49 / 117
第11章
第3話
しおりを挟む
竹内は表情なくつぶやく。
「隊長はもう、飯塚さんの元へ向かっている。捕まるのは、時間の問題だ」
「お前は飯塚さんを助けたくないのかよ!」
俺の手は、竹内の胸ぐらをつかんでいた。
強く引き寄せたはずのそれを、竹内は静かに押しのける。
「ふざけんな。児童養護施設で育った孤児を、見つけ出したのは隊長で、育てたのは飯塚さんだ。お前なんかと一緒にするな」
彼は表情のないまま、自作の掃除ロボをひっくり返した。
表面を繊維くずの出ない特殊な紙で拭き取る。
いづみの作動させたスプリンクラーで、全体がしっとりと濡れている。
司令台のある地下1階は、床にまで水は来ていなかった。
「分かったら、お前もさっさと片付けを始めろ。イチイチ指示がないと動けないとか、子供みたいなこと言ってんじゃねーぞ」
「……飯塚さんを、探しに行こう」
「うるせぇ、言われたことをやっとけ」
ここは地下室だ。
窓は何一つなく、空気は排気ダクトを通じて入れ替わる。
籠もってしまったこの湿度は、どこへたどりつくのだろう。
ふいに巨大ディスプレイが点灯する。
それは国営放送からのテレビ中継に切り替わった。
ニュース始まりの、よく見る緑と街の風景を映し出す。
静かな音楽が流れ始めたかと思うと、画面が切り替わる。
どこかの公園の、何でもない噴水が映し出された。
文書読み上げ機能から発せられた声が響く。
「易姓革命、禅譲放伐の世において、天の命ずるを性と謂い、性に率うを道と謂うなれば、我、道を修むるを問う」
ドンッ! という衝撃で、画像が揺れる。
カメラから見切れるほど吹き出した圧倒的水量に、すぐに映像は途切れた。
「あぁ……飯塚さん。あなたは本当に、もうここへは戻ってこないつもりなんですね……」
竹内はガクリと肩を落とす。
警報が鳴り響く。
襟元のマイクから、隊長の指示を出す声が聞こえる。
俺は、地下から抜け出した。
「隊長はもう、飯塚さんの元へ向かっている。捕まるのは、時間の問題だ」
「お前は飯塚さんを助けたくないのかよ!」
俺の手は、竹内の胸ぐらをつかんでいた。
強く引き寄せたはずのそれを、竹内は静かに押しのける。
「ふざけんな。児童養護施設で育った孤児を、見つけ出したのは隊長で、育てたのは飯塚さんだ。お前なんかと一緒にするな」
彼は表情のないまま、自作の掃除ロボをひっくり返した。
表面を繊維くずの出ない特殊な紙で拭き取る。
いづみの作動させたスプリンクラーで、全体がしっとりと濡れている。
司令台のある地下1階は、床にまで水は来ていなかった。
「分かったら、お前もさっさと片付けを始めろ。イチイチ指示がないと動けないとか、子供みたいなこと言ってんじゃねーぞ」
「……飯塚さんを、探しに行こう」
「うるせぇ、言われたことをやっとけ」
ここは地下室だ。
窓は何一つなく、空気は排気ダクトを通じて入れ替わる。
籠もってしまったこの湿度は、どこへたどりつくのだろう。
ふいに巨大ディスプレイが点灯する。
それは国営放送からのテレビ中継に切り替わった。
ニュース始まりの、よく見る緑と街の風景を映し出す。
静かな音楽が流れ始めたかと思うと、画面が切り替わる。
どこかの公園の、何でもない噴水が映し出された。
文書読み上げ機能から発せられた声が響く。
「易姓革命、禅譲放伐の世において、天の命ずるを性と謂い、性に率うを道と謂うなれば、我、道を修むるを問う」
ドンッ! という衝撃で、画像が揺れる。
カメラから見切れるほど吹き出した圧倒的水量に、すぐに映像は途切れた。
「あぁ……飯塚さん。あなたは本当に、もうここへは戻ってこないつもりなんですね……」
竹内はガクリと肩を落とす。
警報が鳴り響く。
襟元のマイクから、隊長の指示を出す声が聞こえる。
俺は、地下から抜け出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる