コンビニバイト店員ですが、実は特殊公安警察やってます(『僕らの目に見えている世界のこと』より改題)

岡智 みみか

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第20章

第5話

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捕獲するか、呼び寄せるか。

彼は何かを運んでいるのかもしれない。

それとも情報収集? 何のために飛んでる? 

どうしたら接触できるだろう。

カラスは北北西に向かっている。

俺たちはすぐ近くにあった公園に駆け込み、もう一度空を見上げた。

R38と思われるカラスは、近くの木の枝にとまる。

「おいで」

腕を高く掲げた。

本当にR38なら、来てくれるはずだ。

カラスは枝を蹴って飛び上がった。

限りなく抵抗を減らした青黒い流線型は、滑るように向かってくる。

それは俺の頭上を通り越し、植え込みの向こうに消えた。

カラスの甘えるような鳴き声と、バサバサという羽音が聞こえる。

そこに現れたのは、隊長だった。

「はは、元気にしてたか? やはりお前にはかなわないな」

無邪気に笑う隊長の顎に、R38は頭をこすりつけた。

肩に乗ったそれを大きな手はそっと撫でる。

「貴様らより遙かに優秀だ」

隊長は甘えるカラスの首に、透明なナイロンの紐のようなものをかけた。

それを黒い羽の下に隠すと、もう人の目だけでは簡単に分からない。

カラスはもう一度隊長に頭をすりつけると、与えられたペレットを丸飲みしてから、空へ飛び立った。

「マーキングしたんですか」

「おとりはむしろ、お前らの方だ」

区役所管轄土木事務員の作業服を着た隊長は、冷たく言い放つ。

「余計な気を回しても上手くいかないと、まだ学習しないか。支部に戻れと言われたら、すぐに戻れ」

部隊の作戦なんてものは、俺のような下っ端はその全容を知る必要はなく、隊長や本部の動きなど、俺たちには関係ない。

それは作戦として、至極当然で当たり前のことだ。

「竹内」

隊長の声に、細くゴツゴツとした背が伸びる。

「08をしっかり見張れ」

通信傍受をこんなところでしていたのか。

機材を運ぶ数人の精鋭部隊と共に、土木事務所の軽自動車は走り去る。

「重人。お前が何をどう思っているのかは知らないけど、今は非常事態だからさ……」

俺は竹内を信頼している。

だから竹内が何をどう思おうと、そうするというのなら俺もそうする。

「いいよ。それくらいは、俺も分かってる」

竹内がバスに乗ったから俺もバスに乗り、コンビニに戻ったから俺も戻る。

そう、それだけのことだ。
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