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第38話 高級ホテルを楽しもう(プールで水遊び)
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キュウは初めてのプールとは思えないほど、水面を優雅に漂っている。
なんというか、俺が歩いて揺れた水面に身を任しているって感じ。
最初のうちは、水の上にいるだけで満足していた様子のキュウだったけど、いつの間にか、うにょっと両腕を突き出して、チャプチャプと水面を叩いて遊ぶことを思いついたらしい。
「キュッ! キュッ!」
……もう。可愛いいんですけど!
まあ、彼女とパシャパシャしながら、「あははは」「うふふふ」っていうのとは、だいぶん違うけど、連れ(?)がジャブジャブと音を立てて楽しんでいる様子を見るのは悪くない。
こっちの世界に来てから、あんまり運動らしい運動をしていなかったせいか、水の中を歩いただけで、すごく疲れる。
「よしつねー! 一緒に遊ぶでしゅー」
「よーっし。待ってろー」
「キュッ! キュッ!」
キュウのところまでなら行けるか――と思って、顔を上げたまま平泳ぎで向かったけど、予想よりも時間がかかった。
「はあはあ」よりも「ぜえぜえ」に近い声になってる。
「よしつね? 大丈夫でしゅか?」
「ああ。ちょっと。体力使っちゃっただけ。はあ。はあ」
「キュウもよしつねみたいにチャプチャプ進んでみたいでしゅ」
「え? ええ?」
キュウは両腕をぷにゅっと出して、「こうでしゅか?」と腕をかいてみせるけど、水面を撫でただけだった。
「ププププ」
ああ、こらっ。ここで笑うと、キュウが泣いちゃうぞ。我慢だ。我慢しろ、俺!
キュウは俺の真似をして体を傾けているつもりだろうけど、安定して垂直を保っている。
ジタバタと水と格闘する姿がなんとも愛らしい。口の辺りが「む!」ってなってる!
「よしつねー。キュウはどうしてできないでしゅか?」
うーん。どうしてかなー? スライムの体の構造って知らないし……。
「キュウ。泳ぐより、ずっと水に浮いている方がすごいんだぞ。俺はキュウみたいに浮いて、水面を叩いて遊びたいよー」
「本当でしゅか?」
キュウが嬉しそうに水面を叩き始めた。
ああ可愛い。自分で叩いて起こした波紋に揺られている。
「よっし。キュウ。俺の背中に乗ってごらん。あそこまで連れてってやる!」
「キュウッ!」
キュウが、ぼよんと俺の頭に乗っかってきた。
ま、そっか。背中はほとんど水の中だもんね。
「行っくぞー」
「キュウ!」
「あははは。それ!」
「キュッ! キュッ!」
格好をつけて行ったり来たりするんじゃなかった。
どれくらい泳いだんだろう。
プールから上がると、その場にへたりこんでしまった。
やっば。
体力の消耗が半端ない。
「よしつね?」
「ん? ああ、ちょっと疲れただけ」
「大丈夫でしゅか?」
キュウが、うにょんと手を出して、俺の肩を撫でてくれた。
ああキュウ!
こんなこと、どこで覚えたんだ?
感動でキュウを抱きしめたいけど、無理。あー疲れた。ちょっと動けそうにない。
「キュ?」
「ちょっと横になるだけだから」
バスタオルを体に巻き付けてから、重い体を引きずってベッドに転がり込んだ。
あー気持ちいい。タオルが温かい。
このまま寝ちゃうとやばいな。でも体の望むままに寝てしまいたいような気もする。
あー。
あれ? 本当に一瞬だけ寝ちゃってた?
おいおい。大丈夫か俺。何時だ?
いつまでもプールにいる訳にはいかないので、いい加減、部屋に戻ろう。
「キュウ。お部屋に帰るよー」
「キュウッ」
えっと。何号室だっけ?
あ、そうだ。エレベーター降りて、廊下に出てすぐ目の前の部屋に入ったんだ。
ってか、別にどの部屋だっていいんだ。
部屋が違っていたら、シモーネさんには後で謝ればいいんだし。
それにしても。マジでちょっと、はしゃぎ過ぎたかも。
部屋のドアを開けて長い長いリビングにげっそり。
ベッドまでが遠すぎる。
やっぱ、こんな贅沢過ぎる部屋は俺には向いてなかったかも。
ベッド。おおいベッドやーい。
俺はスイムウエアをその辺に脱いで、新しいバスローブを羽織ると、ようやく辿り着いたベッドに倒れ込んだ。
なんというか、俺が歩いて揺れた水面に身を任しているって感じ。
最初のうちは、水の上にいるだけで満足していた様子のキュウだったけど、いつの間にか、うにょっと両腕を突き出して、チャプチャプと水面を叩いて遊ぶことを思いついたらしい。
「キュッ! キュッ!」
……もう。可愛いいんですけど!
まあ、彼女とパシャパシャしながら、「あははは」「うふふふ」っていうのとは、だいぶん違うけど、連れ(?)がジャブジャブと音を立てて楽しんでいる様子を見るのは悪くない。
こっちの世界に来てから、あんまり運動らしい運動をしていなかったせいか、水の中を歩いただけで、すごく疲れる。
「よしつねー! 一緒に遊ぶでしゅー」
「よーっし。待ってろー」
「キュッ! キュッ!」
キュウのところまでなら行けるか――と思って、顔を上げたまま平泳ぎで向かったけど、予想よりも時間がかかった。
「はあはあ」よりも「ぜえぜえ」に近い声になってる。
「よしつね? 大丈夫でしゅか?」
「ああ。ちょっと。体力使っちゃっただけ。はあ。はあ」
「キュウもよしつねみたいにチャプチャプ進んでみたいでしゅ」
「え? ええ?」
キュウは両腕をぷにゅっと出して、「こうでしゅか?」と腕をかいてみせるけど、水面を撫でただけだった。
「ププププ」
ああ、こらっ。ここで笑うと、キュウが泣いちゃうぞ。我慢だ。我慢しろ、俺!
キュウは俺の真似をして体を傾けているつもりだろうけど、安定して垂直を保っている。
ジタバタと水と格闘する姿がなんとも愛らしい。口の辺りが「む!」ってなってる!
「よしつねー。キュウはどうしてできないでしゅか?」
うーん。どうしてかなー? スライムの体の構造って知らないし……。
「キュウ。泳ぐより、ずっと水に浮いている方がすごいんだぞ。俺はキュウみたいに浮いて、水面を叩いて遊びたいよー」
「本当でしゅか?」
キュウが嬉しそうに水面を叩き始めた。
ああ可愛い。自分で叩いて起こした波紋に揺られている。
「よっし。キュウ。俺の背中に乗ってごらん。あそこまで連れてってやる!」
「キュウッ!」
キュウが、ぼよんと俺の頭に乗っかってきた。
ま、そっか。背中はほとんど水の中だもんね。
「行っくぞー」
「キュウ!」
「あははは。それ!」
「キュッ! キュッ!」
格好をつけて行ったり来たりするんじゃなかった。
どれくらい泳いだんだろう。
プールから上がると、その場にへたりこんでしまった。
やっば。
体力の消耗が半端ない。
「よしつね?」
「ん? ああ、ちょっと疲れただけ」
「大丈夫でしゅか?」
キュウが、うにょんと手を出して、俺の肩を撫でてくれた。
ああキュウ!
こんなこと、どこで覚えたんだ?
感動でキュウを抱きしめたいけど、無理。あー疲れた。ちょっと動けそうにない。
「キュ?」
「ちょっと横になるだけだから」
バスタオルを体に巻き付けてから、重い体を引きずってベッドに転がり込んだ。
あー気持ちいい。タオルが温かい。
このまま寝ちゃうとやばいな。でも体の望むままに寝てしまいたいような気もする。
あー。
あれ? 本当に一瞬だけ寝ちゃってた?
おいおい。大丈夫か俺。何時だ?
いつまでもプールにいる訳にはいかないので、いい加減、部屋に戻ろう。
「キュウ。お部屋に帰るよー」
「キュウッ」
えっと。何号室だっけ?
あ、そうだ。エレベーター降りて、廊下に出てすぐ目の前の部屋に入ったんだ。
ってか、別にどの部屋だっていいんだ。
部屋が違っていたら、シモーネさんには後で謝ればいいんだし。
それにしても。マジでちょっと、はしゃぎ過ぎたかも。
部屋のドアを開けて長い長いリビングにげっそり。
ベッドまでが遠すぎる。
やっぱ、こんな贅沢過ぎる部屋は俺には向いてなかったかも。
ベッド。おおいベッドやーい。
俺はスイムウエアをその辺に脱いで、新しいバスローブを羽織ると、ようやく辿り着いたベッドに倒れ込んだ。
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