった物──パンプキンパイを、投げつけたのである。
ヴィクトルは、僅かに首を傾けて避ける。
そしてパイは綺麗な放物線を描き……背後にいた、アリシアの顔に命中した。
「あっ……」
アルヴィンは、顔を青ざめさせた。
よりにもよって、なぜそこに飛んだのか。
「な、何をするのよおおおおっ!!!!?」
アリシアの叫び声が、会場に響き渡った。
プロムのためにせっかくメイクした顔は、見る影もない。美麗なイブニングドレスは、パイまみれである。
彼女は怒りと屈辱に震えた。
まさかフェリックス様を奪われた挙句に、こんな仕打ちまで受けるとは──!
手近にあった料理や皿を、手当たり次第に泥棒猫へ投げつける。
アリシアには、実に申し訳ないことをした。それは真摯に詫びたい。
だが……だからといって、飛来してくる大皿にぶつかる義理もない。
投擲されたそれらを、アルヴィンは俊敏に回避した。結果、背後で新たな悲鳴が上がる。
この場にいるのは審問官の卵であるとはいえ、血気盛んな若者達である。
新たな被害者がパンプキンパイを投げ返し、混乱が拡大する。会場のいたるところで、復讐の応酬が始まった。
料理や皿が、空中を飛び交う。乱闘まで始まる。
一つだけお断りをさせていただくと、料理を投げてはいけない。武器として使っていいのは、意中の男性の心を掴みたい時だけだ。
混迷極まるプロム会場の扉が、荒々しく開かれた。
ただならぬ騒ぎを聞きつけたのだろう、数人の教官が駆け込んだのだ。
「全員動くな! 直ちに退出しろっ!」
全く理屈に合わない命令を叫ぶあたり、教官らも相当混乱している。その顔にパイが命中するにいたって、事態の収拾は、もはや不可能となった。
会場は阿鼻叫喚の様相を呈する。
優雅なプロムナードは、こうして壮大なパイ投げ大会へと変貌したのだった。
遠くの方で喧噪が聞こえる。
宴は、まだ続いているようだ。
「……とんでもないことになった」
ウイッグを外すと、アルヴィンは力なくへたり込んだ。地面から伝わる冷たさが、今は心地良い。
会場を抜け出せたのはいいが、頭から靴先にいたるまで、酷い汚れようである。
「まさか、こんなクリスマス・イヴになるなんてね」
フェリックスは人事のように、笑いながら応じる。憎らしいことに、彼の服は汚れ一つなかった。
アルヴィンは、冬の星座が瞬く夜空を見上げた。
なんとかヴィクトルと双子を振り切ったが、次に会う時にはどんな言い訳をしたらいいのやら……
陰鬱としたアルヴィンとは裏腹に、フェリックスはどこか晴れ晴れとした顔をしている。
「──最後に、良い思い出ができたよ」
「最後?」
ぽつりと漏れた言葉に、アルヴィンは怪訝そうな視線を向けた。
フェリックスは頷くと、地面に視線を落とした。
「実は、母と同じ古言語学者になろうと思ってね。年が明けたら、聖都のスクールへ入学する予定なんだ」
聖都は、オルガナから遠く離れている。スクールへ入学すれば、もう会うことはないだろう。
アルヴィンは表情を曇らせた。
「そうだったのか……」
「だからさ、キミと踊れて楽しかったよ。これから進む道は違うけど、お互いベストを尽くそうよ」
そう言うと、フェリックスは右手を差し出した。
彼にも、目指すべき目標がある。父の仇を討つために、審問官を志すアルヴィンと同じように。
二人は固い握手を交わした。
にっこりと、フェリックスは微笑む。
「次に会った時は、また踊ろう」
「それは断る」
この男と踊ると、ろくなことがない。
きっぱりと、アルヴィンは拒否したのだった。
オルガナでプロムナードが催されたのは、この年が最後となった。
翌年のクリスマス・イヴからは、パイ投げ大会に変更されたという。
最後のティタニアの行方は、未だに知れない。
(原初の魔女編につづく)
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる