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6.お掃除と介護
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「水汲みだけでいいのに、意外と働き者なんだねぇ」と、家に帰ってきたコゼットさんがいった。
コゼットさんが抱えているカゴの中には、野菜の剥かれた皮や、野菜の切れ端が入っている。きっと、王都を歩き回り、貰ってきてくれたのだろう。
「はい。家を掃除して綺麗にしていこうと思ってます」
まずは、病人が寝ている部屋の掃除だ。
病人は三人。
セト君の言っていたロバートさん。
高熱で苦しんでいるようだ。額には汗の粒が付いている。素人の私は、なんの病気なのか分からない。
インフルエンザによる高熱かも知れないし、ペストであるのかもしれない。元の世界で、中世にペストが大流行していたということは知っているが、ペストがどんな症状なのか、私には分からない。
ロバートさんの横に寝かされているのは、ビットさんという男性だ。
肩幅が大きくがっちりとした体格であるという印象である。
症状は、下痢だ。ベッドの間から滝のように下痢が流れている。桶の三分の一くらいまで汚物が溜まっている。
食中毒だろうか? ノロウイルスだろうか?
とりあえず、これだけ下痢をしていたら、水を沢山飲まないと脱水症状の危険があるように思う。
最後の一人はレベッカさんという女性だ。
レベッカさんは、痛みで呻き声を上げている。体中が痛いらしい。全身が痛くて、寝返りをすることもできないらしい。
レベッカさんだけは、お医者様の診断を受けたらしい。どうやら、全身の骨が脆くなって、骨折、もしくは罅が入っているとのことだ。
肋骨などは、咳をしたことにより折れまくっていると、セト君が説明してくれた。そして、治療法がないとお医者様もサジを投げたようである。
ロバートさんのも、ビットさんのも、レベッカさんのも、どれも、なんの病気か分からないし。私がやれることは、この部屋を清潔に保つことだ。
やらないよりはマシ、ということだ。
三人が寝ている部屋も、やはり汚い。
汚れきったシーツにはノミやシラミだらけ。床にはカビだって生えている。
こんな非衛生的な環境に病人を寝かせて、病人を殺す気ですか!
衛生的であることの大事さ。その利点が分からない、というより、それが発見されていないのだろう。
野戦病院での死亡率の高さから、衛生という概念を発見したのは、従軍看護婦だったナイチンゲールだ。女性であったし、伝記もあるほどの有名人だった。クリミア戦争への従軍であったから、前の世界では1854年頃だろう。
伝記シリーズは、男性の伝記が多い中、女性が主人公の伝記としてひときわ図書館で輝いていた。
白衣の天使、看護士に憧れるのは、この人の影響かもしれない。
衛生という概念が発見されたのは前の世界でも二百年前だ。この世界でその概念が発見されるのは数百年後かもしれない。だけど、私がいますぐ出来ることだ。
実際、セト君は手洗いすらしていない。汚れた手でそのままパンを手で取ってかじっている。手洗いうがいをする。これだけで、多少は感染の確率を下げられるはずだ。
結局、私が出来ることは……掃除あるのみ!
「セト君、水をじゃんじゃん汲んできて! このタライを水で一杯にして。あっ、その前にセト君、これ使って」
私は比較的綺麗そうな布をセト君の口元にあてて頭の後ろで結んだ。マスクの代わりである。
コゼットさんにも付けてもらった。
「なんだよ、息がしずらいじゃないか」
セト君はいやがって、直ぐにマスクを外してしまった。
「これをつけると健康でいられるんだよ」と私が言うが、効果はあまりなかったようだ。
「呼吸がしづらいねぇ」とコゼットさんまでもが、外してしまった。
マスクは不評だった……。マスクは鼻や口を覆う。極めて原始的な方法だけど、元の世界でもバリバリの現役の予防法だ。
鼻や口からの感染を防ぎ、また、人に感染を移さない。インフルエンザウイルス流行時の、元の世界のマスク着用率を、セト君やコゼットさんに見せてあげたいくらいだ。
呼吸がしにくい……。それに反論できるような材料が私にはない。目に見えない細菌とかウィルスが存在していて~それによって~なんて説明しても、頭がおかしいと言われて、最悪、コゼットさんの家から追い出されるかもしれない。
マスクは今後の課題にしよう。私が着用して健康であれば有用性を示せるかもしれない。
私は気を取り直して、掃除を始める。
床の汚物は、水で流しつつ、シャクで桶へと汲んで、野外の城壁の壁あたりに捨てる。
外に捨てるのも本当は問題なんだけど、とりあえずは、病人の寝ている部屋だけでも衛生的にするべきだと思う。
シーツは洗う。
随分とすり減った洗濯板だけど、もみ洗いよりは効果的だろう。それにしても、『ソフィアの板』も、すり減って凸凹がなくなるくらいまで使ってもらえると、聖女冥利に尽きると思えてしまう。私が洗濯板を考案したのは私が6歳のときだから、もう十五年以上昔だ。
ゴシゴシゴシ。
洗ったあとのシーツは、竃で熱した熱湯に沈める。
壁などは水で流して、ボロ布でゴシゴシと拭き取るように。
ベッドも汚れを拭き取る。
一日中掃除を続けて、多少マシになった。
病人が寝ている五畳ほどの部屋は、そこそこ綺麗になった。
除菌がある程度できたはずだ。理想は、殺菌とかしたいのだけど、アルコールとかがない。
掃除も終わったので、今度は感染源が部屋に入ってくる可能性を減らすということ。
「これからこの部屋に入るときは、手を洗い、靴の汚れを落としてから入ってください」
そういって、部屋の入口の前に、タライを用意して井戸水を入れておく。
これでよし。
あとは……看病だ。
治療法が分かればいいのだけど、分からない。
ビットさんの下痢は続いている。
煮沸して菌を取り除いた水を、ある程度冷まして飲ませる、ということしか私にはできない。
食事は、お粥ならぬ、煮込んだ小麦粥だ。カビの生えた石のように硬いパンより消化に良いと思う。
貴重だけど、命には変えられないので、コゼットさんに頼み込み、塩を少しもらった。あまり美味しいとはいえないけれど、病気の人たちも食べないことには元気にならない。
「白湯です」
ぬるま湯を急須のようなもので口元へと持っていく。
「あっ、ありがとう」
ビットさんは飲んだそばから、それがあっという間に下痢となってしまう。
「水を飲ませるとダメなんじゃないか?」
セト君が疑問を口にする。
たしかに、水を飲ませるとそれだけ下痢が出る。だけど、一番注意しないといけないのは脱水症状だ。
私がやっていることは治療とは真逆のことのようにセト君には見えているのかもしれない。そもそも私がやっているのが治療なのかすら私には分からない。テレビドラマや漫画の知識である。
「お願い……セト君。信じて欲しい……また水を汲んできて、沸かして」
誠心誠意、セト君にお願いすることしか私にはできない。
「分かったよ」と、セト君はまた井戸へと走っていてくれる。
ビットさんの病状に対して、ロバートさんは高熱だ。額に置いた濡れた布があっという間に温くなる。
驚くべき事に、高熱が出たときに額を冷やすということをコゼットさんもセト君も知らないようだった。
熱を冷ます額シートとかが発明されていないのは仕方ないけど、氷枕とかはありそうだったが、その発想はないらしい。
ロバートさんは体温計がないから分からないけど、四十度を超える熱が出ているかもしれない。ロバートさんはこの症状が一週間続いているそうだ。年齢は私と同じくらいなようだ。四十度の熱が一週間。きっと、もともと体力がある人なのだろう。
聞けば、ロバートさんは、元気なときは大工をやっていたそうだ。
頭を冷やしつつ、汗で濡れた体を拭く。
「ありがとう……楽になった気がする」
「それは良かったです」
ロバートさんはすごい汗だ。
ロバートさんと何かのウィルスか細菌が体の中で戦っているのだろう。薬がない以上、ロバートさんの体の抵抗力が、病原菌に勝つことを祈るしか無い。
レベッカさんに関しては、何をすればよいのか全く分からない。小麦粥を飲ませてあげる、身の回りの掃除をすることくらいしか思い付かない。
体を動かそうとしたらレベッカさんは痛みで呻き声をあげる。呼吸をするだけでも胸が痛いらしい。どうしたら良いのかさっぱり分からない。
とにかく、あとは、根気との勝負だ。
看病を続けて行くしかない。
私の知識でやれるだけのことはやった。
看病を続けつつ、あと私に出来ることは……祈ることだろうか?
それ以外に何かできることはあるだろうか?
ロバートさんもビットさんも、脱水症状であるなら、点滴が有効かも知れない。生理食塩水の点滴……いや、針がどこにある。生理食塩水ってどうやって作る?
というか、ド素人の私がそんなことをしたら、治療どころか毒殺してしまうかもしれない。
漢方薬のように、植物から薬を作る?
いや、薬になる植物の見分け方も、作り方もしらないし。作れるのは生姜湯くらいだ……。それに、生姜もない。
今の私にできることで残っているのは、本当に、祈ることだけだった。
コゼットさんが抱えているカゴの中には、野菜の剥かれた皮や、野菜の切れ端が入っている。きっと、王都を歩き回り、貰ってきてくれたのだろう。
「はい。家を掃除して綺麗にしていこうと思ってます」
まずは、病人が寝ている部屋の掃除だ。
病人は三人。
セト君の言っていたロバートさん。
高熱で苦しんでいるようだ。額には汗の粒が付いている。素人の私は、なんの病気なのか分からない。
インフルエンザによる高熱かも知れないし、ペストであるのかもしれない。元の世界で、中世にペストが大流行していたということは知っているが、ペストがどんな症状なのか、私には分からない。
ロバートさんの横に寝かされているのは、ビットさんという男性だ。
肩幅が大きくがっちりとした体格であるという印象である。
症状は、下痢だ。ベッドの間から滝のように下痢が流れている。桶の三分の一くらいまで汚物が溜まっている。
食中毒だろうか? ノロウイルスだろうか?
とりあえず、これだけ下痢をしていたら、水を沢山飲まないと脱水症状の危険があるように思う。
最後の一人はレベッカさんという女性だ。
レベッカさんは、痛みで呻き声を上げている。体中が痛いらしい。全身が痛くて、寝返りをすることもできないらしい。
レベッカさんだけは、お医者様の診断を受けたらしい。どうやら、全身の骨が脆くなって、骨折、もしくは罅が入っているとのことだ。
肋骨などは、咳をしたことにより折れまくっていると、セト君が説明してくれた。そして、治療法がないとお医者様もサジを投げたようである。
ロバートさんのも、ビットさんのも、レベッカさんのも、どれも、なんの病気か分からないし。私がやれることは、この部屋を清潔に保つことだ。
やらないよりはマシ、ということだ。
三人が寝ている部屋も、やはり汚い。
汚れきったシーツにはノミやシラミだらけ。床にはカビだって生えている。
こんな非衛生的な環境に病人を寝かせて、病人を殺す気ですか!
衛生的であることの大事さ。その利点が分からない、というより、それが発見されていないのだろう。
野戦病院での死亡率の高さから、衛生という概念を発見したのは、従軍看護婦だったナイチンゲールだ。女性であったし、伝記もあるほどの有名人だった。クリミア戦争への従軍であったから、前の世界では1854年頃だろう。
伝記シリーズは、男性の伝記が多い中、女性が主人公の伝記としてひときわ図書館で輝いていた。
白衣の天使、看護士に憧れるのは、この人の影響かもしれない。
衛生という概念が発見されたのは前の世界でも二百年前だ。この世界でその概念が発見されるのは数百年後かもしれない。だけど、私がいますぐ出来ることだ。
実際、セト君は手洗いすらしていない。汚れた手でそのままパンを手で取ってかじっている。手洗いうがいをする。これだけで、多少は感染の確率を下げられるはずだ。
結局、私が出来ることは……掃除あるのみ!
「セト君、水をじゃんじゃん汲んできて! このタライを水で一杯にして。あっ、その前にセト君、これ使って」
私は比較的綺麗そうな布をセト君の口元にあてて頭の後ろで結んだ。マスクの代わりである。
コゼットさんにも付けてもらった。
「なんだよ、息がしずらいじゃないか」
セト君はいやがって、直ぐにマスクを外してしまった。
「これをつけると健康でいられるんだよ」と私が言うが、効果はあまりなかったようだ。
「呼吸がしづらいねぇ」とコゼットさんまでもが、外してしまった。
マスクは不評だった……。マスクは鼻や口を覆う。極めて原始的な方法だけど、元の世界でもバリバリの現役の予防法だ。
鼻や口からの感染を防ぎ、また、人に感染を移さない。インフルエンザウイルス流行時の、元の世界のマスク着用率を、セト君やコゼットさんに見せてあげたいくらいだ。
呼吸がしにくい……。それに反論できるような材料が私にはない。目に見えない細菌とかウィルスが存在していて~それによって~なんて説明しても、頭がおかしいと言われて、最悪、コゼットさんの家から追い出されるかもしれない。
マスクは今後の課題にしよう。私が着用して健康であれば有用性を示せるかもしれない。
私は気を取り直して、掃除を始める。
床の汚物は、水で流しつつ、シャクで桶へと汲んで、野外の城壁の壁あたりに捨てる。
外に捨てるのも本当は問題なんだけど、とりあえずは、病人の寝ている部屋だけでも衛生的にするべきだと思う。
シーツは洗う。
随分とすり減った洗濯板だけど、もみ洗いよりは効果的だろう。それにしても、『ソフィアの板』も、すり減って凸凹がなくなるくらいまで使ってもらえると、聖女冥利に尽きると思えてしまう。私が洗濯板を考案したのは私が6歳のときだから、もう十五年以上昔だ。
ゴシゴシゴシ。
洗ったあとのシーツは、竃で熱した熱湯に沈める。
壁などは水で流して、ボロ布でゴシゴシと拭き取るように。
ベッドも汚れを拭き取る。
一日中掃除を続けて、多少マシになった。
病人が寝ている五畳ほどの部屋は、そこそこ綺麗になった。
除菌がある程度できたはずだ。理想は、殺菌とかしたいのだけど、アルコールとかがない。
掃除も終わったので、今度は感染源が部屋に入ってくる可能性を減らすということ。
「これからこの部屋に入るときは、手を洗い、靴の汚れを落としてから入ってください」
そういって、部屋の入口の前に、タライを用意して井戸水を入れておく。
これでよし。
あとは……看病だ。
治療法が分かればいいのだけど、分からない。
ビットさんの下痢は続いている。
煮沸して菌を取り除いた水を、ある程度冷まして飲ませる、ということしか私にはできない。
食事は、お粥ならぬ、煮込んだ小麦粥だ。カビの生えた石のように硬いパンより消化に良いと思う。
貴重だけど、命には変えられないので、コゼットさんに頼み込み、塩を少しもらった。あまり美味しいとはいえないけれど、病気の人たちも食べないことには元気にならない。
「白湯です」
ぬるま湯を急須のようなもので口元へと持っていく。
「あっ、ありがとう」
ビットさんは飲んだそばから、それがあっという間に下痢となってしまう。
「水を飲ませるとダメなんじゃないか?」
セト君が疑問を口にする。
たしかに、水を飲ませるとそれだけ下痢が出る。だけど、一番注意しないといけないのは脱水症状だ。
私がやっていることは治療とは真逆のことのようにセト君には見えているのかもしれない。そもそも私がやっているのが治療なのかすら私には分からない。テレビドラマや漫画の知識である。
「お願い……セト君。信じて欲しい……また水を汲んできて、沸かして」
誠心誠意、セト君にお願いすることしか私にはできない。
「分かったよ」と、セト君はまた井戸へと走っていてくれる。
ビットさんの病状に対して、ロバートさんは高熱だ。額に置いた濡れた布があっという間に温くなる。
驚くべき事に、高熱が出たときに額を冷やすということをコゼットさんもセト君も知らないようだった。
熱を冷ます額シートとかが発明されていないのは仕方ないけど、氷枕とかはありそうだったが、その発想はないらしい。
ロバートさんは体温計がないから分からないけど、四十度を超える熱が出ているかもしれない。ロバートさんはこの症状が一週間続いているそうだ。年齢は私と同じくらいなようだ。四十度の熱が一週間。きっと、もともと体力がある人なのだろう。
聞けば、ロバートさんは、元気なときは大工をやっていたそうだ。
頭を冷やしつつ、汗で濡れた体を拭く。
「ありがとう……楽になった気がする」
「それは良かったです」
ロバートさんはすごい汗だ。
ロバートさんと何かのウィルスか細菌が体の中で戦っているのだろう。薬がない以上、ロバートさんの体の抵抗力が、病原菌に勝つことを祈るしか無い。
レベッカさんに関しては、何をすればよいのか全く分からない。小麦粥を飲ませてあげる、身の回りの掃除をすることくらいしか思い付かない。
体を動かそうとしたらレベッカさんは痛みで呻き声をあげる。呼吸をするだけでも胸が痛いらしい。どうしたら良いのかさっぱり分からない。
とにかく、あとは、根気との勝負だ。
看病を続けて行くしかない。
私の知識でやれるだけのことはやった。
看病を続けつつ、あと私に出来ることは……祈ることだろうか?
それ以外に何かできることはあるだろうか?
ロバートさんもビットさんも、脱水症状であるなら、点滴が有効かも知れない。生理食塩水の点滴……いや、針がどこにある。生理食塩水ってどうやって作る?
というか、ド素人の私がそんなことをしたら、治療どころか毒殺してしまうかもしれない。
漢方薬のように、植物から薬を作る?
いや、薬になる植物の見分け方も、作り方もしらないし。作れるのは生姜湯くらいだ……。それに、生姜もない。
今の私にできることで残っているのは、本当に、祈ることだけだった。
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