夜桜の下で君は…

１話「出会い」

高校の入学式の一日前、月の綺麗な夜だった。夜桜の下には一人の黒い髪が似合う少女が立っていた。翔太はその少女に一目惚れをした。
                                    ＊
入学式当日、翔太は眠い目をこすりながら校長先生の話を聞いていた。すると後ろから肩を叩かれる。
「なぁ校長の話長くないか？」
翔太は後ろを振り返ると笑っている少年がいた。
「あぁ名前言うの忘れてたな。おれの名前は瀬戸脇 良。お前は？」
「俺は赤島 翔太よろしく」
「よろしく～」
「これで入学式を終わります」
と言う声が聞こえる。
「終わったみたいだな！教室に行こうぜ！同じクラスみたいだからな」
「わかった。一緒に行こうか」
二人は教室に向かった。二人が教室に入るとグループが出来ていて楽しそうに会話をしていた。
「なぁ翔太お前出席番号1番なんだな」
「そうだけど？」
「2番の子可愛くね？」
翔太は2番の少女を見る。そこには昨日の夜見た、夜桜の下の少女だった。翔太は良としばらく会話をした後席に着いた。そしてしばらくすると先生が入ってくる。先生は軽く自己紹介をすると学級委員の話を始めた。
「今から学級委員を決めたいと思う。誰かしてくれる奴はいないか？」
クラスの全員は手を上げず周りとザワザワし始めた。その中翔太の後ろの少女が手をあげる。
「先生、私がします」
少女が手を上げたのを見て自然に体が動き手を上げていた。
「そうか…なら、赤島と伊織2人に学級委員を任せたいと思うがいいか？」
クラスの全員は一致して
「いいです」
と言った。この後、係などを決めて授業が終わった。先生は教室を出る前に、
「伊織と赤島はこの後職員室こいよ」
と言い出て行った。
ショートホームルームが終わり、翔太は職員室に向かった。翔太が職員室に入ると伊織はいた。
「赤島来たか。明日配る予定の教科書の確認と教室と体育倉庫の備品確認を頼む。リストを渡しておくから、それに記入してくれ」
先生は翔太達にリストが書かれている紙を渡すと他の先生に呼ばれて行ってしまった。翔太達は教室に戻った。棚の上には、教科書の国語、数学、英語、理科、社会の5教科が置かれていた。
「伊織さん。数学と理科の確認をお願いします。後の教科は俺がやるので…」
「櫻」
「？」
「櫻でいいわ。伊織じゃ堅苦しいから」
「翔太は驚きつつも櫻の名前を言う。
「櫻さん」
「さんもいらないけど、でもいいわ。ありがとう」
その後何事もなく確認の作業は終わった。
その夜…翔太はベッドの上で呟いた。
「櫻さんかぁ…」
まだ翔太の恋は始まったばかりだ