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第16章
第4話
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視界に入ったその光景に、息を飲んだ。
舞い上がる砂埃と駆け出す悲鳴。
毛むくじゃらの足と太い腕、鱗で覆われたような体に、短い二本の角が生えている。
守られていたはずの校内に、その姿はあった。
3メートルはあるだろうその高さから腕を振るうと、天に向かって雄叫びを上げた。
「……鬼だ」
「行こう」
教室を飛び出す。
非常ベルは鳴り響き、避難指示のアナウンスが流れる。
あたしは腰のこん棒を抜いた。
飛び込んだ校庭の空気が震えている。
まとう瘴気で息が苦しい。
こん棒を握る手に、汗が滲んだ。
「どっから来たのよ。今すぐ出て行きなさい!」
言葉なんて通じるはずもないのに、鬼はあたしを見てニヤリと笑った。
振り下ろされた腕に飛び退く。
鋭く尖った爪は空気を切り裂き、その風圧で倒されまいと、足を踏ん張っているだけでやっとだ。
「どこを狙う? 弱点とかあったっけ」
そう言ったさーちゃんの方に、鬼の顔は向いた。
「そんなのはない!」
背を向けた鬼に、いっちーはこん棒を振り下ろした。
それが背に打ち付けられる前に、鬼の手はこん棒をつかむ。
「危ない!」
キジが踏み込んだ。
鬼の腕にこん棒を叩きつける。
振り返った鬼は、キジに拳を打ち落とした。
あたしはその腹に向かって思いっきりこん棒を打ち込む。
鬼の動きが止まった。
「もも、ナイス!」
さーちゃんが高く飛び上がった。
鬼の肩に会心の一撃。
鬼の叫びが校庭にとどろく。
「気をつけて!」
動きが変わった。
雄叫びと共に、瘴気が強く沸き立つ。
振り下ろす腕の動きが格段に速くなった。
うなり声は地面に響く。
その風圧だけで吹き飛ばされる。
握りしめた拳が、あたしの頭上に振り下ろされた。
「もも!」
真横に構えたこん棒で、それを受け止めたのは堀川だった。
「あんたたち、本当にまともな訓練してた?」
ギリギリと押しつけられるそれに、今にもこん棒は折れそうにしなる。
「小田先生考案の瑶林高校鬼退治部、必勝フォーメーションがあったでしょ」
堀川の目は、あたしを見下ろした。
「まさか知らないの?」
堀川が鬼を蹴飛ばす。
あたしは立ち上がった。
「ラッキーイチゴフォーメーション!」
その声に、いっちーとさーちゃん、キジが動いた。
「つーか、なんでこんなクソダサい名前なんだよ」
堀川はその菱形になった体系に、満足したように口の端を持ち上げる。
「あら、分かってるじゃない」
そのこん棒を一振りする。
「小田っち、かわいいのが好きなんだよ」
取り囲んだあたしたちを、鬼は見回している。
背を向けた瞬間、堀川は叩きつけた。
「それはあたしの役!」
「あはは、じゃあ私より先に動きなさい!」
ラッキーイチゴフォーメーションとは、イチゴのヘタ部分に当たる人間をリーダーとして動く。
菱形でヘタでイチゴとか、そんな細かいことは気にしない。
「あたしと先生はチェリーで。3人はあたしに合わせてイチゴ続行!」
堀川と鬼の動きに合わせて、交互に打ち込む。
チェリーとは二人組のコンビネーションのこと。
イチゴの菱形は鬼を中央にして、近距離からの攻撃と、それをサポートする後衛とに分かれた攻撃パターン。
鬼退治の基本は、仕留めることより自分たちが傷つかず撃退させること。
二人組で巡回するから、ペアでの攻撃が基本だ。
鬼はキジを振り返った。
振り下ろされた拳は地面にめり込む。
その衝撃に、キジの態勢が崩れた。
「キジ!」
鬼の足が踏みつける。
飛び込んだのは金太郎だった。
滑り込んだ金太郎は、彼女の持っていたこん棒を掲げる。
それはミシッと嫌な音を立てた。
「離れろ!」
さーちゃんが鬼の足を下から蹴り上げる。
彼女はこん棒を投げ捨てた。
「ゴメンね。こん棒使い慣れてないから。直接行く」
「それは無謀だ」
転がったこん棒を拾い上げたのは、浦島だ。
「鬼に直接触れるのは危険だ。お前は平気でも俺が耐えられない」
「刀はやっぱ返してきちゃったの?」
桃はいっちーの隣で、自分のこん棒を構える。
「うん。まだこっちは持っていてよかった」
「タイミング悪すぎ」
舞い上がる砂埃と駆け出す悲鳴。
毛むくじゃらの足と太い腕、鱗で覆われたような体に、短い二本の角が生えている。
守られていたはずの校内に、その姿はあった。
3メートルはあるだろうその高さから腕を振るうと、天に向かって雄叫びを上げた。
「……鬼だ」
「行こう」
教室を飛び出す。
非常ベルは鳴り響き、避難指示のアナウンスが流れる。
あたしは腰のこん棒を抜いた。
飛び込んだ校庭の空気が震えている。
まとう瘴気で息が苦しい。
こん棒を握る手に、汗が滲んだ。
「どっから来たのよ。今すぐ出て行きなさい!」
言葉なんて通じるはずもないのに、鬼はあたしを見てニヤリと笑った。
振り下ろされた腕に飛び退く。
鋭く尖った爪は空気を切り裂き、その風圧で倒されまいと、足を踏ん張っているだけでやっとだ。
「どこを狙う? 弱点とかあったっけ」
そう言ったさーちゃんの方に、鬼の顔は向いた。
「そんなのはない!」
背を向けた鬼に、いっちーはこん棒を振り下ろした。
それが背に打ち付けられる前に、鬼の手はこん棒をつかむ。
「危ない!」
キジが踏み込んだ。
鬼の腕にこん棒を叩きつける。
振り返った鬼は、キジに拳を打ち落とした。
あたしはその腹に向かって思いっきりこん棒を打ち込む。
鬼の動きが止まった。
「もも、ナイス!」
さーちゃんが高く飛び上がった。
鬼の肩に会心の一撃。
鬼の叫びが校庭にとどろく。
「気をつけて!」
動きが変わった。
雄叫びと共に、瘴気が強く沸き立つ。
振り下ろす腕の動きが格段に速くなった。
うなり声は地面に響く。
その風圧だけで吹き飛ばされる。
握りしめた拳が、あたしの頭上に振り下ろされた。
「もも!」
真横に構えたこん棒で、それを受け止めたのは堀川だった。
「あんたたち、本当にまともな訓練してた?」
ギリギリと押しつけられるそれに、今にもこん棒は折れそうにしなる。
「小田先生考案の瑶林高校鬼退治部、必勝フォーメーションがあったでしょ」
堀川の目は、あたしを見下ろした。
「まさか知らないの?」
堀川が鬼を蹴飛ばす。
あたしは立ち上がった。
「ラッキーイチゴフォーメーション!」
その声に、いっちーとさーちゃん、キジが動いた。
「つーか、なんでこんなクソダサい名前なんだよ」
堀川はその菱形になった体系に、満足したように口の端を持ち上げる。
「あら、分かってるじゃない」
そのこん棒を一振りする。
「小田っち、かわいいのが好きなんだよ」
取り囲んだあたしたちを、鬼は見回している。
背を向けた瞬間、堀川は叩きつけた。
「それはあたしの役!」
「あはは、じゃあ私より先に動きなさい!」
ラッキーイチゴフォーメーションとは、イチゴのヘタ部分に当たる人間をリーダーとして動く。
菱形でヘタでイチゴとか、そんな細かいことは気にしない。
「あたしと先生はチェリーで。3人はあたしに合わせてイチゴ続行!」
堀川と鬼の動きに合わせて、交互に打ち込む。
チェリーとは二人組のコンビネーションのこと。
イチゴの菱形は鬼を中央にして、近距離からの攻撃と、それをサポートする後衛とに分かれた攻撃パターン。
鬼退治の基本は、仕留めることより自分たちが傷つかず撃退させること。
二人組で巡回するから、ペアでの攻撃が基本だ。
鬼はキジを振り返った。
振り下ろされた拳は地面にめり込む。
その衝撃に、キジの態勢が崩れた。
「キジ!」
鬼の足が踏みつける。
飛び込んだのは金太郎だった。
滑り込んだ金太郎は、彼女の持っていたこん棒を掲げる。
それはミシッと嫌な音を立てた。
「離れろ!」
さーちゃんが鬼の足を下から蹴り上げる。
彼女はこん棒を投げ捨てた。
「ゴメンね。こん棒使い慣れてないから。直接行く」
「それは無謀だ」
転がったこん棒を拾い上げたのは、浦島だ。
「鬼に直接触れるのは危険だ。お前は平気でも俺が耐えられない」
「刀はやっぱ返してきちゃったの?」
桃はいっちーの隣で、自分のこん棒を構える。
「うん。まだこっちは持っていてよかった」
「タイミング悪すぎ」
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