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第1章 古代の魔法使い
依頼主の館は
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街の入り口まで来た時、門に立つ守衛が近寄ってきた。
「商隊か?
あれ?・・・エストさん!」
問いかけてくる守衛がエストに気づいた。
ミルトアの街を拠点とするエスト達冒険者は守衛と顔見知りのようで、街へと入る手続きにも慣れた様子であった。護衛の依頼を受けクラウドを連れてきたことや、途中で商隊と合流したことを簡単に説明している。
「そうですか、お疲れ様でした。
・・・はい、これで結構ですっと。どうぞお通り下さい。」
簡単な質疑を終えたエストはあっという間に守衛から通行の許可を取る。
「さっきは何をしてたんですか?」
街に出てくるのが初めてのルークは好奇心からエストへ尋ねた。
それに気づいたエストがルークに簡単に説明した。
「街には身分証を見せればすぐに入れるんですが、身分証を持って無い人は銀貨1枚を保証金として守衛に払います。
街で問題を起こした場合に弁償や和解金として使うんですけどね。でも身分証を後で作れば守衛に見せることで返してくれるんです。
本当ならクラウド様とルーク様は保証金が要るんですけど、私が依頼主から預かってましたので。
後は出ていく時に居なかったメイソンさん達と合流したいきさつを話してたんですよ。」
どうやらエスト達の依頼主はクラウドが来る際の同行者の分まで保証金を立て替えるよう手配してくれていたようである。
おそらくはクラウドがルークを連れて行くと言い出した後にロデリックが同行者がいることと、2人が身分証を持っていないことを伝えてくれていたのだろう。
「ではクラウド様とルーク様はこれから宿に案内します。そこで迎えが来るのを待ってください。」
どうやら2人には決まった宿が用意してあり、そこで貴族からの連絡を待たなければいけないようである。
「え~、うちに来てよお兄ちゃん!」
アイリスが残念そうに声を上げる。
「こらアイリス。
クラウドさん達を困らすんじゃない。」
メイソンがそう言うがアイリスは納得がいかないようである。
「はは、ちょっと待っててくれアイリス。
こっちの用事が済めば顔を出すからよ。
メイソンさん、昨日聞いてた店に行けばいいんだろ?」
「ええ、私もしばらくは今回の旅での収支の計算や在庫の管理がありますから。
店に詰めっぱなしの予定ですのでいつでも来てください、歓迎します!
クラウドさん達ならきっと依頼主の希望に答えられると信じていますよ!」
再開を約束した2組は握手をかわした後それぞれ別の方向へと向かって行く。
途中でエストが別行動をとる。どうやら依頼主にクラウド達の到着を知らせるようだ。
「こちらがお二人をお連れするように言われている宿になります。」
エストの代わりに案内をしていたイゴールがそう言い2人に到着を伝えた。そこは看板に森の若葉亭と書かれた宿であった。中に入ると多くの冒険者が使用しているようで、昼時ということもあり入口に併設された食堂で皆が食事や酒を楽しんでいる。
2人が宿のチェックインを済ませたところでイゴール達も依頼完了となるそうで、それぞれが挨拶をかわしている。
「んじゃあな、クラウド、ルーク。
ほんの少しだったけどお前らとの旅は楽しかったぜ!
依頼主に会ったら帰りも護衛の依頼が出るなら俺たちが受けるって言っといてくれよ。」
「お二人ともお世話になりました。私たちはこれから冒険者ギルドへ依頼完了を伝えに行きます。」
「・・・ありがと。」
「こっちこそ、護衛をしてくれたのが皆でよかったよ。楽しかったよ、なあルーク?」
「うん!ありがとうございました。」
残りのメンバーとも挨拶を済ませた2人は取りあえず部屋に入る。
「さーて、どれくらい待ってりゃいいのかね?
待ってろってだけじゃよく分からんな。」
「やっぱり外に出ていくのはまずいよね?街を見て回りたいんだけどな・・」
そんな話をしていると扉がコンコンとノックされた。
「開いてるよ。」
クラウドが入室を促すと中に一人の男が入ってきた。
「失礼いたします。」
丁寧な挨拶と共に部屋に入ってきた男は背の高い老人であった。背筋がピンと伸びた姿勢は見事な程であり白髪をオールバックにまとめ黒い執事服とのコントラストが美しい。優雅な香りを身に纏っている。
「このたびは依頼を受けて下さりありがとうございます。
私はコーランと申します。
本日は移動でお疲れでしょうからゆっくりとお休み下さい。明日の朝改めて迎えに参りますので。
本日の昼食・夕食と明日の朝食はこちらで宿に申し付けてございます。お好きな時に食べて下さい。」
非常に丁寧な話し方が印象に残る男は自分をコーランと呼んだ。。
「随分と良い待遇なんだな。」
クラウドが素直にそう感心する。
コーランにそう言うと、彼は今回の治療に自分の主がとても期待していること等について説明した。
「期待に応えられるよう頑張るよ。」
クラウドがそう返す。
それじゃあお言葉に甘えてと笑うクラウドに笑みを返しコーランは退室していった。その後2人は昼食を取る。クラウドが少し街を見ようと言い出したため街へと繰り出すが、数店舗の店を見るのみに留まった。
「なんだか期待されてて緊張するね。」
そう言うルークを見て、それなら治療が終わってからの方が落ち着いて観光が出来るとクラウドが言い出したためである。
翌日宿で休んだ2人の前には馬車が到着した。
「おはようございます。
それではこれから私の主に会って頂きますので、準備が出来たなら声をかけて下さい。」
今日も丁寧な挨拶を返してくれるコーランに自分達も挨拶を返し、準備なら出来ているから向かおうとすぐさま返答した。
そして馬車に乗って到着したのはメイソンの予想通り、ミルトアの街を治める領主バダック・スタドール子爵の屋敷であった。
「商隊か?
あれ?・・・エストさん!」
問いかけてくる守衛がエストに気づいた。
ミルトアの街を拠点とするエスト達冒険者は守衛と顔見知りのようで、街へと入る手続きにも慣れた様子であった。護衛の依頼を受けクラウドを連れてきたことや、途中で商隊と合流したことを簡単に説明している。
「そうですか、お疲れ様でした。
・・・はい、これで結構ですっと。どうぞお通り下さい。」
簡単な質疑を終えたエストはあっという間に守衛から通行の許可を取る。
「さっきは何をしてたんですか?」
街に出てくるのが初めてのルークは好奇心からエストへ尋ねた。
それに気づいたエストがルークに簡単に説明した。
「街には身分証を見せればすぐに入れるんですが、身分証を持って無い人は銀貨1枚を保証金として守衛に払います。
街で問題を起こした場合に弁償や和解金として使うんですけどね。でも身分証を後で作れば守衛に見せることで返してくれるんです。
本当ならクラウド様とルーク様は保証金が要るんですけど、私が依頼主から預かってましたので。
後は出ていく時に居なかったメイソンさん達と合流したいきさつを話してたんですよ。」
どうやらエスト達の依頼主はクラウドが来る際の同行者の分まで保証金を立て替えるよう手配してくれていたようである。
おそらくはクラウドがルークを連れて行くと言い出した後にロデリックが同行者がいることと、2人が身分証を持っていないことを伝えてくれていたのだろう。
「ではクラウド様とルーク様はこれから宿に案内します。そこで迎えが来るのを待ってください。」
どうやら2人には決まった宿が用意してあり、そこで貴族からの連絡を待たなければいけないようである。
「え~、うちに来てよお兄ちゃん!」
アイリスが残念そうに声を上げる。
「こらアイリス。
クラウドさん達を困らすんじゃない。」
メイソンがそう言うがアイリスは納得がいかないようである。
「はは、ちょっと待っててくれアイリス。
こっちの用事が済めば顔を出すからよ。
メイソンさん、昨日聞いてた店に行けばいいんだろ?」
「ええ、私もしばらくは今回の旅での収支の計算や在庫の管理がありますから。
店に詰めっぱなしの予定ですのでいつでも来てください、歓迎します!
クラウドさん達ならきっと依頼主の希望に答えられると信じていますよ!」
再開を約束した2組は握手をかわした後それぞれ別の方向へと向かって行く。
途中でエストが別行動をとる。どうやら依頼主にクラウド達の到着を知らせるようだ。
「こちらがお二人をお連れするように言われている宿になります。」
エストの代わりに案内をしていたイゴールがそう言い2人に到着を伝えた。そこは看板に森の若葉亭と書かれた宿であった。中に入ると多くの冒険者が使用しているようで、昼時ということもあり入口に併設された食堂で皆が食事や酒を楽しんでいる。
2人が宿のチェックインを済ませたところでイゴール達も依頼完了となるそうで、それぞれが挨拶をかわしている。
「んじゃあな、クラウド、ルーク。
ほんの少しだったけどお前らとの旅は楽しかったぜ!
依頼主に会ったら帰りも護衛の依頼が出るなら俺たちが受けるって言っといてくれよ。」
「お二人ともお世話になりました。私たちはこれから冒険者ギルドへ依頼完了を伝えに行きます。」
「・・・ありがと。」
「こっちこそ、護衛をしてくれたのが皆でよかったよ。楽しかったよ、なあルーク?」
「うん!ありがとうございました。」
残りのメンバーとも挨拶を済ませた2人は取りあえず部屋に入る。
「さーて、どれくらい待ってりゃいいのかね?
待ってろってだけじゃよく分からんな。」
「やっぱり外に出ていくのはまずいよね?街を見て回りたいんだけどな・・」
そんな話をしていると扉がコンコンとノックされた。
「開いてるよ。」
クラウドが入室を促すと中に一人の男が入ってきた。
「失礼いたします。」
丁寧な挨拶と共に部屋に入ってきた男は背の高い老人であった。背筋がピンと伸びた姿勢は見事な程であり白髪をオールバックにまとめ黒い執事服とのコントラストが美しい。優雅な香りを身に纏っている。
「このたびは依頼を受けて下さりありがとうございます。
私はコーランと申します。
本日は移動でお疲れでしょうからゆっくりとお休み下さい。明日の朝改めて迎えに参りますので。
本日の昼食・夕食と明日の朝食はこちらで宿に申し付けてございます。お好きな時に食べて下さい。」
非常に丁寧な話し方が印象に残る男は自分をコーランと呼んだ。。
「随分と良い待遇なんだな。」
クラウドが素直にそう感心する。
コーランにそう言うと、彼は今回の治療に自分の主がとても期待していること等について説明した。
「期待に応えられるよう頑張るよ。」
クラウドがそう返す。
それじゃあお言葉に甘えてと笑うクラウドに笑みを返しコーランは退室していった。その後2人は昼食を取る。クラウドが少し街を見ようと言い出したため街へと繰り出すが、数店舗の店を見るのみに留まった。
「なんだか期待されてて緊張するね。」
そう言うルークを見て、それなら治療が終わってからの方が落ち着いて観光が出来るとクラウドが言い出したためである。
翌日宿で休んだ2人の前には馬車が到着した。
「おはようございます。
それではこれから私の主に会って頂きますので、準備が出来たなら声をかけて下さい。」
今日も丁寧な挨拶を返してくれるコーランに自分達も挨拶を返し、準備なら出来ているから向かおうとすぐさま返答した。
そして馬車に乗って到着したのはメイソンの予想通り、ミルトアの街を治める領主バダック・スタドール子爵の屋敷であった。
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