25 / 71
第7章
第2話
しおりを挟む
バレエ部とチア部のいざこざについて聞いてみる。
「……。別に、たいした理由じゃないんだけどね……」
金髪坊主のさーちゃんは、駅前花壇の縁石に腰を掛けた。
あたしといっちーもその隣に座る。
「昔は仲良くてさ。そもそもチアもバレエ部もたいした活動なんてしてないじゃない? 互いに行ったり来たりしながら、何となく仲良くやってたんだよね。練習も今みたいに別々にしてなくて、バレエ部とチア部とには分かれてるけど、ずっと一緒に使ってて……」
昨年現役を引退した今の3年生部員は、特にバレエ部とチア部で仲がよかった。
両者の混成チームでチア部最後の大会に出場し、有終の美を飾るはずだった。
その試合中、最後の見所となる総決算のタワーが崩れ落ち、助っ人参加していたバレエ部のエースは足を捻挫してしまう。
そのためにバレエ部は目指していた最後の大会に出られず、それぞれの活動は終了してしまった。
「大変なことじゃん!」
いっちーが口を開いた。
「そりゃ根に持つって」
「問題はそこからよ」
さーちゃんは続ける。
「何だかんだ言ってもね、うちの学校って基本的に、部活も何もかも生徒任せじゃない? 強いところは強いけど、バレエ部とチア部ってねぇ……ほら、それなりだから」
存続すら危ういバレエ部と、部員数減少の一途をたどるチア部。
「その一件で決裂したの?」
「逆よ、逆」
怪我を負わせてしまったチア部部長は部の解散を決めた。
部員たちも納得し、チア部はそのまま解散、バレエ部に全てを明け渡す予定だった。
「ち。そうしてくれればよかったのに」
あたしは舌打ちをする。
いっちーは両目に思いっきり感動の涙を浮かべ、さーちゃんの話に聞き入っていた。
「そんなことは許されないって、去年のバレエ部部長がチア部部長を説得して、それで円満解決よ。最後の打ち上げは合同でやってすっごい盛り上がって、今後も仲良くやっていきましょうって……」
暗く沈み込むさーちゃんの横顔に、あたしはため息をつく。
「で、結局なにが問題なの?」
「その打ち上げはね、カラオケボックスの大部屋借りてやったのよ。そしたら人気アイドルの推し被りが発覚して……」
「は?」
前年度バレエ部部長の万上さんことバンジョウ先輩と、チア部前部長の千愛ちゃんことチア先輩が、絶対同担拒否の推し被りだったことが発覚した。
「もう最悪よ。感動のお別れ会のはずが、2人のカラオケバトルから殴り合いの喧嘩にまで発展しちゃって……」
さーちゃんは大きくため息をついた。
「私ももう、どうしていいか分かんない。2人とも大好きだしそれぞれの部員はみんなそれぞれの部長側についてるし……。『愛』ってホント罪だよね……」
「なるほど。状況はよぉーく理解した」
あたしはスカートの裾を振り払い立ち上がる。
ギリギリと奥歯をかみしめた。
「任しとけ。そんなのあたしがガッツリあっさり綺麗さっぱり解決してやんよ!」
「そう簡単にはいかない」
さーちゃんも立ち上がる。
「うちらの問題はうちらで片をつける。そういうもんでしょ」
「今ですらどうにもなってないのに、どうすんのよ」
「それでも、どうにか……する……」
珍しく、おどおどと彼女の視線は下に下がった。
さーちゃんはとぼとぼと歩き出す。
その背中はただ見送るしか出来なくって、あたしは隣にいるいっちーに向かって言った。
「コレを何とかしてみるか」
「そうだね。チアの部長がさーちゃんなら、バレエ部の部長も当たってみよう」
「……。別に、たいした理由じゃないんだけどね……」
金髪坊主のさーちゃんは、駅前花壇の縁石に腰を掛けた。
あたしといっちーもその隣に座る。
「昔は仲良くてさ。そもそもチアもバレエ部もたいした活動なんてしてないじゃない? 互いに行ったり来たりしながら、何となく仲良くやってたんだよね。練習も今みたいに別々にしてなくて、バレエ部とチア部とには分かれてるけど、ずっと一緒に使ってて……」
昨年現役を引退した今の3年生部員は、特にバレエ部とチア部で仲がよかった。
両者の混成チームでチア部最後の大会に出場し、有終の美を飾るはずだった。
その試合中、最後の見所となる総決算のタワーが崩れ落ち、助っ人参加していたバレエ部のエースは足を捻挫してしまう。
そのためにバレエ部は目指していた最後の大会に出られず、それぞれの活動は終了してしまった。
「大変なことじゃん!」
いっちーが口を開いた。
「そりゃ根に持つって」
「問題はそこからよ」
さーちゃんは続ける。
「何だかんだ言ってもね、うちの学校って基本的に、部活も何もかも生徒任せじゃない? 強いところは強いけど、バレエ部とチア部ってねぇ……ほら、それなりだから」
存続すら危ういバレエ部と、部員数減少の一途をたどるチア部。
「その一件で決裂したの?」
「逆よ、逆」
怪我を負わせてしまったチア部部長は部の解散を決めた。
部員たちも納得し、チア部はそのまま解散、バレエ部に全てを明け渡す予定だった。
「ち。そうしてくれればよかったのに」
あたしは舌打ちをする。
いっちーは両目に思いっきり感動の涙を浮かべ、さーちゃんの話に聞き入っていた。
「そんなことは許されないって、去年のバレエ部部長がチア部部長を説得して、それで円満解決よ。最後の打ち上げは合同でやってすっごい盛り上がって、今後も仲良くやっていきましょうって……」
暗く沈み込むさーちゃんの横顔に、あたしはため息をつく。
「で、結局なにが問題なの?」
「その打ち上げはね、カラオケボックスの大部屋借りてやったのよ。そしたら人気アイドルの推し被りが発覚して……」
「は?」
前年度バレエ部部長の万上さんことバンジョウ先輩と、チア部前部長の千愛ちゃんことチア先輩が、絶対同担拒否の推し被りだったことが発覚した。
「もう最悪よ。感動のお別れ会のはずが、2人のカラオケバトルから殴り合いの喧嘩にまで発展しちゃって……」
さーちゃんは大きくため息をついた。
「私ももう、どうしていいか分かんない。2人とも大好きだしそれぞれの部員はみんなそれぞれの部長側についてるし……。『愛』ってホント罪だよね……」
「なるほど。状況はよぉーく理解した」
あたしはスカートの裾を振り払い立ち上がる。
ギリギリと奥歯をかみしめた。
「任しとけ。そんなのあたしがガッツリあっさり綺麗さっぱり解決してやんよ!」
「そう簡単にはいかない」
さーちゃんも立ち上がる。
「うちらの問題はうちらで片をつける。そういうもんでしょ」
「今ですらどうにもなってないのに、どうすんのよ」
「それでも、どうにか……する……」
珍しく、おどおどと彼女の視線は下に下がった。
さーちゃんはとぼとぼと歩き出す。
その背中はただ見送るしか出来なくって、あたしは隣にいるいっちーに向かって言った。
「コレを何とかしてみるか」
「そうだね。チアの部長がさーちゃんなら、バレエ部の部長も当たってみよう」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる