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第3章
第10話
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健吾は、無人島の洞窟から持ってきた鏡の前に立って、何度も試してみたが、自分の姿が人に見えないようにすることが、もはやできなくなってしまった。無人島の洞窟から持ってきた鏡は、単なる普通の鏡になってしまった。純金だと思っていた鏡の額は、金色のメッキであった。金色のメッキは所々剥がれて、安っぽい木肌がむき出しになっていた。鏡に映っている三田園健吾は今や鮫川権吉に戻ってしまったように思えた。
鏡の力で姿を見えなくすることができたので、今まで取得することができた情報を取得することができなくなってしまった。健吾の投資会社は今までのように、利益を得ることができなくなってしまった。業績は日増しに悪化するばかりであった。買収した香風堂を手放さざるをえなかった。香風堂の社長でもはやいられなくなってしまった。香風堂の持ち株を、借金の返済のために売るのは、健吾の資産が消えていく序曲でもあった。ゼロから築き上げた投資会社は、雪だるま式に増えていた借金返済のために、手放さざるをえなかった。
金融資産と不動産が健吾の手元から次々と消えていき、最後に残ったのはローンを完済していない自宅のみになってしまった。健吾の普通預金の口座には、来月分のローンの返済の残高もなかった。
冷蔵庫の食品をリュックにつんだ後、健吾は家の裏口からそっと外に出ていった。
鏡の力で姿を見えなくすることができたので、今まで取得することができた情報を取得することができなくなってしまった。健吾の投資会社は今までのように、利益を得ることができなくなってしまった。業績は日増しに悪化するばかりであった。買収した香風堂を手放さざるをえなかった。香風堂の社長でもはやいられなくなってしまった。香風堂の持ち株を、借金の返済のために売るのは、健吾の資産が消えていく序曲でもあった。ゼロから築き上げた投資会社は、雪だるま式に増えていた借金返済のために、手放さざるをえなかった。
金融資産と不動産が健吾の手元から次々と消えていき、最後に残ったのはローンを完済していない自宅のみになってしまった。健吾の普通預金の口座には、来月分のローンの返済の残高もなかった。
冷蔵庫の食品をリュックにつんだ後、健吾は家の裏口からそっと外に出ていった。
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