29 / 30
第29話 開戦前夜
しおりを挟む
総理のカツラ疑惑に端を発した公費流用問題は、その後も長期にわたり、もめにもめた。
総理行きつけの床屋の主人が、『ついに真相を告白!!』なんて、肯定と否定の様々な記事が週刊誌を賑わせ、業務上知り得た顧客情報の守秘義務違反に当たると主張する与党と、政府主導による検察からの圧力によって、理髪業界全体が被害を被ったうえに、個人の自由な発言を阻害する民主主義への反逆だと、野党は応戦した。
この両陣営は、とにかくもめ事を起こして、混乱させるのがお仕事らしい。
結局、秋の臨時国会は空転を余儀なくされ、無罪を主張する総理の身の潔白を証明するため、やがてそれはヅラ解散へと発展していく。
こんなことをしている間にも、翔大は刻一刻と地球に向かってやって来ているというのに。
連日の国会前でのデモ報道と、カツラ疑惑の追及ぶりには、呆れてため息すら出ない。
この人達は、もし翔大の問題が公表され、明らかになったら、どんな行動に出るのだろう。
そんな場合でも、やっぱり反対運動を起こしたりするのかな、それとも、一致団結して、めちゃくちゃ協力してくれる、心強い味方になるのかな。
もしかしたら、一切興味関心を示さず、報道も全くなかったりして。
それもありえない話しじゃない。
まあ、大抵の事実ってのは、マスコミに載る方が全体のごくごく一握りの出来事なんだけど。
この世には、自分の知らない出来事がたくさんありすぎるし、その全てを知ることも不可能だ。
衆議院議員選挙の当日、俺は、もし野党に一票を投じたら、世の中は一体どう変わっていくのだろうと思いつつも、翔大迎撃作戦のため、センターと防衛省の連携協定に関する法律を内閣府から法案として提出をお願いしている立場上、与党にしか投票しようがなかった。
本当は、気持ちとしては野党に投票したかった。
総理、自分の頭髪に自信を持て、総理がハゲだろうが、そうでなかろうが、国民は頭髪によってその人の能力を判断しているワケではない。
もっと堂々と、自由に生きて欲しい。
その辺の主張は、大いに野党に賛同している。
しかし、やっぱり俺は、与党に投票した。
その日の夜、俺は狭いアパートの自室で、一人ビールを飲みながら選挙速報を眺めていた。
今回の選挙だけは、どうしても与党に勝っていただかなくてはならない。
世論調査の予測はどこも五分五分。
ヅラ解散なんかで、本当に決定を遅らせている場合ではないのだ。
もし野党が勝ったら……、官僚も全員交代なんてことは資格任用制の日本じゃないだろうけど、法案の作り直しと、人脈をイチから立て直すのには、面倒くさすぎる。
翔大は待ってくれない。俺たちには、時間がないのだ。
深夜まで続いた混戦は、翌朝明朝にまでもつれ込み、結局、僅差で与党が勝利を収めた。
テレビの画面で、晴れやかな笑顔を見せる総理の頭髪に、俺の視線はくぎ付けにされる。
そうだよ総理、どっちだっていいんだよ、ちゃんとやること、やってくれてればね。
解散総選挙のあとは、内閣府の長である総理の続投が決定した。
防衛省の大臣は変わったけど、文科省の大臣の継続が発表され、俺はさらに、ほっと胸をなで下ろす。
そう、内閣府の長と、文科省の大臣さえ変わらなければ、翔大迎撃作戦の続行には支障がないはずだ。
報道に出される新内閣発足のニュースが、これほど気になった選挙も、いまだかつてなかった。
俺的にはね。
センターの隅っこで、手持ちぶさたの俺は、ぼんやりネットニュースを見ながら、そんなことばかりを追いかけていた。
そうか、新防衛省長官の好きな食べ物は、いちごかぁ~、趣味は園芸ね、なんて。
目の前の卓上白電話が鳴り、もはや電話番としか機能していない俺の手は、反射的に受話器を持ちあげた。
「はい、もしもし? こちら、アースガード研究センター、杉山ですけど」
「おぉ! 杉山くんか? 俺、俺! 俺なんだけど!」
「あ、オレオレ詐欺ですかぁ? 間に合ってま~す」
受話器を下ろそうとしたその奥から、聞き覚えのある声が響いた。
「俺だよ、内閣府の高橋だよ!」
ついに連絡が来た! 俺は慌てて、受話器にかぶりつく。
「どうなりましたか?」
「オッケー取れたよ。テレビカメラが入っての、大臣初仕事取材の時にさ、書類の順
番入れかえて、2番目に差し替えておいたんだ。ちらっとめくって、ポンって、ハ
ンコ押したよ」
握りしめた拳が細かく震えている。俺はそのまま飛び上がった。
「やったぁー!」
「宮下くんと、野村さんにも連絡しておくから、後は任せたよ。日本の、いや、世界
の運命が関わっているからね」
ここからは見えなくても、高橋さんの、得意げに親指を立てているポーズが目に浮かぶ。
「はい! ありがとうございました!」
なんだかんだ恥ずかしい理由をつけても、結局ちゃんと動いてくれている。
この人達って、やっぱり基本的には、誰かのために、何かのために、動ける人達なのだ。
それを、あえて正義とは言わない。
俺は受話器を置いた。センターのみんなが、俺を見守っている。
「防衛省との協定案、これから作り始めますよ!」
ここに入局した当時、俺はこんなにも、ここで受け入れられるとは思わなかった。
完全門外漢のはずだった俺にも、左遷先だったはずのここでも、やれば出来ることって、あるんだな。
香奈さんが誉めてくれている。栗原さんが泣いている。
センター長の大きな手が、俺の肩に乗っている。
再び電話がなった。相手は宮下さんだった。
「おめでとう、うまくいったみたいだね」
「ありがとうございました!」
「俺も、監督官庁として手伝うよ。お役所ルールの公文書、君にちゃんと書ける?」
「どういうことですか?」
「公文書というのはな、各官庁、各部局ごとに、使用される書体、文体、文字の用
法、空欄の入れ方から、ハイフンの位置、漢数字の使用方法、カタカナルールま
で、細かく規定されている」
「はい?」
「あくまで例えだ。『この文章の、この空欄は、全角ではなく半角で入れ直せ、英数
字はCenturyではなく、Helveticaだ』とかいう1ページ目、1カ所だけの理由で、
300ページにも及ぶ書類を、突き返されたくないだろう?」
「そういう経験、あるんですか?」
「まぁ、俺みたいな公文書のプロとなると、提出された文書を見ただけで、中央官庁
だけでなく、地方自治体どこの公文書かまで、全て言い当てることができるから
な」
お役所仕事って、そういうことか。
「『一人』は『ひとり』で、『払い戻す』ではなく『払いもどす』だ」
「あの、何を言ってるのか、ちょっと分からないんですけど」
「まぁいい。一般人にはなかなか理解の及ばないルールだからな。これは公文書偽造
防止のための措置だ。見る人間がちゃんとみれば、少なくとも、この書類は『受理
された書類ではない』というのは、一目でわかる」
「お役所仕事ですね」
「提出資料の作成は、俺がやった方が早いってことだ」
「よろしくお願いします!」
そして、ついに本丸御殿の大本命、防衛省野村氏からの連絡が入った。
「明後日、14時26分にそちらにうかがうつもりだが、実行は可能か?」
「はい、いつでもかまいません」
「いつでもではない。明後日の14時26分だ」
「了解です!」
それだけを確認して、野村氏からの電話は終わった。
「いよいよ、これからが君の本番だね」
センター長の鴨志田さんが、俺に声をかけた。
「はい! 全力で頑張ります!」
ミサイルのことは分からない、空を飛んでくる小惑星のことも、どの角度で、どれくらいの火薬量で、どのタイミングで発射すればいいのかも、俺には計算できない。
でも、俺にだって、翔大と戦うためにやれることは、たくさんあった。
待ってろよ、翔大!
総理行きつけの床屋の主人が、『ついに真相を告白!!』なんて、肯定と否定の様々な記事が週刊誌を賑わせ、業務上知り得た顧客情報の守秘義務違反に当たると主張する与党と、政府主導による検察からの圧力によって、理髪業界全体が被害を被ったうえに、個人の自由な発言を阻害する民主主義への反逆だと、野党は応戦した。
この両陣営は、とにかくもめ事を起こして、混乱させるのがお仕事らしい。
結局、秋の臨時国会は空転を余儀なくされ、無罪を主張する総理の身の潔白を証明するため、やがてそれはヅラ解散へと発展していく。
こんなことをしている間にも、翔大は刻一刻と地球に向かってやって来ているというのに。
連日の国会前でのデモ報道と、カツラ疑惑の追及ぶりには、呆れてため息すら出ない。
この人達は、もし翔大の問題が公表され、明らかになったら、どんな行動に出るのだろう。
そんな場合でも、やっぱり反対運動を起こしたりするのかな、それとも、一致団結して、めちゃくちゃ協力してくれる、心強い味方になるのかな。
もしかしたら、一切興味関心を示さず、報道も全くなかったりして。
それもありえない話しじゃない。
まあ、大抵の事実ってのは、マスコミに載る方が全体のごくごく一握りの出来事なんだけど。
この世には、自分の知らない出来事がたくさんありすぎるし、その全てを知ることも不可能だ。
衆議院議員選挙の当日、俺は、もし野党に一票を投じたら、世の中は一体どう変わっていくのだろうと思いつつも、翔大迎撃作戦のため、センターと防衛省の連携協定に関する法律を内閣府から法案として提出をお願いしている立場上、与党にしか投票しようがなかった。
本当は、気持ちとしては野党に投票したかった。
総理、自分の頭髪に自信を持て、総理がハゲだろうが、そうでなかろうが、国民は頭髪によってその人の能力を判断しているワケではない。
もっと堂々と、自由に生きて欲しい。
その辺の主張は、大いに野党に賛同している。
しかし、やっぱり俺は、与党に投票した。
その日の夜、俺は狭いアパートの自室で、一人ビールを飲みながら選挙速報を眺めていた。
今回の選挙だけは、どうしても与党に勝っていただかなくてはならない。
世論調査の予測はどこも五分五分。
ヅラ解散なんかで、本当に決定を遅らせている場合ではないのだ。
もし野党が勝ったら……、官僚も全員交代なんてことは資格任用制の日本じゃないだろうけど、法案の作り直しと、人脈をイチから立て直すのには、面倒くさすぎる。
翔大は待ってくれない。俺たちには、時間がないのだ。
深夜まで続いた混戦は、翌朝明朝にまでもつれ込み、結局、僅差で与党が勝利を収めた。
テレビの画面で、晴れやかな笑顔を見せる総理の頭髪に、俺の視線はくぎ付けにされる。
そうだよ総理、どっちだっていいんだよ、ちゃんとやること、やってくれてればね。
解散総選挙のあとは、内閣府の長である総理の続投が決定した。
防衛省の大臣は変わったけど、文科省の大臣の継続が発表され、俺はさらに、ほっと胸をなで下ろす。
そう、内閣府の長と、文科省の大臣さえ変わらなければ、翔大迎撃作戦の続行には支障がないはずだ。
報道に出される新内閣発足のニュースが、これほど気になった選挙も、いまだかつてなかった。
俺的にはね。
センターの隅っこで、手持ちぶさたの俺は、ぼんやりネットニュースを見ながら、そんなことばかりを追いかけていた。
そうか、新防衛省長官の好きな食べ物は、いちごかぁ~、趣味は園芸ね、なんて。
目の前の卓上白電話が鳴り、もはや電話番としか機能していない俺の手は、反射的に受話器を持ちあげた。
「はい、もしもし? こちら、アースガード研究センター、杉山ですけど」
「おぉ! 杉山くんか? 俺、俺! 俺なんだけど!」
「あ、オレオレ詐欺ですかぁ? 間に合ってま~す」
受話器を下ろそうとしたその奥から、聞き覚えのある声が響いた。
「俺だよ、内閣府の高橋だよ!」
ついに連絡が来た! 俺は慌てて、受話器にかぶりつく。
「どうなりましたか?」
「オッケー取れたよ。テレビカメラが入っての、大臣初仕事取材の時にさ、書類の順
番入れかえて、2番目に差し替えておいたんだ。ちらっとめくって、ポンって、ハ
ンコ押したよ」
握りしめた拳が細かく震えている。俺はそのまま飛び上がった。
「やったぁー!」
「宮下くんと、野村さんにも連絡しておくから、後は任せたよ。日本の、いや、世界
の運命が関わっているからね」
ここからは見えなくても、高橋さんの、得意げに親指を立てているポーズが目に浮かぶ。
「はい! ありがとうございました!」
なんだかんだ恥ずかしい理由をつけても、結局ちゃんと動いてくれている。
この人達って、やっぱり基本的には、誰かのために、何かのために、動ける人達なのだ。
それを、あえて正義とは言わない。
俺は受話器を置いた。センターのみんなが、俺を見守っている。
「防衛省との協定案、これから作り始めますよ!」
ここに入局した当時、俺はこんなにも、ここで受け入れられるとは思わなかった。
完全門外漢のはずだった俺にも、左遷先だったはずのここでも、やれば出来ることって、あるんだな。
香奈さんが誉めてくれている。栗原さんが泣いている。
センター長の大きな手が、俺の肩に乗っている。
再び電話がなった。相手は宮下さんだった。
「おめでとう、うまくいったみたいだね」
「ありがとうございました!」
「俺も、監督官庁として手伝うよ。お役所ルールの公文書、君にちゃんと書ける?」
「どういうことですか?」
「公文書というのはな、各官庁、各部局ごとに、使用される書体、文体、文字の用
法、空欄の入れ方から、ハイフンの位置、漢数字の使用方法、カタカナルールま
で、細かく規定されている」
「はい?」
「あくまで例えだ。『この文章の、この空欄は、全角ではなく半角で入れ直せ、英数
字はCenturyではなく、Helveticaだ』とかいう1ページ目、1カ所だけの理由で、
300ページにも及ぶ書類を、突き返されたくないだろう?」
「そういう経験、あるんですか?」
「まぁ、俺みたいな公文書のプロとなると、提出された文書を見ただけで、中央官庁
だけでなく、地方自治体どこの公文書かまで、全て言い当てることができるから
な」
お役所仕事って、そういうことか。
「『一人』は『ひとり』で、『払い戻す』ではなく『払いもどす』だ」
「あの、何を言ってるのか、ちょっと分からないんですけど」
「まぁいい。一般人にはなかなか理解の及ばないルールだからな。これは公文書偽造
防止のための措置だ。見る人間がちゃんとみれば、少なくとも、この書類は『受理
された書類ではない』というのは、一目でわかる」
「お役所仕事ですね」
「提出資料の作成は、俺がやった方が早いってことだ」
「よろしくお願いします!」
そして、ついに本丸御殿の大本命、防衛省野村氏からの連絡が入った。
「明後日、14時26分にそちらにうかがうつもりだが、実行は可能か?」
「はい、いつでもかまいません」
「いつでもではない。明後日の14時26分だ」
「了解です!」
それだけを確認して、野村氏からの電話は終わった。
「いよいよ、これからが君の本番だね」
センター長の鴨志田さんが、俺に声をかけた。
「はい! 全力で頑張ります!」
ミサイルのことは分からない、空を飛んでくる小惑星のことも、どの角度で、どれくらいの火薬量で、どのタイミングで発射すればいいのかも、俺には計算できない。
でも、俺にだって、翔大と戦うためにやれることは、たくさんあった。
待ってろよ、翔大!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる