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二章:人生の再出発
仲良くなれそう
扉の先には外観から想像できないほど広い共用スペースらしきものが備わっていた。そこから枝分かれするように階段があり、二階から上の階に部屋があるようだ。階が多く、見上げるだけで首が痛くなる。魔導師と見受けられる人が何人か点在しており、私が恐る恐る足を踏み入れると、中央にある机の椅子に座っていた美しい女性が声をあげた。
「あら!フィニルタと……まさかローザちゃん?」
ウェーブのかかった赤髪を揺らしながらこちらへ来る。流石戦闘に特化した魔導師。一気に距離を詰められしてしまう。
あれちょっと待って、なんで私の名前を?
困惑していると、彼女は私の緊張をほぐすようににっこりと笑った。
「初めまして、アタシはケリー。あなたの話はいつもフェルナンから聞いてるわ」
筋肉のつきが良いからか、彼女からは少し圧迫感を感じる。思わず一歩後ろに下がって礼をする。
「は、初めまして」
「あら可愛い。みんなー、ローザちゃんよーー」
ケリーさんの呼びかけで共用スペースいた数人の魔導師が集まった。お兄様は私のことをどういう風に伝えていたのだろうか。
気だるげに頭を掻きながら来る者、本を読みながら来る者、眩いほどの笑顔で駆けて来る者。シュラク支部には変なひとがたくさんいることで有名だが、集まり方にもこんなに差があるなんて、と感動してしまった。
「はいはーい、初めまして!私はシュラク支部の可愛さ担当、ニコルです。呼び捨てでいいよ」
眩いほどの笑顔で来た彼女──ニコルは語尾にハートの付きそうな可愛らしい喋り方に、キャラメルを思わせるふわふわとした短い髪を可愛く結っていた。顔の周りで手を振る彼女は、お世辞抜きに可愛い。
挨拶を返しながらも、情報量の多さに目が回りそうになる。
「あ゛ー、よろしくな、嬢ちゃん」
頭を掻きながらきた彼──ケリーさんによるとシュカーツァと言うらしい──は嗄れた声で挨拶をしてから崩れ落ちるように寝てしまった。これまでの私の経験から断言させてもらうと、彼は二日酔いだ。口から漂う酒臭さがそれを証明している。よれたシャツに、剃り残しの跡、紺色の髪は絡まり合っており、整った彼の顔立ちを台無しにしていると言っても過言ではない。
「びっくりさせちゃってごめんなさいね、ローザちゃん。こいつはアタシが部屋まで連れてくわ」
ケリーさんは朗らかにそう言って、シュカーツァさんを軽々と持ち上げて階段を上っていった。
「ねえちょっと、ウィッチも少しは話しなさいよ」
それを見届けていると、ニコルが苛立ったように眼鏡をかけ、本をずっと読んでいる緑髪の少女──ウィッチさんに声をかけた。
「あ、ごめんなさい。今読書中なので。ケリーさんに呼ばれてきましたけど、今私にとって一番優先順位が高いのは読書なんです」
「はあ!?」
あっさりとした返答にニコルが勢いよく身を乗り出すも、ウィッチさんは読書に勤しんでいる。
それを傍観していたお兄様はこう言った。
「幼い頃のロザリーにそっくりだ。読書中に僕が邪魔をしたら鋭い蹴りをかましてきたね」
ふふふ、と思い出し笑いをする彼に全身が粟だつ。なんでそんなに嬉しそうなんだ。
けれど、私が大の読書家なのは事実。
とんでもなく個性的な人たち。これから仲良くなれたらいいな、と思った。
「あら!フィニルタと……まさかローザちゃん?」
ウェーブのかかった赤髪を揺らしながらこちらへ来る。流石戦闘に特化した魔導師。一気に距離を詰められしてしまう。
あれちょっと待って、なんで私の名前を?
困惑していると、彼女は私の緊張をほぐすようににっこりと笑った。
「初めまして、アタシはケリー。あなたの話はいつもフェルナンから聞いてるわ」
筋肉のつきが良いからか、彼女からは少し圧迫感を感じる。思わず一歩後ろに下がって礼をする。
「は、初めまして」
「あら可愛い。みんなー、ローザちゃんよーー」
ケリーさんの呼びかけで共用スペースいた数人の魔導師が集まった。お兄様は私のことをどういう風に伝えていたのだろうか。
気だるげに頭を掻きながら来る者、本を読みながら来る者、眩いほどの笑顔で駆けて来る者。シュラク支部には変なひとがたくさんいることで有名だが、集まり方にもこんなに差があるなんて、と感動してしまった。
「はいはーい、初めまして!私はシュラク支部の可愛さ担当、ニコルです。呼び捨てでいいよ」
眩いほどの笑顔で来た彼女──ニコルは語尾にハートの付きそうな可愛らしい喋り方に、キャラメルを思わせるふわふわとした短い髪を可愛く結っていた。顔の周りで手を振る彼女は、お世辞抜きに可愛い。
挨拶を返しながらも、情報量の多さに目が回りそうになる。
「あ゛ー、よろしくな、嬢ちゃん」
頭を掻きながらきた彼──ケリーさんによるとシュカーツァと言うらしい──は嗄れた声で挨拶をしてから崩れ落ちるように寝てしまった。これまでの私の経験から断言させてもらうと、彼は二日酔いだ。口から漂う酒臭さがそれを証明している。よれたシャツに、剃り残しの跡、紺色の髪は絡まり合っており、整った彼の顔立ちを台無しにしていると言っても過言ではない。
「びっくりさせちゃってごめんなさいね、ローザちゃん。こいつはアタシが部屋まで連れてくわ」
ケリーさんは朗らかにそう言って、シュカーツァさんを軽々と持ち上げて階段を上っていった。
「ねえちょっと、ウィッチも少しは話しなさいよ」
それを見届けていると、ニコルが苛立ったように眼鏡をかけ、本をずっと読んでいる緑髪の少女──ウィッチさんに声をかけた。
「あ、ごめんなさい。今読書中なので。ケリーさんに呼ばれてきましたけど、今私にとって一番優先順位が高いのは読書なんです」
「はあ!?」
あっさりとした返答にニコルが勢いよく身を乗り出すも、ウィッチさんは読書に勤しんでいる。
それを傍観していたお兄様はこう言った。
「幼い頃のロザリーにそっくりだ。読書中に僕が邪魔をしたら鋭い蹴りをかましてきたね」
ふふふ、と思い出し笑いをする彼に全身が粟だつ。なんでそんなに嬉しそうなんだ。
けれど、私が大の読書家なのは事実。
とんでもなく個性的な人たち。これから仲良くなれたらいいな、と思った。
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