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三章:夢を叶えて
ダメ出し
少し時が経ち、案内されたのは豪華絢爛な一室だった。いくらか考えるだけでめまいがするような装飾品の数々。宝石のようなものがたくさん散りばめられたシャンデリアはいろんな意味で眩しい。
光り輝く部屋を見て目を細めていると、カルロが大仰なため息をついた。絶対わざとである。
「お嬢様、光り物を見て目を輝かせるのではなく一旦部屋に入りましょう」
口は笑っているが目は笑っていない。押し込まれるようにして部屋に入り、扉を閉めるとカルロは大きな伸びをした。そして人差し指を私に向ける。
「ローザリンデ、きみは演技が下手だ。下手すぎる」
突然のダメ出しに驚いていると、カルロは容赦のない言葉を続けた。
「考えてることが顔に出過ぎてるし、喋り方もぎこちない」
自分でもわかっていることなのでうっ、と言葉に詰まる。しかしカルロは神妙な面持ちから一変して、少しだけ笑った。
「けど──、よくやった。見事に屋敷に侵入することができたのはきみのおかげだ、ありがとう」
意外だ。こんな顔もするのね。思わず私も笑みがこぼれる。任務はまだ達成していないけれど、なんだか嬉しい気持ちになる。私が勝手に和んでいると、カルロは革張りのソファにどかっと座った。私も向かい側に腰を下ろす。
「改めて計画を確認し直そう」
カルロは顔の前で指を組む。私より細いかもしれないその白い指はしなやかにテーブルを叩いた。
「まず第一に、この屋敷中を捜索する。そして裏帳簿を頂戴する。あいつは変なところで用心深いから、妙なところに隠してあるだろう。あとは領収書類だな。伯爵は非正規のルートから違法物を仕入れていると領民から聞いた。真偽は定かじゃないけどな」
心底面倒くさそうにカルロは天井を見上げた。どうしてこんな無気力なひとが侯爵なのだろう。そういえば、とはっとした。私はカルロの魔法を見たことがないな。この若さで魔導師局を統べている侯爵だ、相当凄いものなのだろう。
今は何もすることがない、というか下手に動けないので思う存分呆けていると、侍女からお呼びがかかった。
「バーテス子爵令嬢様、夕食のお時間です」
そう言って案内をしてくれる侍女は髪が長く髪から少しだけ覗く顔は随分と青白い。燭台を持つ手も震えているように見える。
「……ね、っ、………」
気になって話しかけようとすると、カルロの手が私の口に伸びた。声を出そうにも出せずモゴモゴしているとカルロは人差し指を自分の口に当てて首を振った。そして目で明かりの灯ったホールを示す。どうやらダイニングルームに着いたようだ。
光り輝く部屋を見て目を細めていると、カルロが大仰なため息をついた。絶対わざとである。
「お嬢様、光り物を見て目を輝かせるのではなく一旦部屋に入りましょう」
口は笑っているが目は笑っていない。押し込まれるようにして部屋に入り、扉を閉めるとカルロは大きな伸びをした。そして人差し指を私に向ける。
「ローザリンデ、きみは演技が下手だ。下手すぎる」
突然のダメ出しに驚いていると、カルロは容赦のない言葉を続けた。
「考えてることが顔に出過ぎてるし、喋り方もぎこちない」
自分でもわかっていることなのでうっ、と言葉に詰まる。しかしカルロは神妙な面持ちから一変して、少しだけ笑った。
「けど──、よくやった。見事に屋敷に侵入することができたのはきみのおかげだ、ありがとう」
意外だ。こんな顔もするのね。思わず私も笑みがこぼれる。任務はまだ達成していないけれど、なんだか嬉しい気持ちになる。私が勝手に和んでいると、カルロは革張りのソファにどかっと座った。私も向かい側に腰を下ろす。
「改めて計画を確認し直そう」
カルロは顔の前で指を組む。私より細いかもしれないその白い指はしなやかにテーブルを叩いた。
「まず第一に、この屋敷中を捜索する。そして裏帳簿を頂戴する。あいつは変なところで用心深いから、妙なところに隠してあるだろう。あとは領収書類だな。伯爵は非正規のルートから違法物を仕入れていると領民から聞いた。真偽は定かじゃないけどな」
心底面倒くさそうにカルロは天井を見上げた。どうしてこんな無気力なひとが侯爵なのだろう。そういえば、とはっとした。私はカルロの魔法を見たことがないな。この若さで魔導師局を統べている侯爵だ、相当凄いものなのだろう。
今は何もすることがない、というか下手に動けないので思う存分呆けていると、侍女からお呼びがかかった。
「バーテス子爵令嬢様、夕食のお時間です」
そう言って案内をしてくれる侍女は髪が長く髪から少しだけ覗く顔は随分と青白い。燭台を持つ手も震えているように見える。
「……ね、っ、………」
気になって話しかけようとすると、カルロの手が私の口に伸びた。声を出そうにも出せずモゴモゴしているとカルロは人差し指を自分の口に当てて首を振った。そして目で明かりの灯ったホールを示す。どうやらダイニングルームに着いたようだ。
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