私と貴方の報われない恋

梨丸

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フェルナン

2 悲恋

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 アーシャは俺に全く話しかけてこないようになった。
 それは卒業間近になっても、だった。
 
 好きな人でもできたんだろうか。

 そんな考えが頭を過ぎる。
 違う、そんなことはない。


 自分で自分に言い聞かせたが、マリー嬢に中庭に呼び出された時にもその考えは頭に残っていた。

 「フェルナン様、大丈夫ですか?」

 心配そうに小首を傾げてくる。

 「ああ、大丈夫だよ」と返し、本題を尋ねる。
 すると、マリー嬢は顔を赤らめ、俯いた。

 「あ、あの……。わ、わたし、フェルナン様のことが好きです!だから、わたしと婚約してくださいっ!!」

 ストレートなプロポーズに目を見開く。
 
 「……ごめんね。君の気持ちに俺は答えられない」

 マリー嬢が再び俯いた。
 体が震えている。

 「さ、最後に抱きしめてもいいですか?」

 マリー嬢によると、記念に、とのことだ。

 断ろうと思ったが、ふとアーシャの顔が思い浮かんだ。
 もし、俺がアーシャに告白して、一瞬で断られたら……。

 自分とマリー嬢を重ねて、つい頷いてしまった。

 


 貴族学院を卒業してからも、アーシャとは交流がなかった。
 
 社交場でもアーシャを見かけることはなかった。
 アーシャの噂は常に耳にしていたけれど。
 美しいストロベリーブロンドの彼女はやはり目立つようだ。

 会いたい。
 そう思っていても、アーシャ自身が俺のことを避けていたら会えるはずもなく、月日が経っていった。


 そんな俺を見て両親は共に結婚を勧めてきた。

 「メアリー嬢なんてどう?伯爵家の娘よ」
 「こちらの令嬢はどうだ?なんと侯爵家らしい」

 次々と高い位の令嬢が紹介されていく。
 どうやら両親は俺のことを位を上げるための駒としか思っていないらしい。

 俺が生まれた時も、両親に見た目があまりにも似ていないので愛情はあまりわかなかったそうで、世話は全て乳母に任せっきり。
 アーシャの家と仲良くなったのもその時、彼女の家にがあったかららしい。
 今はそのもあまりないらしく、彼女の家との付き合いも無くなった。
 外面だけはいいので、周りの皆からは勝手にというイメージを持たれている。


 本当は愛されてなんていないのに。

 
 そんな灰色な生活も、アーシャに会ってから色づき始めた。

 アーシャに会いたい。
 そんな気持ちが頭の中を渦巻いた。
 


 




 
 
 
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