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二章:人生の再出発
何が気に入らないの?
「わあオムレツ美味しそう!シュカーツァ、ありがとう」
ニコルが可愛らしく上目遣いをしてシュカーツァさんを見る。あからさまに好意を向けられている彼自身は彼女のアピールに気づいていないようで、単純に料理を褒められたことについて喜んでいる。
「この前のリベンジでね、焼き目が均等になるように頑張ったんだ。それとね……」
「さっさと食べるわよ」
嬉しそうに語り出す彼にケリーさんが横槍を入れ、やっと食事が始まる。
「あーんしてあげるよ、ロザリー。ほら口を開けて」
お兄様は相変わらずの過保護ぶりで、私につきっきりだ。ここ数日の彼に来た依頼は全て蹴ったとか。彼曰く、『ロザリーの住居を探すため』だそうだ。私の住居が決まると離れ離れになるから寂しいのかもしれない。
お兄様を軽くいなしてからニコルの方をちらりと見やる。彼女はスプーンでオムレツを少しずつ食べている。私より三歳下の彼女は黙っていたら可愛げがあるのにな、と彼女の本性を知った今はどうしても思ってしまう。
バチン、と目があった。慌てて逸らそうとすると、彼女は勢いよくそっぽを向いてしまった。
温かいオムレツを頬張りながら、今は食べることに集中しよう、そう思った。
──
シュカーツァさんとウィッチは他の支部に依頼していた物資を受け取りに、お兄様はケリーさんに無理やり引きずられながら割り当てられた任務を遂行しに、寮を出てしまった。
要するに、この寮にいるのはニコルと私だけ。
彼女は私を見るなり、素早く部屋に戻ってしまったし特に差し支えはない。
ゆっくりと自室に戻り、ウィッチに借りた本を開こうとした、その時だった。
私のいる部屋の真下から甲高い悲鳴のような声が聞こえた。
三階のこの部屋の真下にはニコルの部屋がある。
もしかすると──もしかしなくても、この悲鳴はニコルのものだろう。悲鳴まで可愛いなんて、神様は不平等だ。
本当は行きたくなんてないけれど──何かあってからでは遅いので念の為下りてみる。
様子見。様子見だけ。
階段の中央辺りで立ち止まり、手すりから身を乗り出してニコルの部屋を見る。
何も異変はなさそうだ、と私が気を緩めているとニコルの部屋のドアが突然開いた。
部屋から出たニコルは様子を伺い見ていた私を一瞬で見つけてこう言った。
「あんたが盗ったんでしょ!」
よく見ると彼女の目が赤く腫れている。おまけに耳も赤くなっている。
「ちょっとニコル、盗ったってどういうこと?何を?」
困惑していると、彼女は半狂乱になりながら甲高い声を出した。
「盗むまでしなくてもいいじゃない!知らないフリを押し通すつもり!?」
いや、本当に心当たりがないんだけど。
彼女は私の話を聞く気はないらしく、まだ何か喚いている。
なんでそんなに私を目の敵にするのか、ふと気になった。
「ねえ、私の何が気に入らないの?」
ニコルが可愛らしく上目遣いをしてシュカーツァさんを見る。あからさまに好意を向けられている彼自身は彼女のアピールに気づいていないようで、単純に料理を褒められたことについて喜んでいる。
「この前のリベンジでね、焼き目が均等になるように頑張ったんだ。それとね……」
「さっさと食べるわよ」
嬉しそうに語り出す彼にケリーさんが横槍を入れ、やっと食事が始まる。
「あーんしてあげるよ、ロザリー。ほら口を開けて」
お兄様は相変わらずの過保護ぶりで、私につきっきりだ。ここ数日の彼に来た依頼は全て蹴ったとか。彼曰く、『ロザリーの住居を探すため』だそうだ。私の住居が決まると離れ離れになるから寂しいのかもしれない。
お兄様を軽くいなしてからニコルの方をちらりと見やる。彼女はスプーンでオムレツを少しずつ食べている。私より三歳下の彼女は黙っていたら可愛げがあるのにな、と彼女の本性を知った今はどうしても思ってしまう。
バチン、と目があった。慌てて逸らそうとすると、彼女は勢いよくそっぽを向いてしまった。
温かいオムレツを頬張りながら、今は食べることに集中しよう、そう思った。
──
シュカーツァさんとウィッチは他の支部に依頼していた物資を受け取りに、お兄様はケリーさんに無理やり引きずられながら割り当てられた任務を遂行しに、寮を出てしまった。
要するに、この寮にいるのはニコルと私だけ。
彼女は私を見るなり、素早く部屋に戻ってしまったし特に差し支えはない。
ゆっくりと自室に戻り、ウィッチに借りた本を開こうとした、その時だった。
私のいる部屋の真下から甲高い悲鳴のような声が聞こえた。
三階のこの部屋の真下にはニコルの部屋がある。
もしかすると──もしかしなくても、この悲鳴はニコルのものだろう。悲鳴まで可愛いなんて、神様は不平等だ。
本当は行きたくなんてないけれど──何かあってからでは遅いので念の為下りてみる。
様子見。様子見だけ。
階段の中央辺りで立ち止まり、手すりから身を乗り出してニコルの部屋を見る。
何も異変はなさそうだ、と私が気を緩めているとニコルの部屋のドアが突然開いた。
部屋から出たニコルは様子を伺い見ていた私を一瞬で見つけてこう言った。
「あんたが盗ったんでしょ!」
よく見ると彼女の目が赤く腫れている。おまけに耳も赤くなっている。
「ちょっとニコル、盗ったってどういうこと?何を?」
困惑していると、彼女は半狂乱になりながら甲高い声を出した。
「盗むまでしなくてもいいじゃない!知らないフリを押し通すつもり!?」
いや、本当に心当たりがないんだけど。
彼女は私の話を聞く気はないらしく、まだ何か喚いている。
なんでそんなに私を目の敵にするのか、ふと気になった。
「ねえ、私の何が気に入らないの?」
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