Ut. Cold Heart -ユートピア コールドハート-

猫宮助六

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第一章 眩き光の銃刀

第1話 デビルハンター

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 アズエラ神聖国のグロリオサレオ県にある都市シルバークロウに悪魔狩りを生業なりわいとした男がいた。その男は『レザール』という偽名を名乗っており、シルバークロウ市で狩猟しゅりょう依頼を募っている。この都市ではそこそこ名の知れたデビルハンターで、ハンターとしての腕も評価が高い人物だ。
 レザールはシルバークロウ市のビル群の影になる、あまり目立たない住宅街の隅にひっそりと事務所を構えている。事務所の名前は『Crashクラッシュ・ theザ・ Coldコールド Heartハート』。悪魔狩り専門の個人事務所だ。自身の知名度はそこそこあれど、事務所の位置は周知されていない為、事務所に依頼人から直接仕事を貰うことは殆ど無い。事務所に入る依頼の大半は『ライラック魔狩り局』という同じく悪魔狩りを専門とする知人の身内企業から入ってくる。

 午後三時を過ぎた頃、事務所の扉が開いた。今日はライラック魔狩り局の例の知人である仲介人がレザールへ仕事を持ってきたようだ。その男は慣れた態度でレザールの事務所へ挨拶も無しに入り来客用のソファへ乱暴に腰を下ろした。レザールはその向かいのソファに横になっている。人の気配に気が付いたレザールは怠そうにあくびをしながら仲介人の男に視線を向けた。
「……コブラか。こんな時間になんの用だ? 」
レザールは体を起こして煙草に火をつける。
「仕事だよ仕事。つか仕事以外で此処に立ち寄らねぇよ、暇じゃねぇし」
コブラという男はレザールに火を寄越す様に合図をする。軽く投げられたジッポライターを右手で受け止め、何事も無かったかの様に煙草を吸い始める。そしてジッポライターを今度は机に滑らせる様にして返却する。
「この時間から狩り仕事って。終わるのは何時になる事やら……」
やれやれと煙を吐きながら憂鬱ゆううつに肩をすくめる。
「それはお前がパパッと片付ければ済む話しだろ」
「依頼内容次第だがな」
それはそうだ。と馬鹿にした様に鼻で笑い、持って来ていた大きめの茶封筒の中から数枚の紙を取り出す。それが今回の依頼書だ。
「仕事が面倒臭いのは分かるが、いい加減気持ちを切り替えて働くんだな。真面目ちゃんな俺を見習って」
誰が仕事を持って来てやってるんだと言わんばかりにご機嫌に煙を吐く。いちいち癇に障る一言を付け足してくる。アポイントメント無しでこの事務所に突入してくるヤツを真面目と称していいのか甚だ疑問だが、いつもライラック魔狩り局から仕事を斡旋あっせんして貰っている為、この程度の事には目を瞑らないといけない。
 茶封筒から取り出した依頼書に指をさして本題の仕事について話し始める。
「それで今回の目標は爬虫類はちゅうるい型の悪魔だ」
コブラがこの依頼をレザールに持ってきたのには理由があると踏んでいたが爬虫類型の悪魔となると結構厄介だ。
「爬虫類か……悪魔の中じゃそこそこ位の高い部類なんだっけか」
「ああ、中級以上の悪魔は爵位しゃくい持ちの悪魔の配下として繋がっていることがあると聞く」
「運が良ければ悲願達成の足掛かりになるって訳ね」
さっきまでの人を小馬鹿にした様な笑顔から一変し、怒りや憎悪ぞうおにじんだ様な微笑びしょうに変わる。サングラス越しでも目が笑っていない事が分かる。
「まだ繋がっているかまでは分からないがな。だが可能性がある以上、逃す訳にも簡単に殺す訳にもいかない」
死なない程度に痛めつけて情報を聞き出す。中級悪魔がそう簡単に吐くとは思えない。コブラに実力が認められているのは有難い話しではあるが、生きるか死ぬかの悪魔との戦いに手加減しろというのはあまりにも酷な指示だ。
 とにかく、何をするにも先ずは情報が必要だ。レザールは面倒そうに頭を掻きながら依頼内容を確認する。奴が根城としている場所、おおよその全体数等レザールが悪魔を殲滅せんめつするに当たって必要な情報を提示させる。場所に関しては爬虫類型が身を隠すのに適した薄暗い場所、この都市でそういった場所なら路地裏だろう。数は目標以外にも下級の雑魚ざこ敵が闊歩かっぽしている可能性がある。そういった場合、その雑魚共も殲滅しなければならない。残敵に新しく組織でも創られたら後々面倒だからだ。
 コブラは懐から三つ折りに畳まれたシルバークロウ市の地図を取り出して指で場所を抑えながら説明した。
「俺が目を付けたのはシルバークロウ市北西部、アルカナ図書館前大通り付近だ。この辺りは近頃、一般市民の失踪事件が多発している。この事件自体は人型悪魔の仕業だろう。俺の眼では確認出来なかったがもしかしたら爬虫類型もいるかもしれん。標的は爬虫類型の一体。人型は俺が視た限りでは十体は居た。依頼とは関係ないがこいつらも掃討しろ」
 コブラは依頼を仲介する前に必ず下調べをしてくる。コブラの眼は普通とは違って魔力を目視する事が出来るからだ。悪魔は人間には無い魔力を体内に持っている為、仕事でこの能力が重宝している。なお、この能力を使うと酔うらしい。
「俺は悪魔を殺せないから路地裏までは入れなかったが、居る可能性は高い。居なければその時はその時だ」


 一通りの説明を終えたコブラは再び煙を深く吐き、今度はレザールに交渉を持ちかける。
「で、だ。この数を一人で狩るのは少々面倒だ。どうだ? 今回の報酬の三分の一を条件にうちから一人派遣するが」
レザールは呆れた態度で嫌味たらしく返答する。
「必要ない。どうせあの戦闘狂人だろうが。派遣と言ってあいつを仕向けられる側の身にもなれ」
「少なくともお前に戦闘狂人とか言われたくないだろうよ」とぼそりと呟き、コブラは少し残念そうな顔をして灰皿に吸い殻を押し当てて火を消した。
 レザールは立ち上がり、ホルスターの留め具を左右其々ベルトに通し両太腿ふとももに固定して刀を挿した。そして事務所奥のデスクに無造作に置かれた黒いコートを羽織る。
「おう、もう行くのか。精々殉職じゅんしょくしねぇ様気を付けるんだな」
「拗ねんなよ蛇野郎。用向きがあるんでな。仕事はその後だ」
コブラはさっさと行けと言わんばかりにしっしっと手で払う仕草をした。レザールはやれやれと軽く肩をすくめて事務所を後にした。


 事務所を出てブレインという男が経営している店へ向かう。レザールの事務所、Crash the Cold Heart がある住宅街から外れてそこそこ人通りの多い道に出る。この辺り周辺は建物の外観の造りや道の造り、店の雰囲気が懐古かいこ的なもので統一されている。この街の住民からは『レトロ通り』と愛称を付けられている所でもある。レザールもこのレトロ通りは気に入っていて行きつけの喫茶店があるくらいだ。ブレインの店はその喫茶店の向かいにある。

 夢と希望のおもちゃ屋『Crowクロウ Toysトイズ』と書かれた看板の店の扉を開けた。カランカランと扉の上部に取り付けられたベルが鳴り、レザールの来店を知らせた。しかし店の中は薄暗く、とても営業している様な雰囲気ではない。レザールは慣れた足取りで奥へと歩を進める。勿論レザールはおもちゃを買いに来た訳では無い。店の奥のカウンターに人影が見えた。
「ようやく来たかトカゲの坊主。全く待ちくたびれたぜ」
店員らしき男は煙草を吸いながら腕を組んで座っている。ポップでファンシーな雰囲気の店内には似合わない風貌ふうぼうの強面の男だ。
「よう、ブレイン。今日は来るつもりは無かったが、急に仕事が入ったんでな。先に受け取りに来た」
店員は手招きをしてレザールをカウンターの奥へ誘導する。この男こそがこの店の店主ブレイン・マックスだ。
 カウンターの奥の部屋は表の店の雰囲気とは随分とかけ離れており、コンクリートの壁や天井にはあちこちに鉄骨が剥き出しになっている。ここには様々な刃物や銃器等が並べられている。これらは表の店内で扱う様な、所謂いわゆるおもちゃではない。そう、全て本物の武器だ。ブレイン曰く、武器だけではもうからないからおもちゃ屋もやっているらしい。武器を何も知らない一般人に売る訳にもいかないので裏稼業うらかぎょう扱いだ。
 部屋の一角の作業台らしきテーブルに紙が乱雑に置かれていた。
「……おいおい、そっちはあんま見んじゃねぇよ。散らかってんだから」
そう言いながらブレインは二丁のハンドガンをレザールに手渡した。フレームはピカピカになっており、丁寧に磨かれたことが分かる。それを受け取り太腿のホルスターに仕舞った。
「待てトカゲ、お前いい加減銃で刃物類を受け止めるのはやめろ」
「その時タイミング良く受けられるのがこいつしか無かったんだから仕方ないだろ」
ブレインの苦言を鬱陶うっとうしそうに返答し、急いで店を出ようときびすを返した。
「てめっ、雑に扱いやがって! ちったぁ反省しやがれ! 」
ブレインの怒号から逃げる様に店から飛び出した。こういう会話をしている時だけはまるでしつけのなっていない子供だ。
 二丁の銃を受け取った後、早速コブラが言っていた場所へ向かう。綺麗になった愛銃を使いたくてはやる気持ちを抑えていながらも足取りは軽い。

 ブレインの店から暫く北西方面へ歩いて行くとアルカナ図書館が見えてきた。平日の夕方だが思いの外(ほか)人が多い。
「例の通りか……成程、確かに標的が居そうな気配はする」
人通りが多いにも関わらず陰気な空気が分かりやすく漂っている。此処に悪魔が居るのは間違いないだろう。人に紛れているのなら先ずは一体見つけるところから始めなくてはいけない。
 レザールは左耳に付けているイヤーカフ小型無線機に指を当てた。そして耳の裏側の小さいボタンを押した。すると左目の前に小さいモニターが現れた。中央の点から広がる様に一定間隔で輪が出ては消えている。これは超音波ちょうおんぱ索敵機さくてききで、半径十メートル圏内の悪魔に反応する仕組みだ。モニター中央の点は自身を指しており、悪魔が居た場合赤い点が映る仕様になっている。
 索敵によって赤い点、悪魔が目前に来たのを確認した。レザールはこのチャンスを逃さず瞬時に居合抜きで悪魔の首を落とした。ドサッと鈍い音が広がり、首を見た一般人は悲鳴を上げて走り去っていった。即発された様に周囲の人はどんどん逃げていく。それとは逆に此方へ寄ってくる人影も複数見えた。横断歩道を跨いだ先から路地裏から様々な方向から。これらは悪魔だ。
 レザールは刀身に付いた血を振り払って刀を納めた。そして、太腿のホルスターから二丁のハンドガンをクルクル指で回しながら取り出して此方に襲い掛かってくる悪魔の群れに銃口を向けた。
「あー?聞いていたより多いな。ざっと二十くらいか……だがまぁ、しゃあねぇ。来たからには徹底的に潰すか!  」
 目の前まで迫ってきた悪魔の額に嬉々として一発弾丸をお見舞いすると左手を突き出し「来い」と煽る。
「俺はデビルハンターだ。テメェらをぶっ殺してぇと血が滾ってしょうがないねぇ! 」
この声が聞こえたかは定かではないが、複数体の悪魔は勢いを強めてレザールに襲い掛かる。が、一体たりともレザールに攻撃どころか触れる事すら出来なかった。四方八方から飛び掛かろうとも後ろに目が付いているのか疑うレベルでさばいていた。この勢いに悪魔は手も足も出ずあっという間に目視で半分くらい削られた。常人であれば二十体以上居る敵が一斉に襲い掛かってきて生存出来る可能性は限りなくゼロに等しいが、レザールはそれに動じず二丁のハンドガンだけで半分削った。それも余裕そうに笑みを浮かべながら。
 悪魔の数が少なくなってきた所で両手の銃をホルスターに仕舞い再び居合抜きで近くの悪魔二体の首をほぼ同時にねた。今度は納刀することなく川の流れに身を任せるかの様に次の悪魔へ次の悪魔へと刃を振るう。その勢いは並大抵ではとても追いつけない程だ。刃の行く先はいつも悪魔の首を正確に狙って振るわれていた。いや、最早振った先に首があるとでも言えるだろう。バタバタとあっという間に両断して見せた。

 周囲の悪魔は全て倒し終えたと思われたが、視界の端で路地裏へ走り去ろうとする影を捉えた。それを見逃す訳も無く左手で銃を握り頭を狙って発砲した。それは確かに頭を撃ち抜いた様に見えた。しかしその悪魔はあろうことか路地裏へ入って行ってしまった。面倒だと言いたげに舌打ちをするとレザールは急いでその後を追う。
 陰気臭い路地裏に入ると男の他者へ助けを求める声が響き渡っている。幸いまだ遠くには逃げられておらず、路地を奥へ奥へ進んで行っているのが目視で確認出来る。距離を詰め過ぎず空け過ぎず慎重に後を追った。その様子では直ぐに行き止まりに行き着くと踏んで、左腕に刀身を挟んで付着した血を拭いながら見失わない程度の距離を保つ。
 「助けてほしい」と必死に叫びながら走る姿は人間そのものの様に見えてくる。姿は人、声も人、おまけに動作も人そのもの。それは先程までの悪魔の大群と同じ特徴だが、今追っている悪魔はそれらとは何かが違う感覚がある。

 このチェイスもいよいよ大詰めで、遂に行き止まりに行き着いた。正面には壁。左右も壁で抜け道など無い。唯一抜けられる道を挙げるとするならばそれはレザールが今立っている道、つまり戻らないといけない。完全に袋小路という状況になった。だが万が一という事もある。左手に構えている銃で正面の壁に手を付いて抜け道を探しているであろう標的の右足の脹脛ふくらはぎを撃ち抜いた。人間の男の声で喚き叫ぶ。激痛で転がり目に涙を浮かべる。この悪魔はこの状況で未だ人間のフリをしている。
 銃をクルクル回しながらホルスターに仕舞い刀を強く握って詰め寄る。肩を小刻みに震わせて天に祈るかの様に手を合わせて俯いている。一見してみれば祈っている様に見えるが、相手は人ではなく悪魔だ。祈っていると見せかけて呪いをかけているとも考えられる。無慈悲に腹を蹴り上げ何も出来ない様に片手を踏み付ける。
「お前に用は無い。そうやって人間を演じながら死ぬがいい」
このチェイスは終わり、結局爬虫類型の場所読みは外れかと落胆の意で冷淡に吐き捨てる。右手に握られた刀を振り被り眼前の敵の首に目掛けて一気に振り下ろす。

 終わったと思っていた。ほんの一瞬の出来事だ。レザールが刀を振り下ろす瞬間、首を目掛けて何かが凄い勢いで横を掠めた。驚きで固く閉じていた口は開き、瞳孔を見開いて硬直した。幸い振り下ろす直前に何かが飛び出してきたのが見えて右側へ避けていた為大事には至らなかった。人型を餌にして爬虫類型の悪魔に誘いこまれたという事だ。兎に角至近距離ではまたいつ鋭い攻撃が飛んでくるか分からない。急ぎ距離を取る。
「へぇ、さっきまでの奴らとはちげぇな。お前が例の中級の爬虫類型悪魔か」
想定外の展開に思わず笑みが零れる。警戒しつつ懐からマガジンを取り出し、今装填されているものと手早く入れ替える。コブラから指示を仰ぐ為に無線をつける。
「ほう、オレの攻撃を避けるか人間」
ケタケタ嘲嗤あざわらう悪魔の声。地面に転がっている仕留め損ねた先程の悪魔を頭から呑み込み、うねうねと尻尾と思われる部位が揺らめく。恐らくさっき飛び出してきたものはアレだろう。主に注意するべき箇所は鋭く尖った尻尾。油断し突かれれば間違いなく死ぬ。長く鋭利な爪も危険ではあるが、優先順位的には尻尾の次でいいだろう。
 早速頭を目掛けて尻尾が飛んでくる。それを刀で受け流して悪魔に接近する。間合い目前で振り被られた左手の爪が来るが、咄嗟に後方へ回避して空振りさせる。そして右側の壁を蹴って高く跳び、悪魔の頭上を通り左手に再び握ったハンドガンで悪魔の手を狙って発砲した。しかし弾丸は爪で弾かれて今度は尻尾が此方へ飛んでくる。空中では避ける事は困難だ。だがこのままでは尻尾は腹部を貫き出血多量で死ぬだろう。避ける事が出来ないならばこれをやり過ごす方法は一つ。そう、弾いて軌道きどうを逸らせばいい。右手に握られた刀を強く握り直し、銃を持った左手を添えて飛んできた勢いを利用して身体の横スレスレで流す。飛んできた尻尾がインナーにかすり破れ、勢いそのままに壁にひびを入れて突き刺さった。
 空中で体を強引に左回転させて壁に突き刺さった尻尾を右手に握られた刀で根本から切断した。悪魔は低く鈍くうなり、その憎悪と怒りに任せて爪を振るおうとする。
 着地したレザールは流れに身を委ねてそのまま悪魔の身体へ刃を走らせる。しかし長い爪によって呆気なく受け止められてしまう。だが間合いに入っている以上、此処で引き下がる訳には行かない。
 レザールは左手の銃で悪魔の足を撃ち、右手の刀で爪の受けを流してバランスを崩させ悪魔の左肩から斜めに切り裂く。更に横に一閃いっせん腕を落とす形で追撃し顔を蹴って地面に転がした。
「……お前は何処の爵位持ちの配下だ。さっさと吐け」
頭を狙う形で銃口を向ける。ふぅっと息を吐き呼吸を整える。少し疲労が見える声色とは対照的に、顔は一切疲労を感じさせない表情で冷ややかに見下していた。
「ーーー」
無言。いや、この悪魔は身体を再生させようとしている。尻尾だった部分がもごもごと動き、いかにもこちらを殺そうとする様な抵抗を見せる。
「ーーっ! 何故だ、何故再生しない!? 」
驚愕と同時に青ざめる悪魔の様子に「フッ」と静かに笑った。
「俺がお前に撃ち込んだ銃弾はシルバーバレットと言ってな、つまりは銀製の弾だ。お前ら悪魔にとって銀は身体機能|著しく低下させる明確な弱点だからな」
「き、貴様ァ! 」
 憤る悪魔を前に動じる事もなく頭を強く踏み付け銃口を向ける。
「いいから早く言え。お前の主は誰だ、何の爵位の悪魔がお前の背後バックにいる? 」
「ダレガ、誰が答えるかっ! 」
この悪魔は思った以上に頑固らしい。粘っていても埒が明かない。このまま殺して仕事を終えたいが、己の判断だけで殺すべきではない。無線越しに待機しているコブラに判断を委ねる。
『......繋がりが無いのか、忠誠心が厚いのか。もういい、これ以上は時間の無駄だから殺せ』
 コブラからの無線越しの指示を聞き刀で抵抗の出来ない悪魔の頭を突き刺した。悪魔それは確実に死に足元からボロボロと崩れ消え始めた。すると悪魔の死体だったものから紋様の刻まれたドッグタグが落ちた。今までにこんなものが落ちた事は無い。これが悲願に繋がる手掛かりになるかもしれないと無線を再びコブラに繋ぐ。
「コブラ、今掃討が終わった。倒した悪魔からドッグタグを回収した。後日確認を頼む」
 夕闇で薄暗い路地裏の一角、気が抜けて力なく壁にもたれ掛かる一人の男は咥えている煙草の煙を吐いて一服する。事務所に戻るのが遅くなりそうだ。


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