コンビニバイト店員ですが、実は特殊公安警察やってます(『僕らの目に見えている世界のこと』より改題)

岡智 みみか

文字の大きさ
39 / 117
第9章

第4話

しおりを挟む
「天命の使い方か。こればっかりは少しずつ慣れていくより、仕方がないね」

飯塚さんは静かに微笑んだ。

「いいことを教えてあげよう」

ディスプレイに、先日の行動記録が表示される。

「地下鉄の駅前から、ここまでの帰還競争をしただろう。どうして他のみんなの方が早かったのか、その謎は解いてみたかい?」

俺の行動履歴は、電車の路線をたどっている。

竹内のは普通に一般道を走っていた。

いづみと飯塚さんのは……。

「僕といづみのに関しては、後回しにしよう。まずは竹内くんのからだね」

その日の竹内の行動記録がクローズアップされる。

画面には移動速度まで記録されていた。

最初は徒歩。

その後は車に乗り換えているけど、それにしても速い。

「この移動速度の速さは、どうしてだと思う?」

夜8時の時間帯だ。

都内の幹線道路はどこも混んでいるはずなのに、スピードが全く落ちていない。

「普通なら、車で行くより電車で移動した方が速い。そう思うのはどうして?」

「渋滞があるから」

「そう。だけど、竹内くんのはそうはなっていない」

飯塚さんの指先は、軽やかにステップする。

「交通局のシステムを操作しているからだよ。信号機の点灯時間を調整し、渋滞を解消させ自分の進路を全て青に変化させる」

平均移動速度56.7km/hというのは、一般道ではあり得ない。

「幹線道路こそ使いやすい技だ。そしてこういった大きな道を使う方が、便利で速い」

交通量の変化を時系列で見ると、確かに側道は竹内のために渋滞させられていた。

飯塚さんはふっと微笑む。

「IT技術全般に関しては、竹内は部隊でもトップクラスだよ。プログラミングの早さとコードの正確さは、隊長のお墨付きだ」

その言葉に、彼は頬を赤らめる。

そんな姿を、俺は初めて目にした。

「まずはここからだね。車で移動することは多いから、この簡易設定を自分で組むといい。プログラムを作るのは、得意だろ?」

「はい!」

飯塚さんは、そうでなくても穏やかな顔に、さらに柔らかすぎる表情を浮かべて微笑む。

「飯塚さんの二つ名はな、『電子の魔術師』だ。ある意味この天命を使いこなしているのは、この世界で隊長と飯塚さんだけかもしれないな」

竹内も両腕を組み、うんうんと何度もうなずいている。

本日の講義はこれでおしまい。

飯塚さんが電子の魔術師なら、俺はその魔術師の弟子ということだ。

竹内が一番弟子なのかもしれないけど、負けるわけにはいかない。

自作の端末と天命とはすでにリンクさせてある。

俺だってポケットサイズの端末で、この天命を使いこなしてみせる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

処理中です...